感染症速報詳細

記事日付 20090221
タイトル インフルエンザ A(H1N1) ウイルス-スペイン:ブタ、ヒト
国名 スペイン    
感染症名 インフルエンザA
概要 [1] Human case of swine influenza A (H1N1), Aragon, Spain, November 2008
50才の女性に、豚インフルエンザA H1N1が認められた
和文 http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19120
Teruel (スペイン北東部のAragon)近くにある、人口約200人ほどの村の50才の女性に、豚インフルエンザA H1N1が認められたことが、2008年11月に報告された。11月8日、50才の女性は発熱、咳、倦怠感、筋痛、鼻咽頭不快感、突然の悪寒を認めた。11月12日に医療機関を受診し、彼女を診察した医師はsentinel influenza surveillance systemの一員であったが、咽頭拭い液を採取し、その検体をインフルエンザサーベイランスシステムの関連でZaragoza, AragonにあるMicrobiology Laboratory of the Miguel Servet University Hospitalに送った。患者には最近渡航歴はなかった。
特別な治療や入院も要さず完全に回復した患者は家内養豚場で働いており、ブタと直接に濃厚な接触があった。彼女の発病前後に、他の家族や仕事仲間にインフルエンザ様の症状は認められなかったし、ブタにも症状は認められなかった。彼女を診察した医師にも、診察後にインフルエンザ類似症状が認められたが、(医師からの)検体採取は行われていない。スペイン、特にTeruelでは、この患者が認められた2008年11月10-16日の期間、インフルエンザの活発な流行は報告されていなかった。ブタ由来のインフルエンザA(H1N1)患者が報告されて後、積極的な疫学調査が行われたが、これまでに他の患者は認められていない。この度の症例は、International Health Regulations (IHR, 2005)に従って、ヒトに認められているものとは異なるインフルエンザウイルスによって起こったヒト感染例としてWHOに報告された。ブタ由来インフルエンザの散発的なヒト感染症例は、以前にも報告されており、その患者の多くはブタと接触のあった25才未満の若者であった。しかしこの不明な機序で起こるヒトへの感染は、あまり効率的には起こっていないように思われる。ヒトヒト感染も以前には報告されているが、今回の感染は1世代に限られている。今後、今回のような感染は起こりうると予想されるが、特別な公衆衛生対策が必要なほどのリスクはないと考えられる。
地図 Teruel http://blog.willamette.edu/people/klutz/journal/archives/spain_map.jpg
[2] Editorial: a human case of swine influenza virus infection in Europe --
implications for health and research
情報源: Eurosurveillance edition 2009; 14(7)、2009年2月19日。
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19124

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