記事日付 | 20091209 |
タイトル | インフルエンザパンデミック(H1N1)2009-世界各国:剖検所見 20091208.4189 |
国名 | 世界各国   |
感染症名 | インフルエンザパンデミック |
概要 | [1] 剖検の所見 Autopsy findings 気道の全領域にダメージ New York Autopsies Show 2009 H1N1 Influenza Virus Damages Entire Airway |
和文 | http://www3.niaid.nih.gov/news/newsreleases/2009/FluAutopsy.htm パンデミック(H1N1) 2009 インフルエンザの死亡例においては、ウイルスによって気道全体の細胞が障害を受ける可能性があり、1918および1957年のパンデミックの原因となったウイルスと非常に似ていることが、the National Institutes of Health (NIH) and the New York City Office of Chief Medical Examinerの研究者らからの報告で明らかになった。この研究者らは、5月15日から7月9日までにパンデミック(H1N1)2009インフルエンザウイルスに感染により死亡した34人の患者の、剖検報告、入院記録やその他の臨床データについて検討した。2人を除くすべての死亡がNew York Cityで発生していた。気道airways のあらゆる部分から採取された組織について、顕微鏡による検査を行ったところ、このウイルスは、上気道すなわち気管と気管支を中心に傷害するが、肺の深部を含む下気道の組織障害も存在することが明らかになった。死者の半数以上に、二次性細菌感染が起きていたことも確認されている。the New York City Office of Chief Medical Examiner and New York University School of MedicineおよびNIHの研究者らからなるこの研究チームは、この研究結果がパンデミック(H1N1) 2009 インフルエンザウイルス感染患者の管理の助けになるだろうと話している。また、この新たな報告は、2009H1N1インフルエンザの影響が若年者におよんでいることを浮き彫りにした。34例の死者の大部分(42%)が25-49才で発生し、乳児2名も含まれている。剖検があった91%で、インフルエンザに感染する前の心臓や呼吸器疾患などの慢性疾患が確認された。死亡した成人や若年者のうち、72%が肥満だった。これは診療記録に基づく以前の報告にも一致する。研究者らは、死亡した34例の患者からの組織検体を調査し、呼吸器官の各部位にどのような影響があったか検証した。上気道及び下気道のいずれでも、異なる部位の様々な障害が確認できたとし、最上部の気管と気管支には炎症があり、一部は深刻なダメージが確認されたと述べた。18例では、気管支の細部である、細気管支にも障害が及んでいることが確認され、25例では、肺胞と呼ばれる小型の球形気嚢の障害が見つかった。このような呼吸器官組織の病理パターンは、1918および1957インフルエンザパンデミックで報告された、死者の剖検所見と同じものであると指摘した。34例中33例について、肺の細菌性感染症の有無についても調べられた。このうち、55%にあたる18例で細菌感染が認められた。2009H1N1ウイルスと同時に細菌性肺炎に感染した患者全員が入院していたわけではなく、医療施設以外で細菌に感染したことが疑われる。このことから筆者らは、細菌性の市中肺炎が、現在のパンデミックに一役を担っている可能性が示唆されている。抗生物質が早期から広く用いられるようになった現代でも、依然として、インフルエンザの重症例や死亡例にとって、細菌性肺炎の果たす役割は大きい(important)と説明した。細菌性肺感染症の患者4例については、肺のCT画像が得られている。いずれの症例でも、CTスキャンにより、すりガラス様陰影ground-glass opacityと呼ばれる、通常の肺の画像では見られない、異常なまだらな粒状影が示されている。ただし、この所見はより軽症のH1N1症例でも認められている。CTスキャンの有用性についてはさらなる検討が必要としている。 NIAID's flu Web portal http://www3.niaid.nih.gov/topics/Flu/ [2] 輸血 Blood transfusion 投稿者: Dave Halvorson 、2009年12月7日。 20091204.4138に関するコメント 1918年のパンデミック時に、輸血を受けた兵士は、H1N1インフルエンザによる死亡率が約50%低かったことが観察されている。中国は過去にも、H5N1鳥インフルエンザ患者の回復期血清による治療の有効性について報告している。モデレータの指摘する血液製剤の危険性にも正当性はあるが、condescending(見下しているとも取れる?)。インフルエンザに感染した妊娠女性の回復は、免疫グロブリンの注射による治療で高まるとの報告もある。米国内でもこのような治療法の可能性を検証する研究者があればうれしい。 [Mod.CP注-コメントは相対リスクについての疑問を投げかけたもので、免疫グロブリンにはほとんどリスクがないが、回復期の血液には当てはまらない。しかし、現在行われている治療法についての情報は限られており、コメントがill-judged(思慮の浅いもの)だったのかもしれない] |
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