オリンピックを観戦するために英国に渡航される皆さまへ(更新1)

 今年の夏は、英国で、ロンドンオリンピック(第30回オリンピック競技大会)とロンドンパラリンピック(第14回パラリンピック競技大会)が開催されます。ロンドンオリンピックの開催期間は、7月27日から8月12日、ロンドンパラリンピックの開催期間は、8月29日から9月9日です。

 英国への渡航は、健康面や安全面については、日本国内を旅行するのと変わらないことも多いですが、多くの観客が集まることで、病気にかかったり、けがをしたりする危険が高くなります。

 オリンピックやパラリンピックの観戦の思い出が、病気にかかったり、けがをしたりすることなく、良い思い出になるように、注意していただきたいことをご案内します。

渡航の前に・・・

 予防接種歴を確認しましょう

多くの人は、就学前や学校に入った後に予防接種を受けていますが、渡航前に、母子手帳などで、予防接種歴を確認しましょう。

 麻しん(はしか)の予防接種は特に重要です。麻しんは予防接種で予防することができる病気ですが、予防効果を確実にするためには、2回の接種が必要です。ヨーロッパでは、麻しんの大規模な発生が起こっています。麻しんにかかったことがなく、麻しんの予防接種を受けていない方は、現地で感染し、渡航中または帰国後に発症する危険があります。麻しんにかかったことがない方で、麻しんの予防接種を受けたことがない方や1回しか接種していない方、または予防接種を受けたかどうかがわからない方は、渡航する前に、早めに医師の診察を受けて、予防接種について相談してください。

・感染症情報 : 麻しん

<平成24年7月9日 更新情報>
 英国では、全国的に百日せきの患者数が増えています。昨年は1年間で1,118人の患者が報告されましたが、今年は、5月末までに1,781人の患者が報告されています。日本では、定期の予防接種として、三種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風)の予防接種が行われていますが、4回接種を済ませていない方、または予防接種を受けたかどうかがわからない方は、渡航する前に、早めに医師の診察を受けて、予防接種について相談してください。

 海外旅行保険を検討しましょう

 一般に、海外の医療費は高額です。万が一、予期できないトラブルに巻き込まれたり、病気にかかったりした時のことを考えて、海外旅行保険の限度額やサービス、条件などの補償内容を十分に検討し、保険の加入を考慮してください。

 英国の医療状況について、よく知っておいてください

 特に、生命にかかわるような緊急時や、救急車を呼ぶ時には、999または112にダイヤルしてください(日本国内の119番と間違えないように覚えておいてください)。骨折のような救急医療を行う施設は、Accident and Emergency Departments(事故・緊急事態部門)または、A&Esと呼ばれます。

 薬剤師は、軽症の病気やけがについてのアドバイスをすることができます。

 石けんを使って手をよく洗いましょう

 石けんがない場合には、アルコール製剤を使いましょう

 咳エチケットを守りましょう

 咳やくしゃみなどの症状がある時は、マスクをしましょう。とっさに出そうな時は、顔をそらして、ティッシュなどで口と鼻をおおいましょう。

 日焼けをしないようにしましょう

 SPF15以上の日焼け止め、帽子、ベール、紫外線カット機能がついたサングラスなどを使いましょう。

 脱水にならないように、規則正しい食事と、こまめな水分補給をしましょう

 ロンドンの夏は東京の夏に比べ、気温と湿度が低く、過ごしやすいと言われていますが、真夏日が続く年もあります。また、公共交通機関の中が高温になることもあります。脱水にならないよう、こまめに水分をとってください。

 健康的な生活習慣を守りましょう

 お酒を飲む場合には、適正量を守りましょう。飲酒運転はしないでください。

 性交渉をする場合には、コンドームを使用しましょう。

 からだに傷をつける入れ墨やピアシングなどをする場合、感染症にかかる危険があります。使われる器具が清潔なものであることを確認してください。

 特に、混雑した場所では、油断しないようにしましょう

 一緒に行動するグループから離れる時は、待ち合わせ場所を決めてください。ひとりで行動するよりも、なるべく、友人やグループと一緒に行動するようにしましょう。

 行動に注意しましょう

 自転車やオートバイに乗る時は、ヘルメットをかぶりましょう。通りを横断する時には、左右から来る車に注意してください。

 車を運転する時には、シートベルトをしめましょう。英国は、日本と同じ、左側通行です。

 オリンピックやパラリンピックの大会保安規則、地域の法律や税関手続きに従ってください

 パスポートのコピーは、常に携帯してください

帰国したら・・・

 身体を休めて、旅の疲れを癒してください。うまくいけば、あなたの旅は、楽しくて興奮したものになるでしょう。しかし、病気になったり、けがをしたりした時には、医療機関の受診を継続してください。必ず、医師に、渡航の旅程と現地での行動を詳しく伝えてください。

参考

CDC Travelers’ Health Announcement
London 2012: Olympic and Paralympic Games

Health Protection Agency
Increase in whooping cough cases continues

※ロンドンの医療サービスについて、もっと詳しく調べたい時には、National Health Services (NHS)のホームページ(英語)をご覧ください。

National Health Service Direct

Health Information for the 2012 Games

                                           <平成24年7月9日更新>