記事日付 | 20090911 |
タイトル | マラリア、P. knowlesi -アジア:背景 20090910.3190 |
国名 | アジア   |
感染症名 | マラリア |
概要 | マラリア原虫( knowlesi_ ) のヒトへの感染の脅威 _Plasmodium knowlesi_ malaria 'poses human threat' |
和文 | http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8246063.stm 新型のマラリアがヒトを死亡させる恐れがあることが、研究によって明らかになった。これまで寄生虫の_P. knowlesi_は、サルだけに感染するものと考えられてきた。しかし、最近マレーシアで広くヒトにも感染が起きていることが明らかとなり、最新の研究では、直ちに治療が行われない場合には死亡する可能性があることが確認された。この国際チームによる報告は、Clinical Infectious Diseasesに掲載された。この新たな疾患は、東南アジアだけに集中して発生しているが、この地域への旅行者の間で、まもなく西側諸国の患者が発生することになると予想している。マラリアにより、毎年100万人以上が死亡している。これらは、マラリア原虫が原因であり、感染性蚊族の刺咬によって、血流内に注入される。ヒトへの感染がおきやすい、4種類が知られているマラリアのうち、熱帯熱マラリア_P. falciparum_は主にアフリカに多く、もっとも危険なマラリアである。世界中の熱帯および亜熱帯地域で見られる、もう1つのマラリアの、4日熱マラリア_P. malariae_の症状はより軽症である。_P. knowlesi_ は、サルの、特に東南アジアの熱帯雨林に住むlong-tailed and pig-tailed macaquesだけに感染すると考えられてきた。しかし、マレーシア大学の研究者らによる調査で、ヒトにおいて重症化する可能性があることが判明した。この最新の研究によると、顕微鏡の検査では、_P. knowlesi_ が_P. malariae_ と間違われることが多いとされている。 増殖のスピード しかし、近縁関係の種と異なり、_P. knowlesi_ は血中で24時間ごとに増殖を繰り返す能力があり、感染が死亡につながる可能性があることを意味する。早期に診断し、治療を開始することが重要となる。2006年7月から2008年1月までの期間中に、ボルネオのマレーシアにある、サラワクSarawakの病院に入院となった150人以上について検査を行い、感染者の2/3以上を_P. knowlesi_ 感染が閉めていることを確認した。患者の多くは合併症を起こさずに、chloroquine やprimaquineといった薬剤による治療に反応した。しかし、10人1人は、呼吸困難や腎不全といった合併症を併発し、2人が死亡した。致死率はわずか2%以下であったが、_P. knowlesi_ は、熱帯熱マラリア _P. falciparum_ malaria同様、致死性であることが判明した。研究の規模が小さいため、正確な致死率を判定することは難しいとしている。 血小板減少 すべての_P. knowlesi_ 患者で、他の型のマラリアの場合に比べ、かなり低い血小板減少が認められた。しかし、血小板は血液凝固に必要であるにもかかわらず、異常出血や凝固異常の問題は発生しなかった。研究者らは、この血小板数の減少が、_P. knowlesi_ 感染の診断に活かせるのではないかと考えている。 "東南アジアへの旅行者が増加しており、西側諸国でも将来より多くの感染患者が発生するだろう。_P. knowlesi_ の発生国への旅行者を診察する際には、_P. knowlesi_ malariaという疾患、臨床症状、急速な重症化の経過の可能性について、熟知しておかなければならない"と、研究者は述べている。 原著:Clinical and laboratory features of human _Plasmodium knowlesi_ infection. Clin Infect Dis. 2009 Sep 15; 49: 852-60 (abstract available) http://www.journals.uchicago.edu/doi/abs/10.1086/605439?cookieSet=1&journalCode=cid [Mod.EP注-現在のマラリア迅速診断キットでは、_P. knowlesi_. は検出されない] |
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