コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病に関する国際保健規則(2005)緊急委員会の2019年4月12日の会合に関する声明

WHO Statement  2019年4月12日

コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病(EVD)に関して、国際保健規則(IHR)(2005)の下WHO事務局長が招集した緊急委員会の会議が、2019年4月12日13:00~17:20ジュネーブ時間(CET)に行われました。
(註:本文はあくまで参考情報です。詳細な内容については原文をお確かめください。)

重要な所見:

コンゴ民主共和国の北キブ(North Kivu)州及びイトゥリ(Ituri)州において進行しているエボラウイルス病のアウトブレイクは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には当たらないというのが委員会の見方でした。しかしながら委員会は、最近の特定の地域における伝播の増加と、それゆえの近隣諸国への拡散の潜在的リスクについて、深い懸念を表明したいとしました。

委員会はまた、複雑で困難な状況下でアウトブレイクの封じ込めのための対応を行うコンゴ民主共和国政府、WHO及びパートナーらの努力を称賛したいとしました。

加えて、委員会は下記の公衆衛生上の助言を提供しています。

・委員会は、感染例を可能な限り早く見つけ、すべての接触者の確認とフォローアップを行ういっそうの努力を行い、すべての接触者と、その接触者におけるより高い予防接種率を確保するよう助言します。
・院内感染を予防し、発症からエボラ治療ユニットでの高水準のケアと治療につながるまでの時間を短くするための持続的な努力がなされなければなりません。
・残存している感染の中心地、特にビュトンボ(Butembo)、カトワ(Katwa)、ヴホヴィ(Vuhovi)及びマンディマ(Mandima)における感染症例数の増加に対する取り組みにとりわけ重点が置かれるべきです。
・委員会は、WHOとすべてのパートナーに対し、地域社会の受容を強化し深めるため、地域社会の対話と参加、伝統的治療者の関わり、その他の地域を関与させる方策を明確化し、目標にし、拡大するよう助言します。

・委員会はさらに、予防接種に関する専門家戦略諮問グループ(SAGE)が予防接種戦略について最近の会合で示した勧告に従う必要性について述べました。
・対応の安全保障化を避ける一方で、対応に当たる従事者らの安全が優先されるべきです。
・地域に拡散するリスクが非常に高いため、近隣諸国は、医療従事者と周辺国の最前線の保健医療従事者の予防接種を含め、現在の準備とサーベイランスを加速し続けるべきです。
・データや警報のタイムリーな共有、国境を越えた地域社会の関与や意識の高揚などを含む、国境を越えた協力が強化され続けるべきです。加えて、人口移動をよりよくマッピングし、国境をまたぐ社会的ネットワークを理解するための作業を行うべきです。
・委員会は、国際的な旅行や貿易の制限を適用しないことが特に重要であるという従前の助言を維持します。空港、港湾、国境検問所を含め、出国時の審査は極めて重要です。しかし、特に遠隔の空港における入国時の審査は、いかなる公衆衛生又は費用便益上の価値があるとは考えられません。
・委員会は、事前準備と対応の双方における現在の取り組みを強化することが決定的に必要であることを特に強調しました。これは十分な規模の迅速で持続的な追加的資金支援を必要とします。
・現段階でPHEICと宣言することに追加的な利益はありませんが、進化する状況への細心の注意を必要とする現在の伝播レベルについて懸念がありました。委員会は、WHO事務局長に対して、状況の厳重な監視を続け、必要に応じて緊急委員会を再招集するよう助言しました。

会議の議事

緊急委員会のメンバーと顧問は電話会議にて会見しました。コンゴ民主共和国保健省の代表によって、疫学的状況、対応の戦略及び対応における地域の関わりを改善するための戦略変更を含む最近の適応についてプレゼンテーションが行われました。

国際連合コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の国連事務総長特別副代表室の代表は、対応を支援する物流管理と治安維持活動を含むMONUSCOの活動について報告しました。

WHOの事務局は、現在の状況についての最新の情報と、現在のエボラウイルス病のアウトブレイクへの対応と近隣諸国における事前準備活動の詳細を提供しました。

委員会の役割は、事務局長に対し、以下についての見解と見通しを提供することでした。

・この事象が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)に当たるかどうか
・もしこの事象がPHEICに当たるのであれば、当面どのような勧告がなされるべきか

この助言に基づき、エボラウイルス病の影響を受けた締結国の報告書及び現在入手可能な情報に基づき、事務局長は委員会の評価を受け入れ、4月12日にはコンゴ民主共和国でのエボラウイルス病のアウトブレイクを国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態として宣言しませんでした。WHOは、緊急委員会の助言に照らして、旅行や貿易のいかなる制限も行わないよう勧告します。事務局長は、委員会のメンバーと顧問に対し、彼らの助言に感謝しました。

出典