感染症速報詳細

記事日付 20091108
タイトル リーシュマニア症-アルゼンチン:サンタフェSF、イヌ
国名 アルゼンチン    
感染症名 リーシュマニア症
概要 感染が深刻なミシオネス・コリエンテスに加え、 サンタフェSanta Fe などにも発生の危険性がある
和文 http://www.elprotagonistaweb.com.ar/index.php?go=v&id=3934
サンタフェ Santa Fe [province]の副知事は保健相に対し、現在、州北部各地で発生し、地方病感染となりつつあるリーシュマニア症の感染拡大予防策として、あらゆる手段を講じるよう要請中である。Canine visceral leishmaniasis イヌの内臓リーシュマニア症は、感染した蚊族の刺咬によって伝播される、人獣共通感染症である。熱帯地域の国々に多いこの感染症が、州北部で発生している。このため、直ちに感染拡大を実施しないと、常在化する可能性が出てきた。当局者は、イヌの内臓リーシュマニア症は、蚊族の刺咬により伝播される人獣共通感染症で、熱帯地方の国々に多いが、現在the [Santa Fe] province北部に発生しており、常在化する可能性があるため、直ちに対策を実施しなければならない、と述べた。感染が深刻なミシオネスMisiones およびコリエンテス Corrientes 州に加え、チャコ Chaco, エントテリオスEntre Rios, and サンタフェSanta Fe 各州でも発生の危険性があると、保健省は警告していた。皮膚・内臓リーシュマニア症はいずれも治療可能な病気ではあるが、早期診断と治療がなければ死亡する可能性もあり、感染したイヌを刺咬した蚊族からヒトに感染が拡大することもある。殺虫剤によりベクターを駆除し、蚊族の刺咬を避けるために忌避剤を用いることが重要だと説明した。州内では動物での感染が確認されていて、これらは処分しなければならないが、幸いこれまでにヒトへの感染は発生していない。農村部では、イヌ以外の温血動物である、ウマ、ブタ、ネズミなどによる感染伝播の可能性もある。州南部の獣医学校では、2009年夏にこの慢性疾患が拡大するリスクがあると注意されている。
[Mod.EP注-2007年6月から2008年5月までの期間中に、La Banda, Santiago del Esteroでは、地域内感染による、合計4例のヒトvisceral leishmaniasis (VL 内臓リーシュマニア症) 患者が報告されている(Salomon OD, et al. Lutzomyia migonei as putative vector of visceral leishmaniasis in La Banda, Argentina. Acta Trop 2009 Aug 28. [Epub ahead of print] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19716797?itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum&ordinalpos=2 )。アルゼンチンでは1925年から1989年の期間中に、内臓病変を合併した14例のヒトのリーシュマニア症患者が報告されている。しかし、VLのリスクについては、2000年に、Clorinda city(Formosa, Argentina)から国境を挟んですぐの、パラグアイのアスンシオンAsuncionで自所感染例が報告されたことで一変した。2000年から2006年にパラグアイのリーシュマニア症プログラムに記録されたヒトのVLは126例(2006年だけで66例)であり、その90.1%はアスンシオンと最も近いDepartment of Central からの患者で、ヒトの感染者が発生したのと同じ地域では、イヌのVL感染率も高いことが報告されている(Mem Inst Oswaldo Cruz
2008; 103: 109-11 http://www.scielo.br/pdf/mioc/v103n1/97.pdf )。最近の調査で、Clorinda は今もVLのハイリスク地域であり、交通量の多い道路を通じて、南部に感染を拡大させている感染源であることが判った。しかし、3年経過し、直近の村々にはベクターはコロニーを形成していない。VL感染伝播が活発な国境付近でのVLの経過の初期においては、The VL canine prevalence(イヌでのVL蔓延)は、寄生虫の感染循環や伝播強度(活動性)の有効な指標space-time indicatorとはなっていない (Salomon OD, et al. Visceral leishmaniasis in border areas: clustered distribution of phlebotomine sand flies in Clorinda, Argentina. Mem Inst Oswaldo Cruz 2009; 104: 801-4 ( http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_pdf&pid=S0074-02762009000500024&lng=en&nrm=iso&tlng=en ))。イグアスの滝のある地域the Iguazu Falls areaでは、ブラジルとパラグアイとの国境で、2004年以降、human American cutaneous Llishmaniasis (ACL) の発生事例が増えている。2005年までに報告された36例のhuman ACLのほとんど(75%)が15才を超える男性で、私的に農場を開墾するための森林伐採の作業中に感染している(Salomon OD, et al. Epidemiological aspects of cutaneous
leishmaniasis in the Iguazu falls area of Argentina. Acta Trop 2009; 109: 5-11 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18983809?itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum&ordinalpos=4 )]

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