感染症速報詳細

記事日付 20091007
タイトル エボラ出血熱、マールブルグ出血熱 -西アフリカ:Egyptian fruit bat
国名 西アフリカ    
感染症名 エボラ出血熱
概要 ウイルスのハンター、コウモリでエボラとマールブルグ発見
Virus Hunters Find Ebola, Marburg Source in Fruit Bat
和文 http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601124&sid=aCDY59ymDHII
研究者らは、世界で最も致死性の高い感染症のうちの2つである、Ebola and Marburg [hemorrhagic fevers]の原因に一歩近づいた。アフリカのジャングルにおける5年間の研究の結果、ウイルスを追い求めた国際チームの1つが、2つの出血性疾患の自然界における保有種が、fruit bat の1種であることを突き止めた。また、このウイルスは従来考えられていたよりも広い範囲に分布していることが、アクセス自由のBioMed Central journalに掲載予定の研究報告で明らかにされた。ガボンとコンゴ共和国内の2000匹以上のコウモリの血液検査に基づくこの研究報告は、30年間以上にわたってはっきりしなかった謎、すなわち無症候性にエボラとマールブルグウイルスを保有する種は何か、を解く鍵となる。この答えにより、自然界の環境中にどのようにしてウイルスが存在し、感染すると半数以上が死亡するこの疾患を、どのように避ければよいのかが解明される...両疾患のこれまでの経緯...2005年のNatureに掲載されたある研究では、西アフリカの3種類のfruit batに、エボラウイルス感染症状が見られたと報告された。2009年3月には、the putative fruit bat reservoirと直接の関連性を持つ、ヒトでのエボラ出血熱感染流行が報告されている。今週報告された研究は、1つの国の中で、エボラウイルスとマールブルグウイルスの双方が同時に感染循環していることを示した初めての報告となった。ガボンではヒトでのエボラ出血感染流行が発生しているが、マールブルグ出血熱の患者が報告されたことはなかった。この西アフリカの国で、マールブルグウイルスも確認されたことで、これまで気づかれていなかったヒトへの感染の可能性が存在していたことが示されたと著者は述べている。次に、コウモリの集団内でのウイルスの動向の解明が必要とガボンの研究者は話している。この調査に協力した、米CDCと仏開発研究研究所は、9種類のコウモリからの2147件の血液検体で、過去のエボラおよびマールブルグウイルスの感染の証拠を探した。調査は2003年から2008年まで、ガボンの3つの地域とコンゴ北部のエボラ感染流行地域で行われた。検査された多くのコウモリのうち、洞窟に住むEgyptian fruit bat, or _Rousettus aegyptiacus_だけが、エボラとマールブルグウイルスの抗体を保有していたため、2つのウイルスの自然界の保有種であることが示唆されたと、著者は述べている。このThe Egyptian rousetteは、イヌのような顔と耳を持ち、エジプトのナイル川流域、サハラ以南のアフリカ全域、地中海東部および中東に生息する。一部は木の中に巣を作ることもあるが、洞窟・探鉱・墓穴などに好んで棲み、夜間に果樹に群がる。このような嗜好は、エボラやマールブルグが熱帯雨林で最も多く見られることと一致すると、WHO本部の関係者が述べた。2007年に感染した抗夫が作業していた、ウガンダのKitaka Caveで捕獲された健康と見られるEgyptian fruit batsから、マールブルグウイルスを分離した報告の共著者であるこの関係者によると、コウモリとの関係が認められた感染流行もあるが、中央アフリカで食用にされることの多いサルやチンパンジーなどの霊長類との関連を示す証拠がより多く存在するという。これらの動物(サルなど)は、コウモリの唾液やその他の体液に汚染されたフルーツを食べることで、ウイルスに感染したと考えられている...著者は、the Egyptian fruitとエボラ出血熱の流行の直接の関連性は認められていないとして、今後の解明の必要性に言及した...
[Mod.CP注-...血液検査によるもので、動物から感染力のあるウイルスが分離されたのか明言されていない。データの公開を待ちたい。ヒトの感染は、コウモリから直接感染する例はまれで、食用に狩猟される、感染した霊長類との接触による可能性が高いと示唆されている]

原文リンク