記事日付 | 20090620 |
タイトル | インフルエンザA(H1N1)-世界各国:(72) case count、疫学 20090619.2261 |
国名 | 世界各国   |
感染症名 | インフルエンザA |
概要 | [1] Worldwide - WHO 07:00 GMT+2 |
和文 | http://www.who.int/csr/don/2009_06_15/en/index.html Summary table of cumulative cases reported to WHO as of 1 May 2009 -- 19 Jun 2009 感染研 感染症情報センター [2] Global epidemiologic situation, June 2009 - WHO New A (H1N1) virus: global epidemiological situation, June 2009 情報源: WHO Weekly Epidemiological Record 19 Jun 2009, No. 25, 2009, 84, 249-260、2009年6月19日。 http://www.who.int/wer/2009/wer8425.pdf (長文のため、概略・要旨のみ;原文参照願います) 2009年6月11日、WHOはパンデミック警戒レベルを5から、41年ぶりに、インフルエンザパンデミック進行中(under way)の6に引き上げた(1)。ヒト-ヒト感染が持続し、WHOの2つの地域の1つ以上の国において、コミュニティレベルで感染流行が発生していることを表す。もはやある特定の地域に封じ込めることは不可能である。これまでのパンデミックでは、これほどの範囲にまでに広がるのに6ヶ月以上を要したところ、今回の新型インフルエンザA(H1N1)パンデミックウイルスは、米国カリフォルニアCaliforniaの初の感染確認から、わずか6週間足らずでこのレベルに達した(2)。新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの世界的な疫学状況を要約した。検査で確定された患者の年齢と性比の分布、パンデミックウイルスの地理的広がり、世界的もしくは地域内感染伝播パターン、有病率・致死率のパターン、特定の国における新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスと季節性インフルエンザウイルスの共感染循環などの、記述疫学報告である。 方法 加盟国から提供された新型インフルエンザA(H1N1)感染患者の報告の蓄積データ、発表内容、記者会見も含めた政府保健当局からの公式サイトからの情報を使用した。患者定義はthe Interim WHO guidanceで確認できる。.. Geographical spread:インフルエンザ活動性が報告される地域の数と範囲 Transmission :各国内の感染拡大パターン Intensity: 人口内の呼吸器疾患の大まかなレベル Trend :インフルエンザ活動性の指標となる呼吸器疾患のレベル (増加、不変、減少) Impact :インフルエンザ活動性の結果としての医療サービスへの影響(混乱) 地理的拡大と感染伝播の動き Map 1とTable 1(上記URL参照):WHOの5つの地域の74カ国から報告されているにもかかわらず、その90%が南北アメリカで発生している。WHOアフリカ地域の46カ国からの報告はない[この報告が作成されたあと、南アで初めての確定例]。海外(各国間)の旅行が、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスを、初期発生中心のメキシコと米国から、高率の感染伝播強度を持って、多くの国に広げた。6月3日時点で、欧州圏の415人の患者の50%が、発症前にメキシコもしくは米国へ旅行していた。6月1日なって、英国では国内感染例が急増している。他の国でも同様の減少が観察されている。カナダでは、4日現在1630人の患者のうち、発病7日前に旅行したものは182人(10.7%)だけであった。メキシコを除くほとんどの国々では、患者増加傾向が報告されている。sub-national levelでは、国によってその発生・伝播パターンが異なっており、患者0、輸入例のみ、限定された地域内、施設内とくに学校の感染流行、そして広範囲で持続的にコミュニティで発生するなどである。豪では、ビクトリアVictoria州内での持続的感染流行が報告されているが、他の州は局地的な感染とされている。 基礎再感染数の評価 the basic reproduction number (R0)の初期評価の値は1.4-1.6であったが、遺伝学的解析から得られた数字は1.2と見積もられている。季節性インフルエンザに比べかなり高値と考えられるが、1918パンデミックインフルエンザでは、計算上2-3とされている。日本における研究では、2.3とと高値で、平均世代時間generation timeは1.3-4.0日間とされた。... 患者の年齢と性の分布 これまでのところ、いずれの国でも青少年と若年成人での発症が大部分で、男女とも均等に感染している。..メキシコ旅行後の米・高校生での集団発生例..WHOに集められたデータによると、0-9才が25%、10-19才が36%、20-29才が17%、20-29才は9%、40-49才は7%で、50歳以上が5%となっている。...日本では、80%が10-19才の年齢層にある...現段階で、報告患者数に若年者が多く見られる要因が、免疫学的にnaive(曝露されていない)年代である若年者の感受性が高いためかどうかは、時間経過が不十分な中、はっきり判っていない。 世界的な有病率と致死率 インフルエンザで不幸な転帰をとることが知られているハイリスクグループでも、健康とされた成人でも、重症例が発生しているが、全体的にみると、多くの患者は軽症例であり、WHOは今回のパンデミックを"moderate."に分類した。神戸市では、5月25日現在で49例の検査確定患者が報告されているが、ほとんどの患者は速やかに回復し、発症から解熱まで1-8日間(平均3日間)であった。 入院 米国、メキシコなどでは、隔離ではなく、治療目的の入院患者が発生している。入院患者では、5歳以下、妊娠、合併症などが認められた。ニューヨークNew York City保健当局は11日現在、567人の入院患者と16人の死者を報告しており、そのうち79%が50歳以下、46%が18歳以下で、5歳以下が20%であり、65歳以上はわずか5%と、季節性インフルエンザと比べて若年者である。5月30日現在のカナダの入院患者(基礎疾患30.0%、妊婦1名)。チリの入院患者は、確定患者1694人に対して1.7%の29人。欧州では36%の患者が入院を必要としたが、いくつかの国は隔離目的。WPRO(西太平洋)からは入院患者の割合のデータは示されていない。 Co-morbidities(合併する疾患) 合併症の報告があるが、重症化した症例における合併疾患の存在に関する正確な程度については、現在調査中である。NYCでは80%に1つ以上の何らかのリスクファクターが認められた。検査で感染が確定された入院患者の41%で合併があった、喘息が最も多かった。その他のリスク因子として、妊娠(妊娠可能な女性142人のうちの28%)、2歳未満の小児(12%)、糖尿病(11%)、免疫不全(9%)、心血管疾患(9%)が見られた。 Community-based studies NYCでの電話聞き取り調査の結果では、対象者の6.9%が、5月1日から20日の間にインフルエンザ様症状があったと答えた。.. 家族内の二次感染率 季節性インフルエンザでは5-15%とされる二次感染率だが、新型インフルエンザA(H1N1)の家族内二次感染率は、22-33%に及ぶと見られている。 医療機関への影響 カナダ、チリ、メキシコ、米国における、医療機関へのウイルス感染発生の影響は小さいと考えられている。しかし、国内の一部では、中等度の影響が見られるところも存在する。 季節性インフルエンザとの同時感染循環 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染循環の動向と重症度に対する、季節的な影響は、重要であるがまだ答えが出されていない。結論を出すのはまだ早すぎるが、複数のインフルエンザサーベイランスシステムによると、新型インフルエンザA(H1N1)と季節性インフルエンザが、オーストラリア、カナダ、チリ、欧州、メキシコ、米国で、同時に感染循環している、とする証拠が示されている。チリでは、新型インフルエンザA(H1N1)ういるすが、季節性インフルエンザウイルスを駆逐しつつある。5月末の時点で、検査で分離されたインフルエンザウイルスの90%が新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスであった。疫学第23週時点で、欧州のインフルエンザサーベイランスシステムに報告された3548検体のインフルエンザウイルスのうち、わずか18件(0.5%)に新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの特徴が認められたのみである( http://www.eiss.org/cgi-files/bulletin_v2.cgi )。米国では、疫学第22週のインフルエンザAウイルス2663検体中、77.8%にあたる2071検体が、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスであった。 WER編集部注、データの限界、過去のパンデミックの教訓、参考・関連事項(26件)に関しては原文参照願います [3] News briefs: 19 Jun 2009 南北アメリカ: Chile - 4th death confirmed http://www.etaiwannews.com/etn/news_content.php?id=980718&lang=eng_news Argentina - 7th death confirmed http://momento24.com/en/2009/06/19/swine-flu-a-pregnant-woman-died-and-is-the-sevent-fatal-victim/ 欧州: Slovenia - 1st case confirmed, 米国への渡航歴 http://www.reuters.com/article/europeCrisis/idUSLJ93474 アジア: Bangladesh - 1st case confirmed, USAへの渡航歴 http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jDSXIL8weT8B2Gy0mECTsntm0q9A> オセアニア: Australia - 1st death reported, 重大な基礎疾患あり http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,25662686-601,00.html アフリカ: Ethiopia - 1st 2 cases confirmed, USAへの渡航歴 http://www.reuters.com/article/GCA-SwineFlu/idUSTRE55I5AN20090619 |
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