感染症速報詳細

記事日付 20090810
タイトル インフルエンザパンデミック(H1N1)-ベトナム:患者データ更新 20090809.2819
国名 ベトナム    
感染症名 インフルエンザパンデミック
概要 長期間PCR陽性が続いた患者でも、oseltamivirの耐性化は発現しなかった
和文 ホーチミンHo Chi Minh Cityのthe Hospital for Tropical Diseases [HTD 熱帯病病院] では、インフルエンザの症状があり、CDCアッセイ(inc. specific A(H1N1)v primers/probe)を用いたインフルエンザパンデミック(H1N1)2009ウイルスのRT-PCR検査陽性の患者に対して、オセルタミビル(75mg*2回/日)による治療が、RT-PCR検査が陰性になるまで続けられている。以前に、インフルエンザパンデミック(H1N1)2009ウイルス感染流行中の初期の患者44人について、臨床データと連日行ったRT-PCR検査の結果について報告した[20090708.2450]。この結果から、患者の大部分が入院の2日後までに感染が治癒(resolved )することが示唆されている。8人の患者が3日目までPCR陽性であり、8人の患者が4日目まで陽性であったが、5日目には全ての患者がRT-PCR陰性となった。これに続いて、3日目もしくは4日目までRT-PCR法が陽性のままであった患者13人の検体全ての培養を試みた。MDCKSiat1 cellsを 6-well plate にformatし、各検体ごとに3継代することに挑戦した。Replicating virus (ウイルスの増殖)は、 91 percent (10/11) of day 0 samples; 55 percent (6/11) of day 1 samples; 31 percent (4/13)
of day 2 samples; 46 percent (6/13) of day 3 samples; and [29] percent (2/7) of positive day 4 samplesで確認できた。さらに、75mg1日2回5日間のoseltamivirによる治療を完了したにもかかわらず、RT-PCR法陽性期間が延長していた少数の患者がいることが判明した。6日までにHTDで診断された、合計297人のH1N1患者のうち、6日目にも陽性であったのは2人、10日までの陽性は1人、11日目1人、12日目1人であった。しかし全ての患者で、入院5日目以降に採取された検体の培養は陰性であった。3日目以降もPCR陽性であった患者16人からの23検体で、ノイラミニダーゼ阻害検査(アッセイ)を行ったところ、いずれもoseltamivirに感受性を示した。さらに、第1例目と最新の、患者からの陽性検体では、the oseltamivir resistance
marker(耐性化を示すマーカー)である NAH274Yは検出されなかった。この結果から、ホーチミン市Ho Chi Minh Cityでインフルエンザパンデミック(H1N1)2009ウイルスに感染したと診断された初期の44人の患者においては、臨床上およびRT-PCRの反応の上で望ましい結果が得られた。RT-PCR resultsが、長期間陽性であった患者の多くは、陰性化以前にウイルス増殖は消失していた。最も重要な点として、合計297人の患者の中で、5日間の治療後ウイルスが培養された例はなく、変異を伴う耐性も見られなかったことがあげられる。
[Mod.CP注-サーベイランスの結果、通常のoseltamivir治療では、もっとも長期間ウイルス排出が続いた患者であっても、耐性変異株が選択されることはなかったことが判明した]

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