記事日付 | 20090523 |
タイトル | 鳥インフルエンザ-カンボジア:ヒト(93) 不顕性感染 |
国名 | カンボジア   |
感染症名 | 鳥インフルエンザ |
概要 | Study shows hidden bird flu cases in Cambodia H5N1鳥インフルエンザウイルスは、ヒトに無症候性感染する可能性があるが、非常にまれである |
和文 | http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/N21311768.htm H5N1鳥インフルエンザウイルスは、症状に気づかれないままにヒトに感染する可能性があるが、非常にまれであることが、21日に出版された報告で明らかになった。鳥インフルエンザの感染により2人の小児が死亡したカンボジアのある地域に住む600人以上に対して行われた調査の結果、少なくとも7人が明らかに感染しているにもかかわらず、全く気づかれていなかったことが分かった。雑誌the Journal of Infectious Diseasesに掲載されたこの報告では、患者らは、感染のあった鳥類が水浴びをしていた池での水泳中に感染した可能性があることも示唆されている。さらに広い範囲で確認をしなければ、これらの結果が一般的representativeであると考えることはできないが、ある状況下では、サーベイランスにおいて、潜在的にH5N1ウイルス感染が見過ごされていた可能性もあることが示唆されたと、WHOの関係者らがコメントしている。H5N1鳥インフルエンザウイルスによる鳥類での感染流行が続いており、FAOによれば、バングラディシュ、中国、エジプト、インド、インドネシア、ラオス、ネパール、ベトナムで、2009年2月だけで250件の感染流行が発生している。ヒトへの感染はまれだが、ひとたび感染すれば死亡する場合が多い。WHOは、2003年以来感染した424人中261人が死亡したとしている。一番恐れられているのは、ヒトでの間での感染が容易になえい、パンデミックにつながることである。この不安は、2009年3月に始まった、より軽症のH1N1豚インフルエンザによるパンデミックに近い流行により、やや影を潜めている。大きな疑問の1つは、一部で気づかれないまま感染が発生していたかどうかであった。もしそうであれば、致死率はもっと低くなる。現在の数字のままなら、致死率はおよそ60%ということになるが、感染者が424人より多ければ、もっと低い死亡率になる。カンボジアのパスツール研究所員らが、2006年にH5N1感染により死亡した2人の小児について調査を行った。住民らに聞き取り調査を行い、血液検体を採取した。住民674人中7人(1%)が、検査の結果、血中のH5N1鳥インフルエンザ抗体が陽性でありながら、重い症状を訴えていなかった。このことは、この患者らは、ある時期にH5N1感染と闘って撃退していたことを意味する。多くは男性で、18歳以下であり、他の住民と比べ、家の池での水浴びや水泳を多く行っていた。on stilt(高床の?)木の家に住み、井戸か池の水が唯一の家庭用の水源であり、死亡した2人の小児との接触のあったものはいなかった。研究者らによると、鳥類は糞便中にインフルエンザウイルスを排出し、特にカモは、ウイルスの汚染のある糞で池を汚染する可能性がある。糞や水中のウイルスは最大6日間生存する。この調査期間中、参加者のほとんどが、家禽との直接的な濃厚接触を繰り返していたと報告しており、その内訳は、家禽にエサをやったり触ったりした(73.3%)、肥料として家禽の糞を集めた(50.9%)、病鳥の羽毛をむしった(31.1%)、病死した家禽を素手で集めた(36.8%)などとなっている。しかし、筆者らは、今回分かったことから、2006年のカンボジアでは、病鳥からヒトへの感染伝播はまれであったことが示された、とも述べている。筆者らは、池や池の植物から採取された検体中に、H5N1ウイルスの遺伝物質を確認している。研究結果から、自宅の池での水浴びや水泳は、H5N1インフルエンザウイルス感染のリスクとなる可能性が示唆され、この種の小さな池はありふれており、庭先飼育の動物や園芸の水源となっていることが多いと報告した。多くの場合カモが、こどもたちが水浴びをして遊ぶこのような池を渡り、大量の糞を排泄する。 [Mod.CP注-今回の研究結果と照らし合わせた場合、カンボジアは、2005年にわずか4例、2006年は2例、2007年と2008年には各1例と、東アジアの中では発生の少ない国の1つで、1例を除いて死亡していることは、ある意味で驚きである。上記で紹介されたthe Journal of Infectious Diseases誌の論文の詳細:Sirenda Vongら、Risk Factors Associated with Subclinical Human Infection with Avian Influenza A (H5N1) Virus - Cambodia, 2006. The Journal of Infectious Diseases 2009; 199: 1744-1752 http://www.journals.uchicago.edu/doi/full/10.1086/599208 要約(背景)H5N1インフルエンザが発生したカンボジアの2つの村で、H5N1ウイルス感染伝播の発生頻度とリスク要因に関する調査を行った。(方法)家禽でのH5N1インフルエンザ感染流行発生からおよそ7週間後の2006年5月、インフルエンザH5N1患者2人の自宅周辺の住民らに聞き取り調査を行い、採血して検体を入手した。microneutralization assayによる検査で、influenza H5N1 neutralizing antibody titer of 1:80以上を陽性と定義し、Western blot assayにより確認検査を行った。症例対照研究を行って、H5N1インフルエンザウイルスのリスク因子を調べた。血清検査陰性のコントロールと、H5N1-seropositive personsとの、住居、H5N1感染家禽の自宅での飼育、性別、年齢をマッチングした。(結果)住民674人中7人(1.0%)がH5N1インフルエンザ抗体の検査陽性であり、重い症状を報告したことはなかった;; 6人 (85.7 percent)は男性だった。 7人の5N1-seropositive personsはいずれも18歳以下であり、検査で陰性seronegative for H5N1 antibodies だった人たち(平均年齢, 12.0 years vs 27.4 years; P=0.3) よりも若く、the 24 control subjectsの中で、 自宅の池での水浴びや水泳 bathing or swimming in household pondsの報告が多かった (71.4 percent vs 20.8 percent; matched odds ratio, 11.3; P=.03)。(結論)トリからヒトへのH5N1インフルエンザウイルス感染伝播は、たとえ家禽との頻繁な接触があったとしても、依然として低率である。汚染されている可能性のある環境への曝露は、ヒトの感染のリスク因子であった。" 今回の観察結果から、気道を通じた曝露で死亡例が見られるのとは対照的に、気道以外の経路からのヒトの感染では、はっきりとした発病にはいたらない、との結論が得られるかもしれない。] |
原文リンク |