旅行用健康管理セットについて
旅行する人には、以下のような事態に確実に対処できるように、必要な物品を旅行用健康管理セットとしてまとめることを勧めます。 
・もともとある医学的な問題を管理し、それが悪化した場合に治療できるようにする。 
・旅行によって新たに生じうる疾患を予防する。
・比較的軽症の健康上の問題が生じた場合、これを管理する。 
薬剤を携帯して旅行すること
旅行に際して薬剤が必要な場合には、次のようなことに注意する必要があります。 
・容器:薬はすべて内容が容易に見分けられるように、はっきりとラベルが貼られた容器(処方時の)に入れて携行しなければなりません。薬剤を小さい容器に詰めかえたり、一日量ごとに分けて容器に詰めようとする方が多いのですが、入国に際して空港の官吏から薬剤確認を要求される可能性があります。 
・処方箋:旅行者は薬剤の商品名も記載されたすべての処方箋のコピーを携行しなければなりません。 
・医師の証明:規制のある薬剤や注射製剤については、処方した医師から証明書をレターヘッドつきの便箋に書いてもらって、携行するようにしてください。 
・規制のある薬剤:旅行者はある種の薬剤は、国によっては認可されていないことを知らなければなりません。規制について質問がある場合、特に規制薬剤についての質問の場合、目的地の大使館や領事館に連絡することをお勧めします。
・常に手元に:旅行用健康管理セットは手元にあって初めて役立ちます。旅行者は、いかなる場合もこれを携行していなければなりません(たとえば、機内持ち込みバッグの中)。航空会社の安全確保規則によっては、尖った物品や液体、ジェルなどは、チェックインする荷物の中にいれておかなければなりません。  
ご自分のもつ病気への備え
以前から医療上の問題がある旅行者には、旅行の期間に対して十分な薬を、また旅行が延びた場合に備えて、それ以上の予備薬を携行するようにお勧めいたします。現在の病状が悪化した場合に、その管理のために追加のセットや薬剤が必要な場合には、それも同様に携行しなければなりません。また、病状を管理している医療関係者に、どのように旅行中に行動するのが最も適切であるかについて、コンサルトを受けなければなりません。
糖尿病や、昆虫の毒や薬剤に対してアレルギーがあるなどの問題を持っている人は、注意を引くようにその情報を腕につけるようにしましょう。また、この情報が自分の財布の中のカードやその他旅行関連の文書の中にも書かれていることを確認しましょう。
一般的な旅行用健康管理セット
市販品として多くの健康管理セットが入手可能で、インターネットによっても購入できます。しかし、通常同等の自家製のセットを安価に作ることができます。健康管理セットの具体的な内容は、目的地や旅行期間、旅行中の行動、旅行者が元々持っている医療上の問題、などによって決まります。
以下のリストはすべてではありませんが、考慮すべき基本的な物品となります。
薬剤*1
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     目的に応じて必要性があるもの: 
    
    
    
- 抗マラリア薬
- 高山病に対する予防薬もしくは治療薬 
 
 疼痛や発熱に対して(以下の一つないし複数、あるいは代替薬):
 
- アセトアミノフェン(商品名カロナール、パラセタモール、ピリナジン、アンヒバなど)、アスピリン(商品名バファリンなど)、イブプロフェン(商品名イブ、ブルフェン、Advilなど) 
 
 胃の不調、下痢に対して:
 
- 薬局で入手できる下痢止め剤、ロペラミド(商品名ペロット下痢止めなど) や次硝酸ビスマスなど) 
 
- 中等度から重度の下痢症に対しては、自己治療のための抗生物質 
 
- 経口補水塩(ORS)(商品名OS-1など) 
 
- 軽い便秘薬 
 
- 制酸剤 
 
 のどや呼吸器症状に:
 
- 抗ヒスタミン剤 
 
- 咳止め、去痰剤 
 
- トローチ 
      
 
 乗り物酔いの薬 :
 重症アレルギー反応を起こしたことがある人は、エピペンなどのエピネフリンの自動注射薬
 家庭で定期的に飲んでいる薬についてすべて(処方されたものおよび売薬)
 
 (*1 年齢や体の状態によって使えないものがあります。かかりつけ医にご相談の上、ご準備ください。特に子どもの場合には必ず専門医に相談してご用意ください。)
 
 基本的な応急処置用品
- 使い捨て用手袋(最低二組) 
 
- 絆創膏(複数のサイズ) 
 
- ガーゼ 
 
- 粘着テープ 
 
- ねんざした所やすり傷を保護する弾性包帯
- 消毒薬
- 綿棒 
 
- ピンセット*2 
 
- はさみ*2
 
- 抗真菌剤および抗生物質軟膏またはクリーム 
 
- 1%ハイドロコーチゾンクリーム 
 
- 虫さされに対する、かゆみ止めのジェルあるいはクリーム 
 
- 日焼けに対するアロエジェル 
 
- 水ほう(水ぶくれ)に対する保護テープ 
 
- デジタル体温計 
 
- 点眼剤 
 
- 応急処置の参照指示カード
 
 (*2 チェックインする荷物の中に入れること。機内持ち込み荷物に入れると、空港あるいは航空会社のセキュリティが「危険のある鋭利な物」と判断し、没収される可能性があります)
 
 その他の重要な物品
 
- 虫よけの薬 
 
- 日焼け止め(SPFが15ないしそれ以上) 
 
- 抗菌性のある手ふき、少なくとも60%のアルコールを含んだアルコールが主成分の手指消毒液 
 
 ある場合には役に立つ物品
 
- コンタクトレンズのペアやめがねのスペア 
 
- 軽めの鎮静剤、その他睡眠薬、抗不安薬 
 
- ラテックスコンドーム 
 
- 飲み水を消毒するための錠剤(ヨード製剤など) ・その地域の医療従事者が使う市販の縫合用キット、注射シリンジキット(現地で入手するには、レターヘッドのある書面に書かれた処方医の手紙が必要)
連絡先のカード
連絡先についての情報を添付しておくことも重要です。この種の情報は緊急時にすぐに必要です。以下に述べるような項目が書かれた連絡先カードを作り、携行していると、このような緊急事態の際に時間が節約できます。 
連絡先カードに書くべき項目として、次の住所および電話番号があります。: 
- 現在、日本に住んでいる家族、あるいは連絡をよく取る人 
 
- 日本でかかっている医療従事者 
 
- 現地の病院や診療所
- 目的国の日本国大使館、領事館
市販の医療用品
基本的な応急処置から緊急時の生命維持に至るまで、いろいろな状況に対応した市販用品が入手可能です。薬局、食品雑貨店、小売店、アウトドアスポーツ用品店の多くが、独自の応急処置用品を売っています。自分でセットを作らず、健康管理セットを購入する旅行者は、注意ぶかくセットの内容を調べ、必要なものが全て揃っていることを確認してください。 
さらに、冒険旅行する人に対しては、たくさんの会社が上級の医療用品を生産しています。旅行目的に応じて用具をカスタマイズすることもあるでしょう。 
その他、急に生じた歯の問題や飲料水について、特殊な道具を入手することも可能です。
 



