感染症速報詳細

記事日付 20090522
タイトル ポリオ-世界各国:(05)
国名 世界各国    
感染症名 ポリオ
概要 ケニア、世界各国、宗教上の理由によるワクチン拒否
[1] Kenya
和文 http://www.eastandard.net/news/InsidePage.php?id=1144014734&cid=159&
衛生学の専門家らは、(ケニア)国内で、この衰弱性疾患の感染流行が発生する危険がないわけではないと、警告した。およそ30万人の小児らに、定期予防接種が行われていないことも明らかにした。このUNICEF関係者は19日、緊急の抗ポリオ対策にもかかわらず、同ウイルスは今も感染循環がつづいていると話した。4月19日に最新のウイルス確認があり、キャンペーン対策の効果に疑問が投げかけられていると説明した。2009年2月に2人と報告されていたポリオ感染は、3月に8人となり、現在13人となっている。第3回目のポリオワクチン接種キャンペーン開始に際して、ワクチン接種のカバー率低下を憂慮する旨の発言を行った。Turkana Districtで野生株ポリオウイルスの感染が診断された13人の小児のうち、10人はワクチンを接種されていなかった。2009年2月に、同地区でのポリオ感染流行が報告され、13人の小児に麻痺が残った。...WHOは、ケニアの野生株ポリオウイルスは、スーダン由来であると報告している。政府当局は、Rift Valley, Central and Nairobi provincesの42個所を、ハイリスク地区としている。専門家らは、今回のポリオ流行により、1984年以来の状況が脅かされていることを懸念している。2009年の早い時期に、初めて報告されたポリオ感染症例は、2才と4才の小児であった。感染拡大を阻止するための3つの緊急キャンペーンが、ケニア、ウガンダ、エチオピアで相次いで実施された。ケニア政府当局は、新たなポリオ感染症例の発生増加が報告されている北部の隣国からの、ポリオ感染輸入のリスク増大に向き合っている。
[2] Worldwide update
情報源: Polio Eradication Web site、2009年5月19日。
http://www.polioeradication.org/casecount.asp
世界の合計患者数: 2009 現在まで / 2008同期 / Total in 2008
- 世界全体 436 / 453 / 1652
- 蔓延国: 318 / 432 / 1506
- 非蔓延国: 118 / 21 / 146
各国別(抜粋): 2009現在まで / 2008同期 / 2008全体 /最新の症例
中央アフリカ: 2 / 1 / 3 / 3 May 2009
インド: 43 / 229 / 559 / 29 Apr 2009
ナイジェリア: 256 / 187 / 799 / 24 Apr 2009
パキスタン: 12 / 9 / 117 / 21 Apr 2009
アフガニスタン: 7 / 7 / 31 / 19 Apr 2009
ケニア: 11 / 0 / 0 / 12 Apr 2009
アンゴラ: 6 / 5 / 29 / 11 Apr 2009
ギニア: 1 / 0 / 0 / 9 Apr 2009
Cote d'Ivoire: 10 / 0 / 1 / 6 Apr 2009
スーダン: 33 / 1 / 26 / 4 Apr 2009
チャド: 1 / 2 / 37 / 1 Apr 2009
トーゴ: 6 / 0 / 3 / 28 Mar 2009
ベニン: 17 / 0 / 6 / 25 Mar 2009
ニジェール: 13 / 6 / 12 / 23 Mar 2009
ブルキナファソ: 9 / 0 / 6 / 16 Mar 2009
ウガンダ: 7 / 0 / 0 / 21 Feb 2009
コンゴDR: 1 / 2 / 5 / 10 Feb 2009
マリ: 1 / 0 / 1 / 4 Jan 2009
ガーナ: 0 / 0 / 8 / 8 Nov 2008
ネパール: 0 / 3 / 6 / 15 Oct 2008
エチオピア: 0 / 1 / 3 / 27 Apr 2008
月別の発生状況 http://www.polioeradication.org/content/general/current_monthly_sitrep.asp
Weekly summaries as of 19 May 2009
Endemic countries
アフガニスタン:2009年、7例の患者が報告され、全てwild poliovirus type 1 (WPV1).
インド:先週、WPV1 (in Bihar's Saharsa district, with onset of paralysis on [20 Apr 2009]) の1例と、WPV3 cases(in the Badaun and Rampur districts of Uttar Pradesh)の2例の、計3例の新たな患者が報告された。最新の患者(WPV3 case in Badaun, UP) の麻痺の発症は、29 Apr 2009であった
ナイジェリア:先週、WPV1 case (in Talata-mafara, Zamfara, with onset of paralysis on [20 Apr 2009])の1例と、12例の WPV3 casesが報告され、うち4 例は Bauchi stateからの報告であった。2009年の総患者数は256例で、190例がWPV3, 65例がtype 1で、1例は a type 1/3 mixtureであった。
パキスタン:ワクチン接種状況と、2009年の患者数が12例のままであること
Importation countries:アンゴラ、中央アフリカ(CAR)、チャド、コンゴDR、Horn of Africa、西アフリカに分けて解説、原文参照願います
[3] Religious objection to vaccination
情報源:Emerging Infectious Diseases 、2009年5月21日。
http://www.cdc.gov/eid/content/15/6/978a.htm
...Muslim原理主義者の、宗教上の理由による拒絶が、ナイジェリア・パキスタン・アフガニスタンにおいて、ポリオワクチン計画が不成功に終わっている、大きな要因である。パキスタンのトライバルエリアtribal areaでの宗教紛争は、ポリオワクチン接種の最大の障壁となっている。疫学当局は、パキスタンと国境を接する国内南部に集中する、アフガニスタンのポリオ蔓延地区からの、野生ポリオウイルス感染伝播を確認している。この感染伝播(拡大)が、これまでポリオ清浄地区とされていた地区での、新たなポリオ患者発生につながっている。地域のタリバンTalibanは、ワクチン接種が、アメリカによるMuslim集団浄化計画であると非難するfatwas(イスラムの解釈)を発出している。ほかにも過激派が広めた迷信として多いのが、ワクチン接種は、アラーAllahの意志に背く試みだとするものがある。タリバンは、トライバルエリアのワクチン接種を計画した責任者も含め、当局者らの殺害も行っている。接種担当者らの誘拐やbeatings(追い出し?)もしばしば報告されている。ナイジェリアやアフガニスタンでも、イスラム過激派による妨害が行われ、特に2003年のナイジェリアのKanoで激しく、その結果、アフリカの中でかつてポリオの発生がなかった8カ国で、再び感染が起きている。...

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