感染症速報詳細

記事日付 20090226
タイトル 牛痘-ドイツ、フランス:チェコ共和国から、齧歯類、ヒト
国名 ドイツ    
感染症名 牛痘
概要 Pet rats transmit cowpox to humans
和文 http://www.konsumo.de/news/2900-Haustier-Ratte-Kuhpocken-NRW-Bayern-Infektion-krank-Ratten-Virus
ドイツGermany --North Rhine-Westphalia (NRW) and Bavaria--のペットのラットの飼育者には、牛痘ウイルス感染のリスクがあり、最近、フランス北部では牛痘ウイルス感染の患者が確認された。ペットとして飼育されていたラットとの直接接触により、ウイルスに感染したと見られている。感染患者にはインフルエンザ類似症状と発疹が見られる。ヒトに感染した場合の典型的な症状としては、発熱、倦怠などのインフルエンザ類似症状と、痒疹と水疱がある。皮膚病変は、数週間後に痂皮と瘢痕を残して治癒する。このウイルスは結膜炎を起こすことが多い。...他者への感染を防ぐためには、特に水疱性病変は痂皮が落ちるまでカバーしなければならない。ヒトからヒトへの牛痘ウイルス感染伝播は証明されたことはなく、通常はないと考えられる。当局は、当面ペットのラットを購入しないよう呼びかけている。最近購入したものは、とくに足・耳・しっぽなどに異常が見られる場合は、獣医師による検査を受ける必要がある。飼い主は、動物を触るときには手袋を使用するようアドバイスされている。
[Mod.CP注-独の投稿者からの情報によると、the RKI (Robert Koch Institut コッホ研究所) は、これまでに8人の患者を確認した(http://www.fli.bund.de/253.html?&no_cache=1&tx_ttnews[tt_news]=688&cHash=713bec3ad6)。2008年初からthe Rhineland region of North Rhine-Westphaliaにおける牛痘ウイルス感染者数が増加している。調査により、患者ら全員に発症前のペットのラットとの接触歴が確認されている。最近、複数の州(Bundeslaender) (Bavaria, North Rhine-Westphalia) から、感染ラットのペットからのヒトの牛痘感染が報告されていた。ずっと以前よりこのような感染は弧発例でしか発生していなかったが、ペットの感染ラットとの接触による感染の報告が増えている。ドイツでは、動物の牛痘感染には報告義務がある。牛痘およびサル痘、smallpox(天然痘)などの類似の病原体は、the Genus _Orthopoxvirus_(オルソボックスウイルス属), _family of _Poxviridae_(ポックスウイルス科)に属する。サル痘や牛痘のウイルスは、動物からヒトに感染する可能性がある人獣共通感染症である。牛痘ウイルスは、多くの種の動物に感染するが、小型齧歯類が自然界の保有宿主と考えられている。この宿主から、ウシ、ネコ、動物園の大型のネコ科動物、ゾウ、サイなど、多様な種の動物にウイルスが伝播される。ある地域では最大5%の飼い猫が牛痘ウイルスに対する抗体を保有していた。たとえ粘膜や皮膚の小さなキズであっても、感染した動物との濃厚な接触(搾乳など)を通じて、ヒトは感染する。以下、動物と接する際の注意事項など..3-7日間の潜伏期間(ときに14日間)後、皮膚(発疹、水疱)病変、倦怠感、発熱、結膜炎などの典型的な症状を発症する。重症例では、ウイルスの配管線による肺炎も認められる。二次性細菌感染がnegative impactを与え、合併症につながる危険性もある。ラットでの感染の経過についてはほとんど分かっていない。発疹や水疱が観察されることがあり(the Deutsches Tieraerzteblatt 03/2009 http://www.bundestieraerztekammer.de/download/dtb0309_kuhpocken.pdf  [in German])、また死に至るような重症疾患となることもある。重要なことは、一見して症状がない動物でもウイルスを排泄し、動物やヒトに感染させる可能性があることである。ともに齧歯類を主要な宿主とする、Cowpox virus および monkeypox virusの名は、 misnomers(誤った名称)である(?)。上記にあるように、human cowpoxはまれな人獣共通感染症で、免疫不全や湿疹性疾患の患者をのぞき、特に小児では自然治癒する疾患である。しかし重症化する場合もある。Cowpox virusは、欧州、旧ソビエト連邦の西部、および隣接する北中アジアに蔓延し、欧州からの報告数が増えている。Sequencing data によると、cowpox virus株にはかなりの多様性が認められている]

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