記事日付 | 20090926 |
タイトル | インフルエンザパンデミック(H1N1)2009-世界各国:抗ウイルス薬耐性リスク |
国名 | 世界各国   |
感染症名 | インフルエンザパンデミック |
概要 | 抗ウイルス薬の使用と薬剤耐性のリスク WHO: pandemic (H1N1) 2009 briefing note 12 - antiviral use and the risk of drug resistance |
和文 | http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_antiviral_use_20090925/en/index.html 各国でパンデミック(H1N1)2009ウイルスの治療経験が増える中、抗ウイルス薬oseltamivir or zanamivirによる早期治療の重要性が強調されている。特に、合併症発症のリスクが高い患者、重症疾患の患者、悪化の兆候が見られる患者などでは、早期の治療開始が重要である。パンデミックインフルエンザの重症例の治療に当たった医師らの経験や各国政府当局の意見では、発症直後にこれらの薬剤を使用することで、合併症のリスクが減少し、重症疾患患者の治療結果も改善される可能性がある。これらの経験から、薬剤耐性の発生や影響を最小限としながら、抗ウイルス薬の効果を維持する必要性が明らかになっている。 薬剤耐性発生のリスクの高い状況 WHOは医師らに対し、oseltamivir耐性ウイルスが生じやすい、2種類のハイリスク状況に注意するよう呼びかけている。疾患が長引き、oseltamivirの治療を受けている(特に投与期間が延長された場合)ものの、ウイルスの増殖が続いている、免疫機能に著しく障害のある患者において、耐性のリスクが高まると考えられている。また、インフルエンザの患者との接触後に、いわゆる"post-exposure prophylaxis(曝露後予防)" としてoseltmivirを投与されたが、インフルエンザを発病した患者でも、耐性リスクが高まると考えられる...このような場合には耐性ウイルスについての検査を行い、確認された場合は疫学調査を行って他の患者への耐性ウイルスの感染拡大に注意し、市中の耐性ウイルスへの監視も強化すべきである。WHOは原則として抗ウイルス薬の予防投与を推奨していない。その代わりに、厳密な症状の監視と発症後早期の抗ウイルス薬治療を勧める。また、ウイルスの薬剤耐性が既知もしくは強く疑われる場合に、その当該薬剤を使用することにも反対の立場である。よって、oseltamivirによる予防治療中に発症した場合、zanamivir が選択される。 oseltamivir耐性ウイルス WHOなどの協力で行われているthe Global Influenza Surveillance Networkによる組織的なサーベイランスが、oseltamivir耐性のおパンデミックH1N1ウイルスの散発的な発生検出を目的として続けられている。今日までに28例の耐性ウイルスが確認され、解析が行われた。これらのウイルスはすべて、抗ウイルス薬oseltamivir耐性を生じる、同じH275Y mutationが発現していたが、抗ウイルス薬のzanamivirへの耐性は認められなかった。oseltamivir耐性ウイルスによる重症化もしくは悪化するインフルエンザ患者の治療として、zanamivirが選択肢となる。薬剤耐性ウイルスのうち、12例でpost-exposure prophylaxisとしてoseltamivirが使用されていた;6例は重度の免疫不全患者でのoseltamivir治療に関与していた;4例はoseltamivirによる治療中の患者の検体で検出された。残りの患者のうちの2例は、治療にも予防にもoseltamivirが使用されていない患者からの検出である。他のウイルスの特徴については、現在調査中となっている。今のところ、(耐性ウイルスの)症例数は比較的少数である。世界中で1万を超えるパンデミックH1N1ウイルスの臨床検体 specimens (samples and isolates)についての検査が行われ、oseltamivirに感受性があることが確かめられている。 現段階での結論 得られたデータによって、いくつかの結論が支持される。oseltamivir-resistant virusesは今も散発性でそれほど多くなく、コミュニティ内もしくは世界的に、oseltamivir-resistant pandemic H1N1 viruses の感染循環が生じている証拠はない。これまでに耐性ウイルスがヒトからヒトに感染伝播したことが決定付けられたこともない..以下、感染拡大は起こっていないこと、免疫不全患者以外では耐性ウイルス感染がより重症化したり合併症を起こしやすいことはないこと、oseltamivir使用の増大に伴う薬剤耐性ウイルスの増加が見込まれることなど。 WHO Briefing Note on recommendations for use of antivirals http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_use_antivirals_20090820/en/index.html |
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