感染症速報詳細

記事日付 20090515
タイトル Ljungan virus - スウェーデン:SIDS
国名 スウェーデン    
感染症名 Ljunganvirus
概要 Ljungan virus は、SIDSの最も重要な病原体の1つであるとの仮説が掲載された
和文 http://www.ljunganvirus.org
Ljungan virus は、sudden infant death syndrome [SIDS 乳児突然死症候群]に関わる、最も重要な病原体の1つである。このような仮説が、科学誌Forensic Science, Medicine and Pathology [Forensic Sci Med Pathol. 2009 May 1 (Epub ahead of print) -- see abstract below]に掲載された。この説は、3つの証拠から導かれた:SIDS患者の脳、心臓、肺の組織からLjungan virus (LV)が新たに確認されたこと、LVが種々の動物で関連性のある疾患をおこすことが観察されたこと、および、SIDS発生とLVの保有動物の増加の間に関連性があることである。さらに最近、科学誌Birth Defects Researchで、LVが子宮内胎児死亡や奇形(水頭症と無能症)に関係するとの報告があった。
[Mod.CP注-Ljungan virus は、parechovirusの1つである。The genus(属) _Parechovirus_ は、 the family _Picornaviridae_(ピコルナウイルス科)を構成する9つのウイルス属の1つで、_Human parechovirus_ と _Ljungan virus_の2種類のウイルスが含まれている。Virus Taxonomy (The Eighth Report of the International Committee on Taxonomy of Viruses)に従い(?)、the human parechoviruses は気道と消化管で増殖する。幼小児での感染が多いが、恐らく多くは不顕性感染に終わっている。気道感染と下痢以外に、中枢神経系の感染も報告されている。Ljungan virusの分離結果から、主に齧歯類に感染するものと考えられている。parechovirusesの予測タンパク塩基配列には大きな相違が見られ、ピコルナウイルス科の中の他のウイルスの対応するタンパクと比較して、30%以上の相同性を有するタンパクを持っていない。米大陸とスウェーデンのLjungan virus 分離株には、かなりの相違が認められた。以下は、今回の報告の事前発表論文の要約である:"Ljungan virus (LV) は近年、自然界の齧歯類宿主の周産期死亡や、実験マウスの繁殖における発達異常に関係することが示されている。スウェーデンにおける小型齧歯類の個体数増加と、ヒトでのintrauterine fetal death (IUFD 子宮内胎児死亡)発生の間には、強い疫学的相関性が確認されている。LV抗原が、IUFD症例の半数で検出されている。sudden infant death syndrome (SIDS) が、齧歯類の増勢に関連性があり、SIDS症例で同ウイルスが検出されるかについて検討した。スウェーデンの死因検索データベースを用いて調査したSIDS発生の変化は、野生の齧歯類の個体数変動の影響を受けていた。SIDS、リンパ球性心筋炎のあるSIDS、および心筋炎の症例について、LV特異的免疫組織化学法IHCを用いて、ホルマリン固定された脳、心臓、肺組織を調査したところ、IHCを用いて検討した患者3人全員の、脳・心臓・肺組織から、LVウイルスが検出された。これらの研究結果から、LVは、乳児死亡に大きく関与し、IUFDとSIDSは、最も疫学的関係の深い疾患である可能性が高いことが示唆された。"]

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