感染症速報詳細

記事日付 20090819
タイトル 狂犬病-カナダ:(オンタリオON)、野生動物のワクチン接種
国名 カナダ    
感染症名 狂犬病
概要 Grey-Bruceの狂犬病症例数、減少傾向つづく
Confirmed rabies cases in Grey-Bruce continue to decline
和文 http://www.owensoundsuntimes.com/ArticleDisplay.aspx?archive=true&e=1702822
The Ministry of Natural Resources [MNR 自然資源省]の見通しによると、今後3-5年間は症例数の減少が続くと見られている。カナダ・オンタリオOntario州内のウイルス性疾患は実質的に排除される方向に進んでいる。2009年にGrey-Bruceで確認されている狂犬病症例は、スカンク4頭とキツネ1頭であることが、当局により明らかにされた。2006-2008年の間に、66%減少した。州内の狂犬病症例は、MNRがワクチンえさを導入した1989年の1870例から、2008年は79例まで、95.8%減少した。根絶も不可能ではないと、当局者が述べた。ウイルスを保有するコウモリは、これからもオンタリオ州内に入ってくるが、MNRの目標は、キツネ、アライグマ、スカンクなどの陸生生物の狂犬病を排除することで、WHOは、"rabies free(狂犬病排除状態)"の宣言を行う条件として、2年間感染が確認されないこととしている...毎年、MNR de Havilland airplane 1機がオンタリオ州南部上空を飛行し、農村地帯に khaki-green vaccine baits を撒布する。このマシュマロのような香りのする、甘いエサをほ乳類が食べれば、狂犬病ウイルスに対するワクチンを接種されたことになる。2009年は、およそ130万個のエサが撒かれることになっている。9月14日にStratford 飛行場を発ち、1週間にわたって、the Grey-Bruce region 内でvaccine-drop を行う。 Teeswater や Hepworth のような、狂犬病発生地域には高密度に撒布される。今年は、ワクチンの接種効果が高い、新開発のえさが使用される。旧タイプは、スカンクには有効でなかった....
[Mod.CP注-Oral rabies vaccination (ORV 経口狂犬病ワクチン) が野外で調査され始めたのは、欧州では1980年、カナダでは1985年、米国では1990年からのことである。現在、米国内の15州でアライグマを対象に撒布されており、テキサス Texas 州では gray fox と coyote が対象となっている。およそ4800万接種分の Raboral V-RG が、米国およびカナダで使用されており、世界全体では6300万接種分が使用された。現在、米国内で free-rangingのアライグマ、灰色ギツネ、コヨーテに使用が許可されている唯一の有効な経口ワクチンは、Raboral V-RG である [さらに最近になって、カナダでrecombinant adenovirus vaccines が開発され、検査の結果、有効性が認められている]。V-RG は、生きた水痘ウイルスのベクターであるvaccinia (V) から作られる、リコンビナントワクチンで、rabies glycoprotein (RG)として、抗原性を有している。RGは、狂犬病ウイルスの周囲を取り囲む保護鞘で、アライグマなどが嚥下することで、免疫反応が誘導される。狂犬病ウイルスの、非感染性の表面タンパクだけを含み、ウイルスの増殖と感染に必要なウイルス核成分は含まれていないため、狂犬病に罹患することはない。えさの外側の部分は、fishmeal (魚肉 for raccoons and coyotes) または dog food (for gray foxes) で、接着剤としてのポリマーが付いている。sachetと呼ばれるThe vaccine packet(包み)は、小さなケチャップの容器に似ているが、1.5mlのワクチンが含まれている。この The sachet は、えさの基剤の内部に入っていて、空から落とす間に抜け落ちないようロウで包み込まれている。the raccoon, gray fox, or coyote が、外側のえさの部分ごと食べると、中のsachet が破れてワクチンが口中に流れ込み、咽頭リンパ組織の表面に付着する。こうして、狂犬病抗原に対する免疫反応が起き、狂犬病を撃退する抗体が作られる。2-3週間で抗体が産生される。郊外では飛行機から、市街地では手で、えさ(ワクチン)が撒布される。飛行機には撒布装置があって、道路や家のあるところでは撒布を中止し、ヒトとえさが混じり合わないよう工夫されている。市街地などで、手作業によって撒布されるときも、最も動物がワクチンを食べやすい様にする一方で、なるべくヒトとの接触がないように行われる。

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