感染症速報詳細

記事日付 20090515
タイトル 髄膜炎、髄膜炎菌性-マレーシア:マラッカME、ペナンPG、疑い、情報提供依頼RFI
国名 マレーシア    
感染症名 髄膜炎
概要 [1] 20人の訓練生が入院し、2人が集中治療室に、18人も隔離病棟にいる 1人が死亡した
和文 http://www.themalaysianinsider.com/index.php/malaysia/26052-meningitis-outbreak-caused-by-diplococci-bacteria
保健省は、Tiang Dua [マラッカ Malacca]のthe Road Transport Department (JPJ) Academyの訓練生に発生し、先週[4日-]には1人が死亡した髄膜炎の起因菌が、the diplococci bacteria [双球菌:恐らく _Neisseria meningitidis_ 髄膜炎菌]であることを確認した。保健相によると、10日までに20人の訓練生が入院し、2人が集中治療室に入室し、18人も隔離病棟にいる。9日、新たに6人の患者が同じ病院に入院となった。...93人の訓練生は隔離され、厳重な健康監視が行われている。...Pedas
(Negeri Sembilan), Muar (Johor), and Bukit Katil (Malacca)など、訓練生の実習地から検体を採取し、この細菌の感染源の調査が行われている。スタッフと訓練生は全員、髄膜炎菌感染に対する予防的抗生物質を投与されている。
[2] 感染はacademy校内に限定され、国内への影響はない
情報源: The Star online、2009年5月12日。
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2009/5/12/nation/3884441&sec=nation
保健省は、マラッカの双球菌性髄膜炎感染流行は封じ込められたと見ている。感染はacademy校内に限定され、国内への影響はないと考えられると、保健省が述べた。4日、Tiang Dua, Malaccaにあるこの学校の訓練生1名が、病院への搬送中に感染症により死亡した。ウイルス感染によるものではないことが直ちに確認されたと、同相は説明した。11日現在、マラッカの入院患者は32人で、うち2人が集中治療室に入っており、29人が隔離病棟に収容されている。残る1人はペナンPenangのKepala Batasで入院中である。いずれも状態は安定しているが、治療コースは1週間かかると説明した。...以下、検体採取、89人の隔離、234人の訓練生の停留、など...
[3] 髄膜炎が疑われて入院中の患者の数が、前日の31人から38人に増えた
情報源: The Star online、2009年5月13日。http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2009/5/13/nation/3887702&sec=nation
マラッカの病院に、髄膜炎が疑われて入院中の患者の数は、前日の31人から、12日には38人に増えた。全国の入院患者数は、Kepala Batas [Penang]の訓練生1名を含め、39人となった。新たに発症した4人の患者は、Tiang Dua, Malaccaのホステルに停留されていた訓練生であることが明らかにされた。少なくとも2人はレントゲン技師で、1人は訓練生のフィアンセである。集中治療室に入院中の2人の訓練生は、歩行できるまでになっている。感染源は特定されていない。
[Mod.ML注-記事では特定されていないものの、今回のマレーシアの髄膜炎感染流行の原因は、恐らく髄膜炎菌_N. meningitidis_. によるものと考えられる。ProMED-mailでは最近、ミャンマーにおける髄膜炎菌性と考えられる髄膜炎流行と、ミャンマー西部国境地帯の、インド北東部とバングラディシュの、確定診断された髄膜炎菌性髄膜炎について報告されている。以下に、20090218.0674のMod.MLのコメントを抜粋した: ほとんどの症例が弧発例で、集団感染は2%以下である。集団発生が起きるのは、半閉鎖集団である、訓練兵キャンプ、学生寮、学校、デイケアセンターなどである。郡市町といった地域において、濃厚接触がなく共通因子のない人々の間で、集団感染が発生することもある。最も感染しやすいのは2歳以下の小児であるが、流行期には5-19才までの年齢層で通常より高頻度に患者が発生する。現在、米国の大部分の感染の原因はserogroups B, C and Y によるものである;serogroup Aは米国ではまれであり、W-135による感染の占める割合は極めて小さい。乳児ではserogroup Bが最も多く、一方65歳以上の患者のほとんどがserogroup Y で占められている。髄膜炎菌性疾患のアウトブレイクの定義は、3ヶ月以内に3人以上の確定もしくは可能性例の発生とされている。これは結果的に、通常の発生率のおよそ10倍である、人口10万対10人以上のprimary disease attack rate 一次罹患率となる。予防内服は、総人口の500-800倍の髄膜炎菌性疾患罹患リスクをもつ接触者に行われる。患者の濃厚接触者とは、同居家族、デイケアセンターでの接触者、患者の口腔分泌物への直接接触者である。濃厚接触者以外の予防内服は勧められない。予防内服の判断材料として、髄膜炎菌_N. meningitidis_のための口腔咽頭および鼻咽頭培養はいずれも用いられない。感染流行が発生した場合、流行と判断されればなるべく早い時期に、リスクのある集団は、適切なserogroupに対する髄膜炎菌ワクチンの接種を受けるべきである。 ..マレーシア北西部沿岸のPenangの1例と、南西部沿岸のMalaccaの他の感染例と、どのような関連性があるのかについては明らかにされていない。マレーシア国内の細菌性髄膜炎流行の原因となった病原体の確定が待ち望まれる。分離株のDNA fingerprintingは、疫学的な関連づけに有用である。]

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