感染症速報詳細

記事日付 20091119
タイトル ヒ素中毒-バングラディシュ:
国名 バングラディシュ    
感染症名 ヒ素中毒
概要 集団中毒の原因解明 
Bangladesh mass poisoning mystery solved
和文 http://www.newscientist.com/article/dn18159-bangladesh-mass-poisoing-mystery-solved-html
世界最大のヒ素中毒の1つの謎が解明されつつある--バングラディシュ全国の数十万か所の井戸で、致死量のヒ素が発見された原因は、池にあった。バングラディシュには、ガンジス川the river Gangesの洪水の起きやすい三角州が多くある。過去半世紀の間、住民らは、洪水より高い場所に家を気づくため、穴を掘って土を採取しなければならなかった。デルタ地帯のおよそ1/10が、掘った穴に水が溜まった場所となり、国民が飲料用としている井戸を汚染したと見られている。汚泥や汚水に含まれる有機炭素Organic carbonが、淀んだ池の底に溜まり、地下に染み出して微生物に貪食されると、微生物による酸素化によって、数千年の時を経てヒマラヤからデルタまで押し流され三角州の沈泥内にあったヒ素が放出された。このヒ素が地下水に溶け込み、村の井戸からくみ上げられている。the Massachusetts Institute of Technologyの研究者らのグループは、7年間にわたりダッカDhaka近郊の村々の地下水について、化学物質や地下の流れを解析した末に、問題の答えに行き当たった。この研究者は、このような酸素化は淀んだ池の下でしか起きないことを発見した。これとは対照的に、酸素が豊富にある水田では、ヒ素は地上の土壌中に捕捉される。
今後も汚染が進むのか?
バングラディシュで地表水を引用する限りにおいては安全である。1970年代後半に政府は地下水利用に転換し、それ以降、研究者によれば200万人がヒ素に汚染されたと見積もられる。コメを主食するものにとって幸運なのは、水田のヒ素はモンスーン毎に押し流されてしまうことである。解析によると、今日、井戸水中で確認されているヒ素のほとんどが、50年以上前に掘られた池から地下を通ってきたもので、今日も穴が掘られており、将来さらに汚染が進む可能性もある。しかし、ロンドン大学の研究者は2008年、西ベンガルWest Begal州の国境付近の池とヒ素との因果関係はないとの研究結果を報告している...
Journal reference: Nature Geoscience, DOI: 10.1038/NGEO685 http://www.nature.com/ngeo/journal/vaop/ncurrent/abs/ngeo685.html

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