感染症速報詳細

記事日付 20100216
タイトル トリパノソーマ症-米国:アリゾナAZ、triatomine vector
国名 米国    
感染症名 トリパノソーマ症
概要 サシガメの40%がシャーガス病を保有していた
和文 http://www.azcentral.com/news/articles/2010/02/10/20100210kissing-bug-disease-arizona.html
新たな研究によると、Tucsonの研究者らが採集した"kissing bugs(サシガメ)" のうちの40%が、中南米において年間数万人の死者を発生させている病気の原因となる寄生虫を保有しいることが判った。一方で、シャーガスChagas病の原因となるこの単細胞の寄生虫を保有するサシガメの個体数が、当初予想されたよりもかなり多いにもかかわらず、州内で起きた刺咬によるヒトの感染は確認されていない。これは、米国ではまれなこの疾患に対して、医師が注意していないことを意味するのかも知れない。が、それよりも、南部のサシガメと同じような行動を取らないか、または、病気が別の種によって起きている可能性が高いと、アリゾナ大学の研究者は述べている。the March 2010 edition of the Centers for Disease Control and Prevention journal Emerging Infectious Diseasesの中に、この研究結果が報告されている。ずっと以前からこの地方の人々は刺咬を受けており、もし感染伝播できるものなら、すでに患者が確認されているはずだと述べた...提出された164体の昆虫のうち、DNA検査により40%以上がシャーガス病を保有していることが判明した。1960年代前半に出された唯一の以前の報告によると、Tuscon周辺のサシガメの保有率はわずか4%とされていた。シャーガス病は、ラテンアメリカの貧困国に常在し、CDCによると、800万人から1100万人が感染していると見られている。最近では、シャーガス病感染のある移民らが米国に移動し、2009年に少なくとも30万人の移民に感染があると見られている。米国南部のkissing bugs サシガメもシャーガス病を保有していることが判っているが、米国内の発生は、報告されている自国内感染がわずか7例のみと、非常にまれである。世界中で年間およそ15000人から5万人が死亡すると推計されているが、予防対策や効果的な治療の結果、徐々に減少しつつある。サシガメは、典型的には夜間にヒトから吸血する際に、便から寄生虫を感染伝播させる。短期間、刺し口の痛みや発熱などのやや軽い症状が見られた後、疾患は一旦休止期に入ることが多い。その後、数年から数十年を経て、患者の約20-40%に、重症の心障害や胃腸障害をもたらせる。急性感染に対する治療はあるが、一旦、主要臓器に問題が発生すると、治癒させることは不可能である。その他、輸血、臓器移植、出産などによる感染もある。2007年前半から、全米のほとんどの地域で、供血スクリーニング検査が開始され、CDCによれば、1000人の供血者の感染が確認されている。感染のあった献血者のほとんどは母国で感染したものであるが、少数の感染者は、南米や中米への渡航歴がなかった。当局は、これらの人々の感染源について調査を行っている。感染リスクは、野外でサシガメに曝露しやすい、イヌなどのペットにおいてはかなり高い。また、Tusdon地域の住民は、以前考えられていたよりもずっと曝露のリスクが高いため、医療関係者らはこのことに留意する必要があるとしている...
[Mod.EP注-...]
写真1 Triatomine "kissing bug" (_Triatoma infestans_) http://www.scielo.br/img/revistas/ne/v32n1/15563f2.jpg
写真2 Trypanosomes (_T. cruzi_) in blood slide http://www.astmh.org/source/ZaimanSlides/index.cfm?photo=BEA37DB1-E0C7-F0E4-A4AA3E8CDA5414E0

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