記事日付 | 20091211 |
タイトル | インフルエンザパンデミック(H1N1)2009-フランス、英国: |
国名 | フランス |
感染症名 | インフルエンザパンデミック |
概要 | [1] フランス - ウイルスの排出者 virus shedders 長期の排泄患者 "Prolonged shedding if influenza A(H1N1)v virus: 2 case reports from France 2009" |
和文 | http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19434 免疫不全のない、ノイラミニダーゼ阻害薬の治療を受けた、パンデミック(H1N1) 2009 インフルエンザの患者2名において、発症日から14ないし28日間にわたって、ウイルス排泄が遷延した症例を経験した。ウイルスのノイラミニダーゼ遺伝子のH275Y変異による耐性発現は伴っていなかった。5月1日から10月上旬までの期間中に、ボルドーBordeuaxのウイルス学研究所は、real time RT-PCR法によるインフルエンザA(H1N1)vウイルス感染の確定診断の目的に、フランス南西部から1200件を超える鼻咽頭検体を受け、このうち186件が陽性であった。このうち5件のH1N1インフルエンザ患者について、ウイルスの排泄期間をモニターする機会があり、2例において排泄期間が遷延していた...患者A(50代男性、ICU、15日間PCR陽性) B(20代後半女性、ARDS/ECMO、タミフル300mg/dayに増量)についての症例報告...これまでのパンデミック(H1N1) 2009 インフルエンザおよび季節性インフルエンザのウイルス排泄遷延は、免疫不全やウイルスの薬剤耐性と関連していたが、今回の症例はかなり重症例の2例であったことに関係していると見られる。排出遷延がどの程度の割合かはデータが限られていて判らないが、長期的な調査が行われた、パンデミック(H1N1) 2009 インフルエンザの非重症例では、ウイルスのPCR陰性化は、発症後5-7日以内で、明らかに今回の観察事項と異なっていた。 [Mod.CP注-...ウイルスの検出はRT-PCRだけであり、排出されたウイルスの感染性については確かめられていない。the generation of defective interfering virus particles(欠損した干渉ウイルス分子の産生;これはin vitro のインフルエンザウイルス増殖でもよく見られる現象)によるものかも知れない。この2名の患者との接触者から、さらに感染が広がっていないか確認しておくのがよいだろう] [2] 英国 - Pandemic analysis 高齢者で高い致死率 ワクチン対象年齢の拡大の必要性など 情報源: The Guardian newspaper 、2009年12月10日。 http://www.guardian.co.uk/world/2009/dec/10/swine-flu-pandemic-less-lethal 21世紀初のパンデミックインフルエンザは、専門家の予想より致死性が低く、発病した患者10万人あたりの死者はわずか26人であることが、12月10日に医療当局者らによる研究で明らかになった。ただし、死者の1/3は、現在のワクチン接種計画の対象からはずされているであろう、健常者であった。the British Medical Journal誌のオンライン版の中で、ワクチン接種が現在より幅広く行われるであろうと述べている。7月のパンデミック宣言以降、イングランドで豚インフルエンザに感染した人の数は54万人に上ると見られ、インフルエンザにより死亡したと確認されたのは138人となっている。小児と若年者の感染が懸念されるものの、特に死亡率が高いのは、かつてのパンデミック同様、高齢者の集団である。65歳以上の年齢層では、インフルエンザに感染しにくいことが示されており、過去の他のH1N1ウイルスに曝露したことがその理由だと考えられているが、一旦感染すると、最も危険性が高くなる。the very youngでの死亡例は少なく(5才以下9例、14才以下20例、15-24才で17例)、この年齢層に対するH1N1の致死性がどの程度であるかを判断するのは難しいと、the British Medical Journalのこの報告は述べている。1918-19パンデミック インフルエンザは、健康な若年者での致死率が高かったことが特徴とされていた。現行のパンデミックの解析では、このような証拠は見あたらない。the case fatality rate 致死率と、20世紀の3つのインフルエンザパンデミックを比較すると、1918-19H1N1パンデミックでは2-3%、その後のパンデミック(1957-58,1967-68)では0.2%程度であったとし、今回のパンデミックは0.026%であると言う。このような違いには、いくつもの理由があると研究では指摘されている。過去の概算は現在よりも正確でなく、インフルエンザ以外のウイルスも含まれている可能性があり、食糧や住宅事情の改善、現代の医療水準も大きな要因である。人工呼吸器などのcritical care supportが直ちに使用できなければ、イングランドでももっと多くの死者が出ているだろうと述べられている。死亡した患者の2/3が、当時ワクチンがあったすれば、年齢や喘息などの健康上の問題による対象者であった。しかし、残りの1/3はワクチン接種を受けることができなかったと思われる人々であった。今回の結果は、ハイリスクグループを優先とするワクチン接種の戦略が正しいことを示している。また、これらのグループ以外でも、少数ながら死者が発生していることも判った。より広い範囲でワクチン接種を行うことも、検討する価値があると述べた。死亡した患者の多く(78%)は、抗ウイルス薬(主にタミフル)を投与されていたが、発症から48時間以内に服用できていたのは、わずか1/4に過ぎなかった。 |
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