エボラウイルス病 - コンゴ民主共和国(更新23)

Disease outbreak news:更新   2019年5月23日

今週は、コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病(EVD)の症例数の着実な増加を目の当たりにしていますが、全体的な治安状況により、ほとんどの取り組み活動の再開が可能になりました。重大な治安上の事件は発生していませんが、アウトブレイク対応チーム、地域の医療従事者、および取り組みの努力に協力している地域社会のメンバーは、カトワ(Katwa)やビュトンボ(Butembo)などのホットスポット地域にいる武装グループによる攻撃にますますさらされています。これらの脅威は、折り込みや直接的な脅迫を通じてしばしば拡散します。武装グループの存在、活動および対応チームに対する直接の脅威の増大は、他のエボラウイルス病のアウトブレイクが起きている地域、特にルベロ(Lubero)、マセレカ(Masereka)、マバラコ(Mabalako)、カルングタ(Kalunguta)、およびヴホヴィ(Vuhovi)で引き続き報告されていて、医療従事者自身または彼らが業務を行っている医療施設に対して課せられる暴力の恐怖から、一部の医療従事者が個人防御具を着用することや、重要な感染予防管理(IPC)を実施することを嫌がる結果になっています。過去3週間の間に、報告は7つの主要なホットスポット地域(ベニ(Beni)、ビュトンボ、カルングタ、カトワ、マバラコ、マンディマ(Mandima)、およびミュジャンエーネ(Musienene))で最も強い感染が続いていることを示しています。まとめると、これらの保健区域は、2019年5月1日から21日までの過去21日間に報告された349例の大多数(93%)を占めています(図1および表1)。この期間中、これまでに被害を受けた22の保健区域のうち15の区域内の91の保健地域から新たな症例が報告されました(図2)。

5月21日の時点で、合計で1866人の確定および高度疑い例のエボラウイルス病症例が報告されており、そのうち1241人が死亡しました(致死率67%)。性別と年齢が記録された全症例のうち、56%(1051人)が女性、30%(545人)が18歳未満の子供でした。り患した医療従事者の数は105人に増加しました(全症例の6%)。エボラ治療センターで治療を受けた490人のエボラウイルス病患者が無事退院しました。

図1:2019年5月21日時点の保健区域別エボラウイルス病症例の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*

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* ここ数週間のデータは、ケースの確認と報告、および継続的なデータのクリーニングが遅れることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、ビエナ(Biena)、ブニア(Bunia)、カルングタ、カイナ(Kayna)、コマンダ(Komanda)、キョンド(Kyondo)、ルベロ、マングルジパ(Mangurujipa)、マセレカ、ムトワンガ(Mutwanga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、オイチャ(Oicha)、ルワンパラ(Rwampara)、およびチョミア(Tchomia)が含まれます。

図2:2019年5月21日時点でのコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州の保健地域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例


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表1:2019年5月21日時点のコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州における保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、および影響を受けた保健地域の数**


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**過去21日間に発生した症例と地域の合計は、最初の症例警報の日付に基づいており、確定日および保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、およびパートナーによる公衆衛生上の取り組み活動に関する詳細については、WHOアフリカ地域事務所が発表した最新の状況報告を参照してください。
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国

WHOによるリスク評価

WHOは、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に監視して、対応への支援が進展する状況に適応していることを確実なものにします。直近の評価では、国内および地域のリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。 2019年2月下旬以降、毎週新しい患者の増加が続いています。全般的な治安状況の悪化と、政治的緊張と治安不穏によって悪化した地域社会の不信に基づく躊躇や拒絶、そして抵抗を示す孤立地帯(ポケット)が存続しています。アウトブレイクの影響を受けている地域において繰り返される一時停止と症例調査および対応活動の遅延により、介入の全体的な有効性が低下しています。しかし、最近の地域社会との対話、アウトリーチ構想、および特定のホットスポットエリアへのアクセスの回復により、地域社会による対応活動および症例調査の取り組みに対する受け入れが改善されました。確定症例のうち報告される地域社会の中で死亡する症例の高い割合、サーベイランス下で接触者が知られている新規症例の割合が比較的低いこと、院内感染に関連する感染伝播連鎖の存在、症例発見とエボラ治療センターにおける隔離の持続的遅延、ならびに高度疑い例に対する適時報告と対応における困難さは、アウトブレイクの影響を受ける地域社会でのさらなる感染連鎖の可能性を高め、コンゴ民主共和国内および近隣諸国へのエボラウイルス病の地理的拡大のリスクを高めるすべての要因となります。アウトブレイクの影響を受けている地域から、コンゴ民主共和国の他の地域へ、そして不安の高まりの間に穴だらけの国境を越えて近隣諸国へと人口移動が頻繁に起こることで、これらのリスクはさらに高まります。現在のアウトブレイクの長期的な発生、対応スタッフの疲労、および限られた資源に対する継続的な負担によって、新たなリスクが生じます。反対に、優先医療施設での医療従事者や現場作業員の予防接種を含む、近隣諸国での実質的な即応体制の整備および準備活動は、症例を迅速に検出して地域への蔓延を軽減する能力を高めている可能性が高いのです。現時点でこれらの努力を拡大し続ける必要があります。

WHOからのアドバイス

WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対してビザ発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在、コンゴ民主共和国との間の国際交通を著しく妨害するような渡航対策を実施している国はありません。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生慣習を実践すべきです。

出典

Ebola virus disease - Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update   23 May 2019
https://www.who.int/csr/don/23-may-2019-ebola-drc/en/