感染症速報詳細

記事日付 20090827
タイトル  Colony collapse disorder(ハチ群崩壊症候群) - 米国: 原因 20090826.3008, apis
国名 米国 apis   
感染症名 Colonycollapsedisorder
概要 CCDは、複数のウイルス感染が原因
和文 http://www.the-scientist.com/blog/display/55919/
3年以上にわたって米国内で大量のミツバチを死亡させている病気は、おそらく単一のウイルスによるものではなく、複数のウイルスによって、ミツバチが感染から身を守るためのタンパクを作る能力を奪われることが原因であることが、新たな研究で明らかになった。イリノイ大学のこの研究者は、the smoking gun(煙の出ている銃 ? =動かぬ証拠の意味)を押さえたわけではないが、the bullet hole(銃弾の後)は見つけたと述べた。colony collapse disorder (CCD ハチ郡崩壊症候群) で死亡したミツバチから採取した細胞内には、ribosomal RNA fragments(断片)が散らばり、ハチの中で、遺伝物質から機能性蛋白への翻訳過程に障害が起きたことが示唆されている。Berenbaum らが24日、 the Proceedings of the National Academy of Sciences で報告した...CCDのハチでは、異常なRNAの断片が多数発生し、リボゾームの破壊や機能障害を引き起こしていた。特にハチに親和性をもつ、picorna-like virusesと呼ばれるウイルスの複数の種が、このようなRNAの断片を生じ、機能性蛋白の生産能力を傷害した原因と見られている。今回の結果では、CCDの原因を1つに絞ることはできなかったが、いくつかの手がかりを与え、基本的な制御段階において、病原体に対応する能力が全般的に傷害された可能性があることが示唆されたと、研究に協力したテキサスTexas州の養蜂家の1人が述べた..ハチは、1ないし2種類のウイルス感染に対応することは可能だが、3-4種類の感染が同時に起こった場合、対処不能となると述べた...今回の研究では、これまで提唱されていたCCDの原因についての仮説は否定され、たとえばCCDのハチの殺虫剤反応遺伝子の過剰発現は明らかではなかった。殺虫剤が原因とする見方は矛盾していたとしながらも、ハチミツ業界の一部にある、殺虫剤の製造メーカーへの非難は止まないだろうとも述べた。また、免疫反応遺伝子の発現の増加も明らかではなかったことから、コロニーに被害を与えた病原体に、有効に反応することもできなかったと見られることも興味深い。 ribosomal RNA fragmentsだけでなく、 Berenbaumらは、他にもCCDに伴って、一連の転写物質 transcripts が見られることを発見しており、少なくともその1つはウイルス感染による産物であった。研究者らはこの結果から、CCDのハチを直ちに検出する方法の開発を期待している...
[ModTG注-非常に興味深い研究結果であり、ハチの防御の道が開ける可能性もあるが、この研究者らは、どのようにして調査したDNAが、CCDのハチ由来のものであって、他の疾患により死亡したハチのDNAではないことが判別できたのか、理解できない]

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