感染症速報詳細

記事日付 20090630
タイトル インフルエンザA(H1N1)-世界各国:(78) タミフル耐性、デンマーク
国名 世界各国    
感染症名 インフルエンザA
概要 デンマークで死亡した9才の患者で、初めてのタミフル耐性豚インフルエンザが確認された
和文 http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/8124987.stm
研究者らが、豚インフルエンザとしては初めての、パンデミック対策の主要な薬剤であるTamiflu [oseltamivir]耐性ウイルスが確認されたことを報告した。Roche Holding AG 社は、デンマークのH1N1インフルエンザ感染患者が、この抗ウイルス薬に耐性であったことを確認した。同社の取締役は、季節性インフルエンザでもそうであったように、予想外のことではないと述べた。この情報は、英国で豚インフルエンザにより死亡した3人目の患者である、9才の少女で確認された。Birmingham Children's Hospitalのこの女児の主治医は、女児には基礎疾患が有ったことを明らかにした。豚インフルエンザと女児の死亡との因果関係は明らかになっていない。保健当局は、イングランドEnglandにおける豚インフルエンザ感染確定患者数は、26日から1604人増え、一気に5937人に達したと発表した。英国内での定期的なサンプリングによると、現在のところ、 oseltamivirやzanamivirへの耐性は確認されていないと、健康保護局の当局者は説明した。医療の専門家は、市中でのH1N1拡大防止のため、タミフルoseltamivirを使用しており、早期に服用されれば、症状は緩和し他への感染抑制につながる。この初の耐性例は、タミフルを服用した豚インフルエンザ患者で見つかった。市中にタミフル耐性のH1N1が感染循環しているわけではない点が強調されている。2009年にタミフル耐性ウイルスが登場し、世界中で広く蔓延する季節性H1N1インフルエンザとは、事情が異なっている。専門家らは、もしこのようなこと(豚インフルエンザでのタミフル耐性蔓延)が起きれば、タミフルによる治療の効果が期待できなくなることが懸念され地得る。zanamivir or Relenzaと呼ばれる、GlaxoSmithKline社が製造する、もう1種類の抗ウイルス薬も、豚インフルエンザに対して有効である。英国政府は、これらの抗ウイルス薬を備蓄し、現在人口の半数を治療できるだけの量を確保し、できる限り80%まで引き上げることを約束している。また、インフルエンザワクチンflu vaccineの供給も発注しており、2009年秋には第1回の接種が可能となる予定である。当局は、今後も抗ウイルス薬耐性を注意深く見守り、感染流行の期間中定期的なサンプルの検査を実施していくとした上で、流行当初から抗ウイルス薬耐性を監視しており、英国内では、両剤に対する耐性は確認されていないとの説明した。ウイルス学の専門家は、この発見には驚いていないが、今後どのように拡大するかが問題であり、まもなく答えが出るだろうと述べた。
[Mod.CP注-the European Influenza Surveillance Scheme Weekly Electronic Bulletin of 26 Jun 2009 (<http://www.euroflu.org/>)によると、他の地域では季節性インフルエンザA(H1N1)のTamiflu耐性が認められているものの、全ての検査された季節性インフルエンザA(H1N1)ウイルスが、oseltamivir and zanamivirに対して感受性があり、 M2 inhibitorsには耐性であったと報告している。今のところ比較的軽症であるこの疾患に、広くそしてやや無分別にタミフルが使用されていることを考えれば、Tamiflu-resistant 209(?) swine-origin A H1N1 influenza virus の登場は驚くには値しない。今後このTamiflu耐性ウイルスが、欧州や、欧州を飛び越えて別の場所に広がりを見せるかに注意しなければならない。デンマークで分離されたこの耐性ウイルスは、代替のノイラミニダーゼ阻害薬であるRelenzaには感受性が残されていると考えられる]


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