感染症速報詳細

記事日付 20091003
タイトル オセルタミビル汚染、河川-日本:
国名 日本    
感染症名 オセルタミビル汚染
概要 河川からオセルタミビル検出 Excreted Tamiflu found in rivers
和文 http://www.sciencenews.org/view/generic/id/47971/title/Excreted_Tamiflu_found_in_rivers
地表水中にインフルエンザ対策の主要薬剤であるタミフル[oseltamivir]が混入し、ダックなどの鳥類が摂取する可能性があることが明らかになった。鳥類がインフルエンザウイルスを保有していた場合、通常は発病しないものの、ウイルスが薬剤に耐性を持つ可能性があると、専門家らは懸念する。この最も使用頻度の高い抗ウイルス薬によって、汚水処理施設の下流にある河川が汚染されていることが、日本の研究者らにより明らかにされた。タミフルを服用した患者の尿中に排泄物が汚染源である。自然界でインフルエンザを保有する鳥類が、タミフルの活性代謝物に水を通して曝露することで、薬剤耐性の季節性インフルエンザや鳥インフルエンザが発生・拡散する恐れが出てきた。京都大学の Gopal Ghoshらは、汚水処理施設からの排水と、処理後の汚水が流入する2つの河川沿いの複数のポイントで水質検査の検体を採取した。採取は、季節性インフルエンザ発生初期の2008年12月上旬に開始され、インフルエンザがピークとなる2009年2月に再び採取されたあと、さらに感染率が低下した頃にも採取が行われた。タミフルの活性型であるoseltamivir carboxylate (OC)は、いずれの段階の処理済み排水中からも検出されたことが、9月28日付の"Environmental Health Perspectives" オンライン版に掲載された報告で明らかにされた。検出レベルは、最初と最後のサンプルでは、[ng/l] range の低い値であったが、the flu's peak時には約 300 ng/l にまで上昇し、当時京都では1738人のインフルエンザ患者が報告されていた。River residues(河川内残留)が検出されたのは第2回の採取のみで、ほとんどの地点で低値のng/mlレンジであったが、流水の90%を処理済みの排水が占める西高瀬川 the Nishitakase Riverの一部で最高値190ng/mlを記録した。コンピューターモデルでは、OCは廃水処理後も残留することが、ドイツの研究者によって明らかにされている。Von Tmplingの独自データでは、日光に当たるとOCは分解されるが、ゆっくりとした速度である。濃度が半減するまでに最長で3週間を要する...京都での研究機関は、タミフル処方量がその10倍増えると考えられるパンデミックの期間ではなかった...2年前にFickのチームが、多くの汚水処理技術では、残留するOCはほとんど除去されない(remove "zero per cent" )ことを示すデータを発表している..もしも曝露した鳥類でタミフル耐性が生じたら、(その耐性化した)インフルエンザウイルス株はおそらく従来型の季節性もしくは鳥インフルエンザウイルスであり、H1N1豚インフルエンザではないだろう。 the pandemic (H1N1) 2009 virus はヒトでは感染が拡大する一方で、鳥類は感染を免れている(bypass)と考えられるからであると、the Vanderbilt University School of Medicine の予防医学の研究者が述べた。また彼は、米国の政策は、タミフル使用に関しては日本よりも保守的である点を指摘する。タミフルは、重症化した場合と免疫不全の患者のための治療薬としてとっておくべきだと、述べた。
[Mod.CP注-水禽から直接 oseltamivir-resistant influenza virus が分離されたとの報告はない]

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