感染症速報詳細

記事日付 20091122
タイトル インフルエンザパンデミック(H1N1)2009-ノルウェー:異株
国名 ノルウェー    
感染症名 インフルエンザパンデミック
概要 [2] ノルウェーの科学者ら、豚インフルエンザの変異を懸念
Norwegian scientists raise concerns about mutated form of swine flu
和文 http://dprogram.net/2009/11/20/msm-norwegian-scientists-raise-concerns-about-mutated-form-of-swine-flu/
ノルウェーの研究者らが、変異した型の豚インフルエンザ[インフルエンザパンデミック(H1N1)2009ウイルス感染]を確認し、それらのウイルスが、インフルエンザで死亡した2人と、重症化したもう1人から検出されたことで不安感を高めていると、11月20日に当局から発表があった。この声明の中でノルウェー公衆衛生研究所は、今回発見された変異によって、ウイルスが気道のより深い位置に感染しやすくなっており、このために重症化した可能性があると述べた。研究者らは、ノルウェーで発生した豚インフルエンザと確定診断された患者からの、約70件のウイルスについて解析を行い、変異が認められたのは、この3人の患者に限られていた。研究所長は、これまでに判明したことに基づいて言うと、この変異ウイルスは市民の間で感染循環はしているのではなく、これら3人の患者で起きた、散発性変化であると声明の中で述べられている...パンデミックインフルエンザウイルスのサーベイランスの一環として、多数のH1N1ウイルスの解析が行われ、多くの相同性が認められる中で、一部に変異が確認されたとし、変異が認められることは通常でも起きることで、あまりもしくは全く重要性を持たないだろうと話した。しかし、声明の中で、1つの変異に対しては特別な関心が持たれる理由として、変異があって死亡した患者2人が、ノルウェー初の豚インフルエンザによる死者であったことと、変異型ウイルスによる3人目の患者も重症化している点だとされた。研究所の声明によると、ウイルスの変化はワクチンや抗ウイルス薬治療の有効性を減じるものではなさそうだと述べられている。
[Mod.CP注- Eurosurveillance 14(46), 19 Nov 2009,  "Differentiation of two distinct clusters among currently circulating influenza A(H1N1)v viruses, March-September 2009" http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19409
"2009年9月10日の時点で解析可能な、全てのパンデミック インフルエンザ(H1N1) 2009 ウイルスの遺伝子配列の解析を行ったところ、ほとんどの発生国において、非常に近縁な関連性を持つが、判別可能な2つの集団発生clusters が、同時に感染循環していていることが判明した。特性の相違点は、2つの表面タンパク-- haemagglutinin and neuraminidase --と、4つの内部タンパク-- the polymerase PB2 subunit, nucleoprotein, matrix protein M1, and the non-structural protein NS1--をコードする遺伝子上に位置していた。これらの遺伝子塩基配列上の変化はいずれも、これまでに表現型の違いや生物学的機能を司ることが知られている遺伝子の領域に位置するものはなかった" 
メキシコ、Texas、Californiaから検出されたウイルスの遺伝子配列の多くはcluster1に属するものであったが、New Yorkで検出されるもののほとんどがcluster 2に属していた。これらの違いが地理的な要因によるものか、分離された時期の違いか、もしくはその他の理由によるかについては、さらに疫学的調査を重ねて解明していかなければならない。違う大陸においても、ほとんどの国で、いずれのclusterのウイルス(配列)が報告されている。ノルウェーのウイルスが、これらのclustersとどの様な関連性を持ち、生物学的な関与がどの程度であるのか、今後解明されなければならない]

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