感染症速報詳細

記事日付 20090408
タイトル 鳥インフルエンザ-日本:(32) アライグマ、血清学
国名 日本    
感染症名 鳥インフルエンザ
概要 国内の野生アライグマが、H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染していた
和文 http://www.yomiuri.co.jp/dy/national/20090407TDY03101.htm
日本語の記事 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090404-OYT1T00793.htm
(読売新聞のサイトから)国内の野生アライグマが、H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染していたことが、東京大と山口大の共同研究でわかった。これまで国内で確認された野生生物の感染例は鳥類だけで、哺乳類では初めて。研究チームは「ウイルスが養鶏場に持ち込まれる可能性がある」とし、対策が必要だとしている。宇都宮市で開催中の日本獣医学会で4日発表された。H5N1は新型インフルエンザに変異する可能性が高いと指摘されるウイルスで国内では飼育中のニワトリのほか、野生のオオハクチョウ、ハシブトガラス、クマタカで感染例が報告されている。研究チームは2005年以降に、西日本3か所と東日本1か所の計4か所で捕獲されたアライグマ計988匹の血液を調べたところ、そのうち3か所の計10匹から、過去にH5N1に感染したことを示す抗体を検出した。うち2か所は、過去にH5N1に感染した鳥類の報告がない地域だった。堀本泰介(ほりもとたいすけ)・東大医科学研究所准教授によると、アライグマは群れで行動しない性質があるほか、今回は他の感染症に比べ抗体の検出頻度が低いという。このため、10匹はアライグマ同士で感染し合ったのではなく、感染した死鳥を食べたか、親から抗体を受け継いだ可能性が高いという。アライグマは動物園から逃げ出した個体や、捨てられたペットが野生化し、全国的に生息している。
[Mod.AS注-日本で初めてHPAI H5N1が確認されたのは、2004年1月中旬の山口県の商業養鶏場1か所であり、その後2004年に大分県と京都府でも発生が続いた。次に日本でH5N1感染流行が発生したのは、2007年1月で、宮崎県と岡山県の養鶏場と、熊本県で発見されたクマタカhawk eagleであった(outbreak summary and map http://www.oie.int/wahis/public.php?page=event_summary&reportid=5375)。2008年4月には秋田県・十和田湖岸で11羽の野生のハクチョウの感染が確認されている(summary and a map http://www.oie.int/wahis/public.php?page=event_summary&reportid=7003)。このアライグマは、感染した鳥類を食べて感染したと考えられていることから、感染源の追跡調査として、それぞれの詳細な発生個所が分かれば興味深い。USGS' "List of Species Affected by H5N1 (Avian Influenza): referenced reports of highly pathogenic avian influenza H5N1 in wildlife and domestic animals,"によると、2003年以降、以下の14種類の哺乳動物について、H5N1感染が知られている
*ウシ cow (_Bos taurus_),
*イヌ dog (_Canis lupus familiaris_),
*ジャコウネコ Owston's palm civet (_Chrotogale owstoni_),
*ネコ domestic cat/feral cat (_Felis domestica_),
*サル cynomolgus macques (_Macaca fascicularis_),
*テン stone marten, stone (beech) marten (_Martes foina_),
*フェレット ferret (_Mustela putorius furo_),
*ウサギ New Zealand white rabbit (_Oryctolagus cuniculus_),
*レパード leopard (_Panthera pardus_),
*トラ tiger (_Panthera tigris_),
*ラット rat (_Rattus norvegicus_),
*ブタ pig (_Sus domesticus_) [_Sus scrofa_],
*キツネ red fox (_Vulpes vulpes_)
*マウス plua a house mouse (_Mus musculus_), reportedly infected in 1998).]
[Mod.JW注-次のいずれの種であったか、詳細が伝えられていない]
写真1 日本原産の_Nyctereutes procyonoides_, more properly called a "raccoon dog"  http://www.ecosystema.ru/08nature/mamm/052.jpg
写真2 1970年代にペットとして盛んに輸入され、現在では36都道府県の野山を駆け回っている the American raccoon _Procyon lotor_(より顔立ちがはっきりとして、棒状のしっぽをもつ)http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20080219a5.html

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