感染症速報詳細

記事日付 20100204
タイトル ハンタウイルス-インド(マハラシュトラMH)
国名 インド    
感染症名 ハンタウイルス肺症候群
概要 ハンタウイルス感染症は、(インドでは)これまでに経験のない、まれな呼吸器疾患であるが、女性患者は治療により回復した
和文 http://www.mumbaimirror.com/article/2/2010020320100203021832496a72b62ab/Woman-survives-rare-respiratory-disease.html
Chembur hospital [Mumbai ムンバイ]の医師らは、これまでに経験のない、まれな呼吸器疾患の女性患者1名の治療に、必死に取り組んだ。ハンタウイルス感染による危険な状態となって入院したこの女性は、2日治療が成功し、退院となったが、当局は今回の症例に関する注意を呼びかけている。Govandi在住のこの21才の女性は、1月21日に入院となった。激しい腹痛、嘔吐、頭痛、浅い頻呼吸と便秘を訴えた。それまでに一般医の診察を受けていたが、インフルエンザに似た症状であったため、診断がつかなかった。その後専門医を紹介され、入院が必要であると告げられた。病院の検査では、ヘモグロビン低値が判明し、輸血された。ハンタウイルスが原因であることは、私立検査機関に対して、医師らが血液検体のハンタウイルス感染を特別に依頼して、初めて診断された。ICUでの7日間と、病棟での3日間を過ごした後、2月2日に退院となった。医師は、8年間の医療の中で初めての症例であり、国内でも珍しいであるため、ほかの疾患が除外されて初めて、特別に検査を依頼することとなったと説明した。検体検査の結果が陽性となったことを説明すると、上級の医師らもこれまでに経験がないと語っていた、この医師は述べた。専門家は、このウイルスの感染があった患者の70%は、適切な診断が行われなければ死亡すると言う...ヒトから感染することはないので、心配する必要はないと説明した。Haffkine Institute of Research and Trainingの責任者は、同機関には検査キットはなく、通常、国内でウイルスが発見されることもないと述べている...
[Mod.TY注-今回の症例の原因となったハンタウイルスの種類について判れば興味深い。2005年、インドで2例のハンタウイルス感染による死者が報告された(20051105.3240 インドのハンタウイルスに関する秀逸のレビューがある)。この中で、血清学的検査により、Puumala もしくはその類縁のハンタウイルス感染であることが報告されている。今回の症例で、このほかに可能性のあるハンタウイルスとして、Seoul virus(世界中の rats(_Rattus norvegicus._) が伝播)もしくは Thailand virus (host _Bandicota indica_ 東南アジアおよび南アジアで発生し、軽症の腎症候性出血熱の原因となる)がある]
The CDC has an excellent PowerPoint presentation on hantaviruses http://www.cdc.gov/ncidod/diseases/hanta/hps/noframes/hpsslideset/hpsslides1-12.htm
地図  Mumbai in Maharashtra state http://www.lib.utexas.edu/maps/middle_east_and_asia/india_pol01.jpg

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