感染症速報詳細

記事日付 20090424
タイトル 2人の子供への豚インフルエンザA型(H1N1)感染症?南カリフォルニア(2009年3〜4月)
国名 米国    
感染症名 豚インフルエンザ
概要 2009 年4月17日に、CDCは南カリフォルニアの隣接した郡に住んでいる子供に発生した熱性呼吸器疾患の2症例が豚インフルエンザA型(H1N1)ウイルスへの感染に起因すると断定しました。2症例からのウイルスは、遺伝的に密接に関連があり、アマンタジンとリマンタジンに対して耐性を示し、これまでにアメリカ合衆国や他の地域における豚またはヒトインフルエンザウイルスでは報告されていない特異的な遺伝子の組合せを含んでいます。どちらの子供も、ブタとの接触はなく感染源は不明です。感染源の特定や同じような豚インフルエンザウイルスの人への感染があったかどうかの調査は、進行中です。
和文 2009 年4月17日に、CDCは南カリフォルニアの隣接した郡に住んでいる子供に発生した熱性呼吸器疾患の2症例が豚インフルエンザA型(H1N1)ウイルスへの感染に起因すると断定しました。2症例からのウイルスは、遺伝的に密接に関連があり、アマンタジンとリマンタジンに対して耐性を示し、これまでにアメリカ合衆国や他の地域における豚またはヒトインフルエンザウイルスでは報告されていない特異的な遺伝子の組合せを含んでいます。どちらの子供も、ブタとの接触はなく感染源は不明です。感染源の特定や同じような豚インフルエンザウイルスの人への感染があったかどうかの調査は、進行中です。この報告は2症例の調査を簡潔に述べます。これは人間インフルエンザA型の新しい亜類型でないが、豚インフルエンザA型(H1N1)のこの新しい病原菌がヒトインフルエンザA型(H1N1)ウイルスとかなり異なり、かなりの人口が感染するかもしれず、季節性のインフルエンザH1N1ワクチンでは予防できないかもしれないと懸念されます。2症例のブタとの暴露接触が不明なことより、人から人への感染が起こる新しいインフルエンザウイルスが出現するという可能性が増えています。臨床医は、1)サンディエゴ郡とImperial郡に住んでいる人または2)これらの郡に旅行した人または発病の7日間に3つの郡からの病人と接触してた人、3)最近豚との接触があった人が熱性呼吸器疾患にかかっている場合、鑑別診断において、季節性であるだけでなく動物のインフルエンザウイルス感染症を考慮しなければなりません。臨床医は、患者に豚インフルエンザウイルス感染症を疑った場合、検体を採取して、州の公衆衛生試研究所で検査をするために、州か地元の保健部と連絡をとるべきである。

症例報告

患者A
2009 年4月13日CDCはカリフォルニア州サンディエゴ郡に住んでいる10年歳の男児が、呼吸器疾患の症例を報告しました。患者は、2009年3月30日に 熱、咳と嘔吐で発症しました。彼は外来患者クリニックを受診し、鼻腔咽頭ぬぐい液を臨床研究の一部として採取しました。 男の子は対症療法を受け、全ての彼の徴候はおよそ1週間以内に治りました。子供は、この今シーズンのインフルエンザ予防接種は受けていませんでした。クリニックでの診断用検査ではインフルエンザA型ウイルスと特定しました。しかしテストではヒトインフルエンザ亜型H1N1、H3N2とH5N1が陰性でした。サンディエゴ郡健康管理部は通知し、プロトコール毎に、インフルエンザA型の未確定の亜型を確認するため検体は研究所に送られた。2009年4月14日に、CDCは検体を受領し、ウイルスが豚インフルエンザA型(H1N1)であると確定しました。男の子と彼の家族は、子供はブタへの暴露がなかったと報告しました。男の子の潜在的な動物との暴露の調査は、継続している。患者の母は2009年4月の最初の数日間、発熱を伴わない呼吸器症状がありました。そして8年歳の弟は患者が発症する2週間前に呼吸器疾患にかかり、2009年4月11日に咳、熱と鼻漏 で2回目の病気にかかりました。しかし、母や弟の急性期には検体は採取されませんでした。公衆衛生調査官は、2009年4月3日のテキサスへの家族の旅行の際に、他の親類に発生していないかどうか、そしてカリフォルニアでの接触により病気が生じたかどうか調査を行っています。

患者B.
CDCは2009年4月17日にインフルエンザの検体を受領しました。それはサンディエゴ(カリフォルニア)の海軍健康調査センターからの亜型未確定のインフルエンザA型ウイルスでした。CDCは2009年4月17日にこの検体を豚インフルエンザA型 (H1N1)ウイルスと確認して、カリフォルニア州公衆衛生部に知らせました。検体は、サンディエゴ郡に隣接するImperial郡(カリフォルニア)に住む9年歳の女児からのものです。2009年3月28日 に、彼女は咳と(104.3°F[40.2°C])発熱で発症しました。彼女はインフルエンザ監視プロジェクト(アモキシシリン /クラブラン酸カリウムと抗ヒスタミン剤を扱う)に参加している外来病院を受診し、問題なく治癒しました。子供は、今シーズンのインフルエンザ予防接種を受けていませんでした。発症の約4週間前に豚が展示されていた農業フェアーに参加したが、患者と彼女の両親はブタとの暴露はないと報告されている。
彼女は会場で豚を見てもいないし、遊具エリアに行っただけであると報告している。Imperial郡公衆健康管理部とカリフォルニア州公衆衛生部は、現在、感染源や他の人への感染例の確認調査を行っている。13歳の患者の兄は 2009年4月1日にインフルエンザのような徴候がありました、そして、患者の徴候の発症の3日前に、13歳のいとこは2009年3 月25日にインフルエンザのような徴候がありました。兄弟といとこは、彼らの発症時点でインフルエンザの検査を受けませんでした。

疫学的および研究所調査

2009 年4月21日現在、患者AとBの疫学的つながりは確認されませんでした、そして、豚インフルエンザA型(H1N1)と特定された病原菌への更なる感染の症例は確認されませんでした。Imperial郡およびサンディエゴ郡からの監視データでは、2人の患者が発病した時点でインフルエンザ活動が低下していることが分かりました。カリフォルニア州とテキサス州の健康部による症例の接触調査は進行中です。追加可能な監視は、その地域で実行されています。

インフルエンザウイルスの予備的な遺伝子検査では、豚インフルエンザA型(H1N1)ウイルスと特定しました。ウイルスは互いに類似しています、そして、大部分の遺伝子(血球凝集素(HA)遺伝子を含む)はおよそ1999年以降アメリカブタの間で循環流行している豚インフルエンザウイルスと類似しています。しかし、ノイラミニダーゼ(NA)とマトリックス(M)タンパク質の2つの遺伝子コードは、ユーラシア血統の豚インフルエンザウイルスの対応する遺伝子と類似しています。豚インフルエンザウイルスのこの特定遺伝子の部位の組合せは、GenBankの上で利用できるインフルエンザゲノムシーケンスの分析に基づくアメリカ合衆国の豚またはヒト分離株では、認められませんでした。この遺伝子の組み合わせをもったウイルスがアメリカの豚の間で循環流行していることは知られていません。どんなウイルスがアメリカ豚に流行しているかを決定する正式な国立監視システムはありません。アメリカ農務省とCDCの間の最近の共同作業では、豚と人間において豚インフルエンザウイルス感染症の疫学と生態学を理解するパイロット豚インフルエンザウイルス監視計画の発展につながりました。

これら2人の患者のウイルスは抗ウイルス薬アマンタジンとリマンタジンに耐性を示しました、そして、ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルとザナミビルの感受性は調査中です。
これらのウイルスは遺伝子の特異的な組合せを運ぶので、豚や人間で感染効率に関する情報は現在ありません。このウイルスの感染に関する調査は進行中です。
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