感染症速報詳細

記事日付 20090805
タイトル コロナウイルス-ブラジル:血コウモリ 20090803.2729
国名 ブラジル    
感染症名 コロナウイルス
概要 ブラジルのコウモリでSARSウイルス確認
SARS virus discovered in bats in Brazil
和文 http://spanish.china.org.cn/international/txt/2009-08/03/content_18252995.htm
ブラジルの研究者らが、"vampire bats 吸血コウモリ"とも呼ばれる Hematophagous batsが、 severe acute respiratory syndrome (SARS 重症急性呼吸器障害症候群)の原因ウイルスを保有していたと報告した。3日に行われた、資金を提供した The Research Support Foundation of the State of Sao Paulo (FAPESP サンパウロ州研究支援基金)の発表によると、the University of Sao Paulo (USP サンパウロ大学) による調査で、吸血コウモリ vampire bats (_Desmodus rotundus_)において、同種のウイルスが確認された。動物から吸血し、ヒトに咬傷を与えることもある、このタイプのコウモリは、狂犬病などの病気を伝播する以外に、コロナウイルスによる疾患を伝播するベクターである可能性があることがわかった。コロナウイルスは、鳥類やヒトを含む哺乳類の、消化管、呼吸器、脳の病気を発症させることもある。このコロナウイルスは、2003年に、アジアの複数の国々で発生し、研究者らが長い間追い求めていた、SARS [Severe Acute Respiratory Syndrome 重症急性呼吸器障害症候群]の原因ウイルスであることが判明し、有名になった。同大学の獣医学動物テクノロジー科の分子進化の研究によると、同コロナウイルスの宿主として確認されたのは、この吸血コウモリが初めてである。研究は緒に着いたばかりであるが、将来、吸血コウモリでコロナウイルスの発見という、驚くべき結果をもたらせるだろうと述べた。コウモリの体内のコロナウイルスが、他の哺乳類に(SARSのような病気を)発病させうるかについての、具体的な証拠はないことを、研究者らは認めている。これまでの段階で、遺伝学的研究によって、このウイルスが、ウシが保有するコロナウイルスに非常に似ており、このウイルスによってヒトの感冒が起きることがわかっている。まだ、動物やヒトに、このコロナウイルスが病原性をもっているかについてのデータは得られていないが、コウモリにとっては病原性はなく、(コウモリは)単に健康な宿主である可能性が高いと、この研究者は述べた。サンパウロのthe Pasteur Instituteと共同で行われたこの研究では、同研究所による、吸血コウモリや食虫コウモリの捕獲と検体の同定への協力が得られた。同ウイルスは、コウモリの肺、肝、消化管(腸)などの組織検体で見つかった。検体の遺伝子検体は、化学的に純粋な形で抽出され、コロナウイルス遺伝子の分節の増幅に、特殊技術を応用したと、説明した。ウイルスの遺伝子塩基配列の解読と、どのような病気の原因となるかを解明するため、研究室内の細胞培養中のウイルス分離に取り組んでいる。
[Mod.CP注-コロナウイルス Coronaviruses (コロナウイルス属 the genus _Coronavirus_ of コロナウイルス科 the Family _Coronaviridae_, ニドウイルス目 order _Nidovirales_、に属するウイルスを指す)は、基本的に哺乳類と鳥類の上気道と消化管に感染する。これまでに知られている5種類の異なるコロナウイルスのうちの4種類が、ヒトに感染する。もっとも有名なコロナウイルスである、SARSの原因ウイルスであるSARS-CoV は、上気道と下気道のいずれにも感染し、胃腸炎も発症させる点で、他と異なる病原性を有する。ヒトの成人の普通感冒において、かなりの割合でその病原体となっていると考えられている。SARSの流行以降、複数の種のコウモリが、コロナウイルスの自然界の宿主であり、おそらくSARS流行に関係することが、十分証明された。以前ブラジルでは、新型のコロナウイルスが、horseshoe bat of the genus _Rhinolophus_ の1種の発見に伴って確認されている(20050930.2862)。上記報告にある、最近分離されたコロナウイルスとの比較が望まれる。現時点では、いずれのウイルスにも、ヒトへの病原性は確認されていない]

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