記事日付 | 20090501 |
タイトル | インフルエンザA(H1N1)-世界各国: |
国名 | 世界各国   |
感染症名 | インフルエンザA |
概要 | [Mod.LM注-2009年インフルエンザA(H1N1)ウイルスがヒトの間で感染循環していることは明らかであるが、豚インフルエンザウイルスとの関連性はあるものの、ブタで確認されたことはなく、今回の感染流行がブタで発生している気配もない。このため、またWHOその他の機関での用語に合わせ、ProMEDでは豚インフルエンザの語ははずすこととする] [1] Origin The origin of the recent swine influenza A(H1N1) virus infecting humans |
和文 | http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19193 現在の感染流行の原因となった、新種のインフルエンザA(H1N1)ウイルスの遺伝子について行われた暫定的な解析結果から、全ての遺伝子の各部分は、通常の豚インフルエンザウイルスの相当する部分に非常に近縁のものであることが示された。新種のインフルエンザA(H1N1)ウイルスがメキシコで確認され、世界中の各地に瞬く間に広がった。WHOは各国政府機関や国際機関と協力し、評価、診断、感染拡大防止策の実施に当たっている。このような努力として、複数の異なるウイルス分離株からの遺伝子配列を適時公開している。このことにより、多くの科学者らが、このような活動に参加することが可能となる。今回の新たなウイルス株の由来に関しては、いくつかの疑問が浮上している。インフルエンザAは、一本鎖RNAウイルスで、8つの分節に分かれる。2つのウイルスが同じ細胞に共感染すると、それぞれの親ウイルスからの部分を含む、新たなウイルスが産生される可能性がある。公開されているデータベースにある遺伝子配列を用い、メキシコで新たに発見されたウイルス株に最も近い類縁ウイルスを同定し、clusters と系統発生樹を作成した。sequence alignment(遺伝子配列)と相同性、基本構成部分の解析によるcluster解析、および系統発生樹のいずれも同じ結果を示した。我々の暫定的な解析結果によると、今回の新たなウイルス株に最も近いrelativeはブタで発見されたものであり、シチメンチョウでも確認されることがあるウイルスであった。ウイルスの6つのsegmentsは、北米の豚インフルエンザウイルスに関連性があり、他の2つのsegments(NA and M)はEurope/Asiaで分離された豚インフルエンザウイルス由来であった。the NCBI data baseにある中で、HA segmentが最も近いclustersは、North America swine influenza A(H1N2) とH3N2sであった。あたらしいウイルス株のthe neuraminidase (NA) geneについて最も近いrelativeは、1992年に分離されたinfluenza A isolatesであった。さらに多くのデータを検索すれば、この遺伝子の進化の過程が解明されるかも知れない。北米のウイルスの祖先は、1998年以降に北米で分離されたH1N2 and H3N2 swine virusesの、複合再集合によるものである。とりわけ、1998年のthe swine H3N2 isolates分離株は、ヒトとブタと鳥類由来の三重再集合ウイルスであった。このため、今回の暫定的解析結果は、現在のH1N1ウイルスの祖先は少なくとも2種類の豚インフルエンザであり、そのうちの1種類は1998年のthe triple reassortant virusesに関連していることが示唆されている。これまでのところ、この新たなウイルス株は、ブタでは報告されていない。ブタの集団でのサーベイランスが不十分であるためか、もしくは今回のウイルスが非常に直近におこった再集合から生まれたものであるためかははっきりしていない。 文献多数 著者:V Trifonov(Department of Biomedical Informatics, Center for Computational Biology and Bioinformatics, Columbia University College of Physicians and Surgeons)ら [2] Nomenclature 命名 US drops "swine flu" name 米国政府当局、豚インフルエンザの名前をはずす 情報源:The Bangkok Post, Agence France-Press 、2009年4月29日。 http://www.bangkokpost.com/breakingnews/141906/us-drops-wine-flu-name これまで"swine flu" と呼ばれてきた疾患は、新たに"2009 H1N1 flu,"と呼ばれることになったと、29日に米国政府当局者が述べた。米国の豚肉輸出業者が世界中からclampdown(排除)されることへの対策である。豚インフルエンザウは、ウイルスの一部を占めるにすぎないことから、ハイブリッドインフルエンザとブタとの距離を置く一方、当局は改めて豚肉の消費によるH1N1感染がないことを強調した。.. [3] MMWR Dispatch - Drug susceptibility 情報源:: MMWR Dispatch, Vol. 58、2009年4月28日。http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a1.htm?s_cid=mm58d0428a1_e 4月21日以来CDCは、swine-origin influenza A (H1N1) virus (S-OIV)のヒト-ヒト感染による呼吸器感染症例について報告してきた。4月28日現在、米国内でS-OIV casesと確定診断された患者は64人である:California (10 cases), Kansas (2), New York (45), Ohio (one), and Texas (6)。ウイルスは、これまで世界中で報告されたことがない、豚インフルエンザおよびヒトインフルエンザウイルスの遺伝子部分の独自の組み合わせを持っている。64人中13人(20%)の患者からウイルスには、抗ウイルス薬に対する耐性があることが判明した。全てのウイルスはamantadine and rimantadineに耐性であるが、oseltamivir and zanamivirには感受性があった。この報告の目的は、新たに確認されたS-OIVsの薬剤感受性を提供し、豚インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染に対する治療と予防のガイドライン作成に資することにある。また、抗ウイルス薬耐性のモニタリングと、診断検査開発にも寄与するものと思われる。...感受性の検査法など(詳細は原文参照願います)..検査された13検体は全てM2タンパクのS31N変異を含んであり、adamantane系抗ウイルス薬に耐性を示す原因となった。さらにthe M2 pyrogramsから類推される一部の遺伝子配列が、the M gene of S-OIVsを特徴づける変化を説明することとなった。季節性インフルエンザウイルスのadamantane耐性の検出に使用される既知のプライマーでは、いずれのS-OIVsの検査でも検出できなかった。有効なプライマーが作成され、使用可能となっている。検査された13のウイルスは全て、oseltamivir- and zanamivir-sensitive influenza virusesに矛盾しないIC50値を示した。コントロールは、季節性インフルエンザウイルスであるA/Georgia/17/2006 (H1N1)が用いられた。oseltamivir に対するIC50値は0.28 nM から1.41 nM、for zanamivir ranged from 0.30 nM to 1.34 nMであった。また、peramivir and A-315675に対しても感受性を示した。..つづく [4] 臨床的な疑問 投稿者:加・Andre Dascal 、2009年4月29日。 診療に当たっている医師や公衆衛生関係者に。豚インフルエンザと確定された患者の、年齢に特異的な症状や所見に興味がある。16才から64才の年齢層の中で、ウイルス検査以前に、発熱も咳も認められなかった確定患者がいたかどうかも知りたい。現在の診断基準(定義)の1つが発熱であることは承知している。全てではないにしても、ほとんどの患者に発熱が認められると考えられる。しかし、発熱がなくても検査を受けた患者がいるのではないかと考えている。咳やその他の呼吸器症状のあった患者がどれぐらいかも知りたい。 [5] Vaccine production 情報源: Scientific American, 60 Second Science 、2009年4月29日。 http://www.sciam.com/blog/60-second-science/post.cfm?id=vaccine-makers-await-critical-swine-2009-04-29 WHOは29日、感染拡大のある豚インフルエンザに対するパンデミック警戒レベルを1段階引き上げた5に変更し、米国CDCは、製薬会社がワクチン製造に必要な原料を入手できるよう働きかけている。米国政府Health and Human Services (HHS 健康人類局)は、通常のワクチン出荷期日である8月に向けて製造中の季節性インフルエンザワクチンのbatches(生産枠?)に、新たな豚インフルエンザに対するワクチンを組み入れる可能性はないとしている。CDCやその他機関は、薬品会社のワクチン製造の決定時期である2009年5月末までに、the virus reference strain(標準ウイルス株)の作成作業に入っている。必要な施設や製造過程の調整(通常2週間以上)が一旦行われてしまえば、pilot vaccineの開発が開始され、the National Institutes of Health (NIH)の検査により、1回接種量や接種回数、安全性情報などが決定されることになる。種々の理由から、豚インフルエンザワクチンを、季節性ワクチンに含めることは難しい(unlikely)と当局者は述べた。季節性ワクチンは最後の製造過程にはいており、追加ワクチン株を待つことで、季節性ワクチンの使用開始時期に遅れが出ると述べた。さらに、もし新たなワクチンが2回接種を必要とするならば、季節性ワクチンの使用を複雑化する。...仏・リヨンLyonのSanofi Pasteur社は、最速かつ最も安全な製造方法は、豚インフルエンザと季節性インフルエンザは、2つの別のワクチンのまま維持することであるとの意見に同意した。同社広報は、季節性ワクチンの製造の進行は順調であるとし、混合ワクチン製造の試みは季節性ワクチンの製造を遅らせる結果となると述べた。一方、現在の豚インフルエンザ感染拡大の勢いは先が見えない状態であり、(米国では)季節性インフルエンザによる入院患者は毎年約20万人で、2009年は約3万6千人が死亡している。WHOとCDCは毎年、その年のワクチンに含まれるインフルエンザウイルス株を1月に協議し決定し、製薬メーカーが8月には出荷することが通例となっている。CDCからの情報を待つことなくH1N1生ウイルスを供給する、数少ない製薬メーカーの1つであるBiotech firm Novavax, Inc社は、the CDC が the Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data (GISAID) databaseに情報を提供した情報に基づき、prototype swine flu vaccineの開発を開始した。..Novavaxは、virus-like particle (VLP) technologyにより、約3ヶ月で特定のウイルスに適合するワクチンを製造することが可能と主張している。The recombinant VLPsには遺伝学的材料は用いられず、粒子をウイルスのように見せる表面タンパクが含まれていて、増殖に必要な遺伝子は含まれていないが、免疫反応は誘導される。この技術はほとんど検証されたものではないが、Novavax社は、ほかにワクチンがない状態であれば、最初の作成者として緊急承認を得られる可能性があるとして、ワクチン製造に意欲的である。同社は3ヶ月以内にCDCもしくはHHSにprototype vaccineを提示する計画である。同社の季節性ワクチンは現在、安全性と有効性に関する第Ⅲ相の臨床治験段階であるが、FDAの承認を得るまでにはあと数年間かかる見通しである。ワクチン製造メーカーは、製品出荷?(off the ground)に必要な材料を待っている状態であり、ロンドンLondonにあるGlaxoSmithKline 社は、抗ウイルス薬 Relenza (zanamivir)の生産量を急増させている。.. [6] CDC guidance for infection control in healthcare facilities 情報源: CDC、2009年4月29日。 http://www.cdc.gov/swineflu/guidelines_infection_control.htm 4月29日の原文参照願います 関連項目 5月3日更新 感染症情報センター(和訳)http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_infection_control.html [7] Interim Guidance for Clinicians 2009年4月29日午後11時45分(アメリカ東部時間)更新(原文) 情報源: CDC、2009年4月29日。 http://www.cdc.gov/swineflu/identifyingpatients.htm 感染症情報センター(和訳) http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_guidance.html 訳注:本文書はすでに改訂されている。参照および比較の目的のみでこの翻訳を掲示している。 (抜粋) 目的:この文書はブタ由来インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染患者、または感染が疑われる患者を診察、治療する可能性のある医療従事者への暫定的ガイダンスである。内容は新しい情報と共に改訂されるものとする。 以下、感染経路(データがまだ少ないので、目や結膜、腸管からの感染の可能性については分かっていない 全ての呼吸器系分泌物と体液(下痢便)は感染源になりうると考えるべきである)、潜伏期間(1‐4日間という可能性が高い)、確認された症例(confirmed case 1.real-time RT-PCR 2.ウイルス培養)、臨床症状、合併症、合併症に対するハイリスク群( * 5歳未満の小児 * 50歳以上の成人 * 妊婦 * 長期滞在型医療施設や慢性疾患治療施設入居者 など...)、報告、検査、治療、追加療法、感染源となる期間(まだ分かっていない 季節性インフルエンザ感染患者のウイルス排泄期間に準じて考えると、発症1日前から症状の消失時まで 小児、特に乳幼児はより長く感染性があるかもしれない)、感染対策の手段(http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidelines_infection_control.htm )、抗ウイルス剤の予防投与( http://www.cdc.gov/h1n1flu/recommendations.htm )。 感染研 感染症情報センター(和訳) 5月4日の更新改訂版 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_03.html |
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