感染症速報詳細

記事日付 20090831
タイトル 原因不明の疾患-パプアニューギニア:(02) モロベ MR 20090830.3049
国名 パプアニューギニア    
感染症名 原因不明の疾患
概要 20090828.3033の情報提供依頼に応えて
和文 http://knol.google.com/k/antoine-flahault/first-estimation-of-direct-h1n1pdm/2nsp4xxomyqub/1?collectionId=28qm4w0q65e4w.1&positi
[Mod.CP注-NZや豪からの報告では、国民の間でかなり高い致死率 [mortality]が示されていることから、現在パプアニューギニアの住民らに発生するこの原因不明の疾患が、インフルエンザパンデミック(H1N1)2009ウイルス感染である可能性があるとの視点から、20090828.3033の情報提供依頼に対応して投稿された。ニューカレドニア New Caledonia は、ニューギニアに近い太平洋上の小さな島であるが、現地の住民から重症疾患が報告されている。この投稿者は、パンデミックH1N1 2009ウイルスが、季節性インフルエンザに比べてより致死性および感染感受性が高いことを示唆する、別の報告への注意を促している。この解析報告からの抜粋を以下に示す]

direct H1N1 2009 pandemic virus (H1N1 2009 パンデミックウイルスの直接的影響)の第1回評価
われわれは、1つはパンデミックウイルス感染者3万人が発生したと見られ、3人が感染を直接の原因として死亡したニューカレドニアからのデータである、2つの独立したデータソースからの、パンデミックH1N1 2009ウイルスを原因とする ARDS [acute respiratory distress syndrome 急性呼吸即迫症候群] による直接死亡について、概評を行った。もう1つのデータはモーリシャスのもので、感染者は7万人と見られ、ARDSによる死者7人(5人は、現在診断が確定されている)の報告があった。これらのサーベイランスデータから、パンデミックH1N1 2009ウイルスによる直接死亡は、感染者1万人あたり1人であるとの第1回目評価が可能であった。これは通常の季節性インフルエンザのおよそ100倍の値であった。インフルエンザによる死亡には、主に3つの原因があった:1つめは、ウイルス感染そのものに由来する重症のウイルス性肺炎で、ARDSを伴い、集中治療室での治療を行っても30-50%の死亡率を示した[参考文献1];2つめは、肺炎球菌・ブドウ球菌・連鎖球菌・髄膜炎菌精肺炎の重複感染で、通常は抗生物質による早期治療により治癒可能な疾患である;3つめは、重症の基礎疾患の非代償性変化で、多くは高齢者や慢性疾患患者であった。3つめの要因は、先進国の季節性インフルエンザによる死亡の主な原因であるり、高齢者に対して集団接種を行っている状況でも、以前から感染1000例について、約1例の死亡が発生する。この原因による死亡は、死亡診断書に死因としてインフルエンザと記載されることはまれであり、従ってアウトブレイク中の評価は困難であるため、期間中の超過死亡という形で評価されることが一般的である。リアルタイムで評価されることもあるが、ほとんどはシーズン終了の数ヶ月後となることが多い。2つめの原因、すなわち細菌の重複感染 super-infection は、抗生物質が使用可能である先進国で見られることは少ないものの、適切な時期に治療が行われない場合、細菌性肺炎は急速に死亡に至ることから、途上国にとっては今も懸念されている。そのインフルエンザウイルス株の病原性の最適の指標は、おそらくウイルス性肺炎による直接死亡であり、ウイルスによって大きな幅があり、その国の保健医療レベルにより影響されない。さらに、ARDSは常にICUでの治療と直結し、診断や報告が得られやすい。

季節性インフルエンザを原因とする、ARDSによる死亡
季節性インフルエンザを原因とするARDSによる死亡の発生数に関する報告は多くない。経験的なエビデンスでは、例年平均600万人の季節性インフルエンザ感染が発生すると見られているフランスにおいて、5-10例の症例が確認されている。従って、季節性インフルエンザ感染を原因とするARDSによる死亡は、感染者100万人に1人の割合で発生する例外的な事象と考えて良いと思われるが、今後の評価を待ちたい。

H1N1 pdm を原因とするARDSによる死亡
パンデミックインフルエンザの新たなウイルス感染を原因とするARDSによる死亡の正確な数字については、まだ提供されていない。米国においては、分母(すなわちインフルエンザ感染症例数)の不確定要素があまりに大きすぎるし、英国やアルゼンチンも然りである。もっとせまい地域、とりわけ仏領ニューカレドニアやモーリシャスのような島の中で、おおまかな推定値が得られるのではないだろうか。フランス政府当局は、先週の流行発生により、ニューカレドニアで2万例のインフルエンザが発生したと推定しており、8月21日までの推定感染者数は3万人で、確定患者の中で、8才、27才、58才の3例の死亡が報告されている。モーリシャス政府当局は先週、過去2週間に15000人のインフルエンザ患者が発生したと推定しているが、メディアの報道や現地医師らの個人的なネットワークからの報告から、実際の症例数はおよそ5万例と見ている。軽症例も含めると、感染者は約7万例と見られる。8月19日までの死者は7人で、4才、6才、28才、46才、53才であった。ニューカレドニアとモーリシャスの数字から、およその推計で、パンデミック H1N1 2009 ウイルス感染を原因とするARDSによる死者は、感染1万人あたり約1例と計算され、季節性インフルエンザの100倍の病原性 virulence となる...
The full content and references of the above report http://knol.google.com/k/antoine-flahault/first-estimation-of-direct-h1n1pdm/2nsp4xxomyqub/1?collectionId=28qm4w0q65e4w.1&positi

原文リンク