感染症速報詳細

記事日付 20090702
タイトル 鳥インフルエンザ-ロシア:(トゥバTU)、家禽か渡り鳥か(03)
国名 ロシア    
感染症名 鳥インフルエンザ
概要 HPAI H5N1 in wild birds in Russia (final draft)
野鳥の高病原性鳥インフルエンザH5N1、ロシア(確定)
和文 http://www.defra.gov.uk/animalh/diseases/monitoring/pdf/h5n1-russia-090626.pdf
1.症例報告
ロシア政府は、Respublika Tyva Region(トゥバ共和国内、上記URLに地図あり)で死亡して発見された58羽の野鳥の、H5N1 HPAI感染流行を報告した。

2.発生状況の評価
2009年2月、香港当局は、11件の、死亡して海岸に打ち上げられたり内陸部で発見されたりした、野鳥(2 corvids, a heron アオサギ, a falcon ハヤブサ) もしくは家禽のH5N1 HPAI事例を報告している。5月には、中国・青海湖の野鳥で1件のH5N1 HPAI感染流行が報告された。報告によると、107 great crested grebes カイツブリ, 3 bar headed geese ガン, 11 brown headed gulls カモメが死亡して発見されたことが示されている。モンゴルでは、5月にアルハンガイArkhangai 県の渡りをするwhooper swans(オオハクチョウ)のH5亜型 HPAI感染流行が報告されている。これらの報告は、2005年に東南アジアとロシア南部シベリアSiberiaで発生したのと同じパターンを辿っているようである。後から考えてみると、2005年のこれらの報告は、(その後に発生した)欧州やアジア全域の広い地域にわたって、多くの国々でHPAI H5N1感染流行が発生する前触れ(開始のサイン)であったことが判っている。今回の報告が、今後どこまで広がることになるかは未知数である。また、今回の報告は、2005年に分離されたウイルスと同じウイルスが再興したものであるのか、それとも新たなウイルス株が関係するのかも判っていない。現在の報告数は、2005/6年ほどではないが、それ以降では最も多い。これまでの報告によると、2005年の青海湖では、6000羽以上の野鳥が感染した。2006年の感染は約900であった。2005年と2006年のモンゴルの数値は(中国より?)少なかった。2006年、ロシアのUvs Noor lake地域から4000羽以上のカイツブリgrebesのH5N1 HPAI感染が報告された。ロシアはまた、6つの地域において、120件以上の家禽のH5N1 HPAI感染流行を報告している。これらの地域では、野鳥の死亡も確認されている。その後、欧州・アジア・アフリカの広い地域でH5N1 HPAI感染が報告された。2005年から2006年の感染拡大の中で採取された検体の調査により、モンゴルの渡り鳥のオオハクチョウが、他の野鳥との接触によって感染する歩哨種sentinel species の役割を果たす可能性が示唆されている。モンゴルから青海湖、ミャンマーへの渡りのルートに関する詳しい研究は、当時のこの地域の野鳥から得られた分離ウイルス間の系統発生上の関連性を裏付けるものであった。2009年の東南アジアとエジプトの家禽で、H5N1 HPAIの発生概数の増加が見られている。これに一致して野鳥での発生件数の増加が認められていることは、地域内の野鳥のサーベイランスが機能していることを示唆する。ある年から翌年への流行サイクルには、しばしばpopulation changes(鳥類の種の構成・個体数変化)や免疫反応の持続性との関連性が認められてきた。DEFRAは、ECの勧告に従った野鳥サーベイランスシステムに協力する

3.結語
われわれは、(H5もしくはH7)高病原性鳥インフルエンザが英国の家禽で発生するというリスクが、低いまま継続して存在し、最新の報告からリスクが大きく変化していないと考えている。家禽の飼育者らは、家禽の健康状態に注意し、感染が疑われる時は直ちに報告し、年間を通じて十分なbiosecurity のレベルを維持することが重要である点を再認識させられた。

原文リンク