感染症速報詳細

記事日付 20090807
タイトル インフルエンザ-英国:
国名 英国    
感染症名 インフルエンザ
概要 新規の豚インフルエンザ症例、激減 Big drop in new swine flu cases
和文 http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/8188027.stm
イングランド England および スコットランド Scotland のH1N1豚インフルエンザの新規の患者数が、大きく減少していることが、最新の統計で明らかになった。イングランドの先週の症例数は3万例で、その前週の11万例であった。スコットランドでは、1500例から1050例に減った。健康保護局によると、ウイルスには、致死性の強い型への変異や薬剤耐性の兆候は見られないとされている。イングランドにおける、豚インフルエンザ関連死亡は36人に達した。スコットランドでは4人が死亡した。先週、イングランドで530人が感染し、先週の合計793例から減少した。ウェールズでも減少が報告されているが、ILIのレベルは先週の4410例から2670例に変化した。北アイルランドでは、前週の10例から新規患者83例へと増加した。当局は常に、通常のインフルエンザシーズンに一致して、秋に大きな増加が見られるまで、夏の間は感染率が低下すると予想していた。イングランドのChief Medical Officerは、第2波が到来した際の予測は非常に困難と述べ、guesswork 当て推量になってしまうが、新学期の再開したあといずれかの時期に再び増加するだろうと、述べた。2週間前にGPらへの負担を軽減するために始まった、国立インフルエンザ局は、豚インフルエンザの流行レベルに応じて、規模の拡大や縮小ができるよう、"flexible enough 非常に柔軟性"である。一般市民の3/4にとって、豚インフルエンザはほとんどあるいは全く心配ないものであることが、保健当局の数字によって示されている。先週、37%の国民が、メディアから豚インフルエンザに関する十分な情報を受け取ったと答えるほど、認知の度合いは高い。英国での冬期に何が起こるかを予想するために、専門家らは、南半球での出来事に注目している。先週、アルゼンチンの豚インフルエンザによる死者が急増し、337人に達している。メキシコでも、第2の患者発生の波が起きている可能性が示唆されている。
ワクチン
この間に、WHOは、2009年9月までに一般市民向けの初めての豚インフルエンザワクチンが認可される見通しであると発表した。複数のメーカーが、初回分のH1N1ワクチンを生産し、いくつも臨床試験が現在行われている。WHOのワクチン研究の責任者である、Dr
Marie-Paule Kienyは、新型ワクチンの安全性への不安の払拭を図っている。"old and proven technology 従来からの証明済みの技術" によって生産されたワクチンであると説明した。一部の専門家は、この手のインフルエンザワクチンに対する懸念を表明していた。とくに、極めてまれとされるGuillain-Barre syndromeと呼ばれる神経症状が、1976年に米国で行われた豚インフルエンザに対するワクチン接種計画中に、500人に発生している。毎冬接種されている季節性ワクチンの経験から、今回のインフルエンザワクチンに関する多くの情報が判っており、監督当局も、いかなる有害事象についても監視を行っていく予定であることを付け加えた。現在のワクチンの品質管理は、30年前よりずっと改善されていると述べた。米国と欧州の監督官庁は、豚インフルエンザワクチンのために、fast-track(異例のスピードで承認する特別の取り扱い)を用意する予定である。一部は従来の季節性インフルエンザワクチンを根拠にし、新たなテクノロジーも採用する。製薬会社のBaxter社は、同社初の豚インフルエンザ Celvapan の初回出荷分の生産を発表した時期に、この方針が公表された。同ワクチンは、細胞培養を利用することで、従来の鶏卵上で培養する方法に比べ、より短い期間で培養された。Baxter社は、英国政府へのパンデミックインフルエンザワクチン供与を契約した2社のうちの1つで、もう1社は、GlaxoSmithKlineであり、両者とも今月中に臨床試験を開始する計画である。臨床試験の1つの重要なポイントは、ワクチンが1回接種でよいのか、2回接種が必要なのかを明らかにすることである。閣僚らは、年末までに英国民の半数をカバーできる量のワクチンを用意する予定であると、繰り返し述べている。今回のBBCの報告では、英国全体のILIに関するGPへの受診率グラフから、現在ILIの劇的な減少が見てとれると結論づけた。
[Mod.CP注-上記の2報告やその他の報告から、パンデミック(H1N1)2009のアウトブレイクは、国ごとにそれぞれ違った経過をたどっていることが鮮明になっている。アルゼンチンは現在、最も被害が深刻な国の1つになっており、死亡者数では米国に次いで2番目に多い。ProMED-mailは、sequence dataの集積場所ではないが、コロンビア大学公衆衛生学部からの以下のような情報を得ている : "アルゼンチンで採取された、2つのH1N1ウイルス株の遺伝子の塩基配列解析を完了した。解析結果を公表することに懸念はあるが、ASAP(できるだけ早く)塩基配列を公開せよとのWHOの指示に従う:ProMED-mailに対して、the community 読者への塩基配列の公開場所に関する情報を流すことをお願いしたい、残りについてもいずれ公開したい(draft sequenceの形)。今日まで、このウェブサイトではおよそ10件の完全な遺伝子塩基配列がリストされている。初めの2件についてはthe CII website  http://www.cii.columbia.edu からアクセス可能である。他の研究者らによる閲覧を期待したい ]



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