記事日付 | 20091210 |
タイトル | ウエストナイルウイルス-世界各国:持続感染 20091209.4194 |
国名 | 世界各国   |
感染症名 | ウエストナイルウイルス |
概要 | 腎臓に持続感染し、腎不全を起こすことがある |
和文 | http://www.scienceblog.com/cms/west-nile-virus-infection-may-persist-kidneys-years-after-initial-infection-28072.html 新たな研究によると、West Nile virus ウエストナイルウイルス に感染した患者の中に、最初の感染から何年間にもわたって、腎臓内にウイルスを持続的に保有し、腎臓の問題につながる恐れがある場合があることが明らかになった。2009年1月1日号のThe Journal of Infectious Diseasesに掲載されたこの研究は、現在オンラインで見ることができる(http://www.journals.uchicago.edu/doi/full/10.1086/648731 )。蚊族が媒介するウエストナイルウイルスが、1999年に初めて米国で確認されて以来、およそ25000例が報告され、1000人以上が死亡した。感染した人のほとんどには症状が見られない。以前に行われた動物実験では、初めて感染して回復した後、数年間にわたりウイルスが患者の体内に残っている可能性が示唆されていた。しかし、今回の実験結果が判明するまで、ヒトにおいては、感染後のウエストナイルウイルスが残存する期間は、数日程度にすぎないとされていた。ヒューストンHoustonのthe University of Texas School of Public Healthの研究者らによると、全ての患者が感染初期の数日間でウイルスを排除できるわけではなく、腎臓内に数年間以上残存し、腎不全を引き起こす可能性もあることが示された。ヒューストンの、重症のウエストナイルウイルス感染患者100人以上について行われた、7年間の調査において、患者らは6ヶ月ごとに診察と血液検査を受けた。感染から数年経過した後も、半数以上の患者で感染に関連する症状が認められた。感染後およそ2年で、症状は固定(plateau)し始めた。参加者の中で、腎不全により5人が死亡したことから、腎臓がウイルスの増殖の場所として好適であった可能性が考えられた。このことを確かめるため、初期の患者の中の25人から尿検体を採取し、ウエストナイルウイルスの有無を調べた。このうち、5人(20%)がウイルス検査陽性であった。ウイルスのRNAは、感染後6年以上、尿中から検出された。5人のうち4人に慢性症状が認められた。1人が腎不全を併発した。これらの結果より、ウエストナイルウイルスは、患者の体内に長期間生存し、慢性症状のある患者ではその可能性が高いことが判った。編集者は、このことで、健康と見えるヒトや動物から、蚊族によって、ウエストナイルウイルスもしくは他のフラビウイルスが感染伝播されるという、新たな可能性が浮かび上がったと指摘している。世界の新たな地域での流行が始まる可能性も出てくる。研究者らは、ウエストナイルウイルスに感染した患者については、医師は腎臓のあらゆる症状について監視をつづける必要があり、腎臓の持続感染があることを知っているべきだと述べた... [Mod.TY注-急性感染から6年後の回復期患者の尿中からWest Nile virus (WNV) RNA が検出されたことは、臨床及び疫学上、重要な示唆を与える。このようなフラビウイルスRNAについての研究に関して重要な疑問点として、正常で感染力のあるウイルスが排泄され、新たな宿主に感染させる能力をもっていたのか、ということがある。Reisen et alは、WNVに近いSt Louis encephalitis virusが、感染から1年後に、house finches (_Carpodacus mexicanus_ インコ)13羽中1羽から検出されたと報告している。SLEV RNA は RT-PCR では検出されたが、 plaque assayでは検出されなかった。arthropod-borne viruses の持続感染についての研究は、最近は見られないが、その発生について数件の報告がある。 |
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