感染症速報詳細

記事日付 20091014
タイトル 髄膜炎、髄膜炎菌性-ニュージーランド:北島(North Island)
国名 ニュージーランド     
感染症名 髄膜炎
概要 数週間に合計6人の髄膜炎菌性疾患が発生した
和文 http://www.stuff.co.nz/manawatu-standard/news/2953948/Cases-bring-meningitis-warning
MidCentral health district [of the North Island]周辺地域では、数週間に合計6人の髄膜炎菌性疾患が発生した事態を、当局は深刻にとらえている。2005年に100万人以上の小児と若年者に行われたthe MenzB vaccination blitz(ワクチン接種キャンペーン)により、ニュージーランドでの髄膜炎菌性疾患拡大が食い止められていたが、今回の症例の発生は、他の菌株が原因となっていることが示唆されている。患者は全員が20才未満で、診断と抗生物質による治療が適切な時期に行われたため、回復した。当局者によると、一年中で今が最も髄膜炎菌性疾患の発症が多い時期であるが、5年間で最も成績のよかった2007年は、1年間を通じて、患者はわずかに1人だったと、述べた。2005年は15人だった。今シーズンの患者増加は、市民に対する症状への注意と、遅滞のない受診への関心を喚起するものである。初期症状はインフルエンザに似ているが、より重症で、圧迫しても消褪しない tell-tale bruise-like rash (出血斑のこと?) が発生する...症状の説明など..この病気の原因菌は、健康なヒトの鼻の内側やのどに、ほとんど症状なく定着し、唾液を通じて他者に伝播される。大切な予防策としては、唾液に触れないことで、リップクリーム、飲み物、ボトル、歯ブラシの共有は行うべきでない。乳幼児を含め、20歳以下の人々と、その同居者のリスクが最も高い。Maori and Pacific communitiesでの感染が多く見られる。ニューージーランドの周辺では、2009年8月に25例の髄膜炎菌性疾患が認められ、MidCentralでも1例のみ報告されている。
[Mod.ML注-Meningococcal disease iは、鼻咽頭に常在する(carried) _Neisseria meningitidis_を原因とする。invasive meningococcal diseaseの発症のピークは生後6ヶ月から2才までで、軽症例から、発症後数時間で死に至る劇症型敗血症まで、様々である。免疫低下のある人や、補体欠損症や脾機能低下症、密集状態での生活者(寮生活者など)は、髄膜炎菌性疾患発症のリスクが高い。莢膜多糖体の抗原特異性に基づき、少なくとも13種類の血清グループに分けられている;serogroups A, B, C, Y, and W135によるものが多い。血清型は、地域による違いが大きい。例えば、欧州ではBとCが最も多く、中国とHajの巡礼者ではAによることが多い。アフリカの"meningitis belt"では、流行の大半がAとCによる。W135は、最近、sub-Saharan Africa and during the Hajに発生した流行の多くの原因となっている。1991年以降のおよそ10年間に、ニュージーランドでは、主に特定の菌株であるserogroup Bによる( http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs141/en/ )髄膜炎菌性疾患の活動性が高まっていた。感染流行期間中、毎年患者数はおよそ400例に達し、100例中80例が流行株による患者であった。しかし、上記報告によれば、the MidCentral district of New Zealandにおいて現在発生中の症例は、_N. meningitidis_以外の株 other "strains" によるとされている。免疫源として血清型特異性の髄膜炎菌莢膜多糖体を用いた、髄膜炎菌ワクチンには、serogroups A, C, W135, and Yが存在する。 group B meningococciに対するワクチンの開発は、莢膜多糖体の抗原性が低いことと、誘導された抗体が神経組織に対して交叉反応を起こす可能性があることから、困難なことが判っている(http://www.jimmunol.org/cgi/reprint/160/10/5028)。複数の国々(ニュージーランド、キューバ、ノルウェー、チリなど)では、現地のserogroup B meningococci に対するワクチンが開発されている。これらのワクチンは、莢膜多糖体ではなく、型特異性外膜小胞蛋白vesicle protein を用いている。そのようなワクチンの1つ、the New Zealand MeNZB vaccine は、 New Zealand B strainだけを特異的に予防するが、meningococcal A, C, Y, or W135 やother strains of B に対する予防効果は示さない( http://www.moh.govt.nz/meningococcal )。2004-2006年に、ニュージーランドではMeNZBの3回接種によるワクチン接種キャンペーンが、乳児から20才までの約100万人に対して行われ、このワクチン株が一部関係していた感染流行を終息させた。Novartis 社は、世界中で発生するB型のほとんどに見られるとされる、細菌表面タンパクを含んだ、多価serogroup B vaccineの開発を進めている(http://www.novartis.com/newsroom/media-releases/en/2008/1218899.shtml) 以下、ニュージーランドの予防活動の現況など、原文参照願います]

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