記事日付 | 20091010 |
タイトル | インフルエンザパンデミック(H1N1)2009-日本、米国:最新状況 |
国名 | 日本   |
感染症名 | インフルエンザパンデミック |
概要 | [1] 日本: Tamiflu-resistance 処方既往のない10代で、タミフル耐性ウイルス確認 Tamiflu-resistant H1N1 teen had no Tamiflu record |
和文 | http://in.reuters.com/article/worldNews/idINIndia-42994820091008 これまでに投与を受けたことがない日本人の10代の患者で、抗ウイルス薬タミフルに耐性となるインフルエンザパンデミック(H1N1)2009ウイルスの遺伝学的変異が見つかったと、保健当局が発表した。この症例の発見により、日本で初めてのタミフル耐性ウイルスのヒトからヒトへの感染が起きた可能性があるが、厚労省のTakeshi Enami 氏は、確証に至る十分な証拠はないとしている。ヒト-ヒト感染を否定することはできないものの、確証には至っていないと述べた。日本ではこれまでに8例のタミフル耐性ウイルスに感染した患者が発生している。WHO本部は9月に、薬剤耐性パンデミックインフルエンザウイルスの出現は頻繁ではなく、感染拡大の傾向も見られないが、さらに患者が増える可能性があるとしていた。この変異は、北部の札幌の当局により、8月22日に発熱のあった10代の少女でみつかった。この患者は、GlaxoSmithKline社の Relenza による治療をうけ、翌日には回復している。この変異でウイルスが強毒化することはなく、周囲に新たなH1N1患者が異常に増加したとの証拠も認められていない... [2] リスク因子 米国の研究、若年者での重症化明らかに US flu study confirms H1N1 more serious in youth 情報源: Reuters 、2009年10月8日。 http://www.reuters.com/article/domesticNews/idUSTRE5975YC20091008 新型パンデミック H1N1 2009 ウイルス感染により重症化し死亡した患者の調査により、季節性インフルエンザに比べて若年者の患者が多く、しばしば異なる症状が見られることが判った。入院と必要とするほど重症化した272例の患者の調査によると、約40%に、通常のインフルエンザではあまり見られない、下痢と嘔吐が見られ、早めに抗ウイルス薬を使用することが救命につながった可能性が示唆されている。この研究を指揮した米CDCのDr Seema Jainによると、この結果は、どのような患者に注意し、いつ治療を開始すべきかについての、CDCの勧告に組み入れられているという。272人の患者についての調査で、25%が集中治療室に入院し、7%が死亡したとの報告が、the New England Journal of Medicineに掲載された。報告によると、患者の45%が18歳未満で、65歳を超える患者は5%に過ぎず、73%の患者に少なくとも1つの基礎疾患、たとえば喘息、糖尿病、心臓病、妊娠などが認められた。抗ウイルス薬の治療にもかかわらず死亡した最短の患者は、発症後3日目だった。早期に治療が開始された患者はすべて回復している。Roche AG社の Tamiflu または GlaxoSmithKline社の Relenza は、発症後48時間以内に投与を開始した場合にもっとも効果的とされている。しかし、治療開始に遅すぎると言うことはないと述べられている。入院となった患者では、可能な限り抗ウイルス薬による治療を開始すべきだと考えている、と電話インタビューに答えて述べた。これまでに重症化のリスクファクターと考えられてきた因子がない患者であっても、入院を要するほどの状態の患者には抗ウイルス薬が必要だと指摘した。著者らが調査した患者は、2009年5月1日からWHOのパンデミック宣言前の6月9日までに、全米で入院したH1N1患者のおよそ1/4に当たる。いずれの患者でも発熱と咳が認められ、42%の小児に下痢または嘔吐があり、65歳以上の患者にはすべて基礎疾患が認められた。いくつかの研究によると、1952年以前に生まれた年代の人々は、パンデミックH1N1ウイルスに対する何らかの免疫を保有していることが示唆されている。身長と体重が分かっている患者では、29%に肥満が認められ、26%はmorbidly obese 病的肥満の状態にあった。肥満の割合は、米国民全体での比率を反映したものではあるが、病的肥満の割合は5%しかないと説明されている。別の研究では、body mass index or BMI 40以上と規定される病的肥満が、パンデミックH1N1による重症合併症と死亡のリスクを上昇させる可能性が示されている。さらに検討が必要と著者は述べている。この調査では入院患者の7%が死亡し、死亡した患者はすべて人工呼吸器を装着されていた。死亡患者の年齢は1歳から57歳までの範囲にあった。死亡患者では、呼吸困難(息切れ)があり、肺炎、神経症状もしくは急性呼吸促迫症候群を発症していた。前年度の季節性インフルエンザワクチン接種を受けていなかったと見られている。CDCは週報の中で、2008年に、生後6ヶ月から2歳までの小児で季節性インフルエンザワクチンの接種を受けた割合は41%、2-4歳では32%、それ以外の17歳までの小児は20%、若年者では32%、50-64歳では42%、季節性インフルエンザの重症化と死亡の最も大きなリスクを持つ65歳以上では67%であったと報告している。 [3] 集団免疫 Herd immunity? 春に再興する地域は不透明 Areas hit hard by flu in spring see little now 情報源: New York Times/International Herald Tribune 、2009年10月8日。 http://www.nytimes.com/2009/10/08/health/08flu.html?hp 全米でパンデミック(H1N1)2009ウイルス感染拡大が懸念される中、2009年春に豚インフルエンザが猛威を振るったニューヨークNew Yorkとその他の都市の疫学担当者は、ほとんど再興の兆候を認めていない。寒い季節が到来するまで、インフルエンザシーズンがピークを迎えたことにはならないが、全米で最も被害が大きかったNYの当局者は、この時期のインフルエンザ発生状況は例年並で、学校の出席率も通常のままであると述べている。2009年9月30日の週に、米CDCの Dr Anne Schuchatは、現時点でほとんどの州において多くの発生を見ており、この時期としては異例、と発言した。しかし、公衆衛生当局者らによると、New York, ボストンBoston, and フィラデルフィアPhiladelphia のような、今春に大きな感染流行のあった地域では、現在、豚インフルエンザが減少するパターンが見られているという。NYC(New York City)の当局者は、この春に、パンデミックH1N1インフルエンザ感染と報告されたNYC住民は10-20%にすぎなかったが、暴露し感染拡大を防止する免疫を獲得した住民の数は20-40%に上ると考えられると話している。確証には早すぎるが、高レベルの免疫によって、第2波の豚インフルエンザが、予想よりはるかに広がりは小さいまま終息する可能性がある、としている。この集団の免疫についての考え方は、10月2日に開かれたH1N1対策会議でも提起された。現在、市内では疾患の発生がなく、今春に75万から100万人の患者が発生し、最も大きな被害を受けた同市では、現在多くの人々が免疫を持っていると説明された。当局者らは、相反するデータがあり、豚インフルエンザ対応中の公衆衛生当局者にとって、delicate balance(バランスの難しい天秤)であることを示している。これまで、2009年春のメキシコから報告された死亡発生状況から予想されたよりも、より致死性の低いものとなっている。一方で、今後致死性が高まる可能性もあり、狼少年になることを避けながらも、注意のレベルを高く維持したいとの思いもある。1918年のインフルエンザが米国の43都市にどのような影響を与えたかについて2007年に報告された研究の共著者である、Dr Martin S Cetronは、春の大規模な流行発生により今は大きな流行にならないとの考えを、 "an interesting hypothesis, with biological plausibility(生物学的妥当性のある、興味深い仮説)" としながら、冬が終わるまで分からないとも述べている。NYではみんなが免疫を持っているから、もう病気にならないし、ワクチンもいらないというのは、危険な考えだと述べた。事実、NYCは広範囲のワクチン接種キャンペーンを行っており、最終的な結論に至るのは早いとの考えで一致している...中略...2009年9月以降、インフルエンザ様症状を訴えてNYCの救急部門を受診する人の数は、1日あたり約150-200人に過ぎない。NYおよびその他の都市の状況から推測されていることとして、2009年の今のインフルエンザ患者のほとんどは、豚インフルエンザの感染者である。いわゆるgarden-variety flu(通常のインフルエンザ)としては、時期が早すぎるからである。100万人ちょっとの生徒が通うNYCの公立学校の10月7日の出席状況は、91%であった。2009年春のウイルスが猛威を振るっていた時期は、60校近くが閉鎖され、約18%の生徒が欠席していた。この春に若年者adolescents の約11%が豚インフルエンザに感染したボストンBostonでは、今秋になって、公立学校public schools and collegeの医療サービスから、ほとんどインフルエンザ発生が報告されていない...シアトルSeattle, コネチカットConnecticut, and ユタUtah でも、この春には豚インフルエンザが発生したが、現在は減少している。ジョージアGeorgia, インディアナIndiana, and ノースカロライナNorth Carolinaなどの州では、春に豚インフルエンザの"false waves(見かけ上の波)" が発生していたと説明されている。それは、the "worried well(病気を心配しすぎる人たち)" が大挙して病院に押しかけたことによると見られている。春に'real waves(本当の波)'があった地域でのなかで、本当にtaken offしている(インフルエンザが増え始めている)地域は1つもないという。(一方で)ジョージア州では、8月に学校が再開されると、患者が増加し始めている(took off)。9月の最終週の、州内のH1N1による入院患者は81人で、死者は8人であった。2009年4月後半から7月後半までの3ヶ月間の、入院患者は44人、死者1人であった。10月5日の時点で、アーカンソーArkansas 州内の各病院で、7人の妊娠女性が人工呼吸器を装着されている。アーカンソー州内全域の医療機関から、非常に忙しい状態であるとの声が届いていると、州衛生局の報道官が述べた。8月以降、Arkansas Children's Hospital in Little Rock の救急室を受診した小児の約半数がインフルエンザで、例年のおよそ2倍の数字となっている。この病院は、9月15日に、救急患者の受診数が最高記録となり、関係者はインフルエンザの影響と見ている。 |
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