エボラウイルス病 - コンゴ民主共和国(更新29)

Disease outbreak news:更新  2019年7月4日

今週も、コンゴ民主共和国の北キヴ(North Kivu)州およびイトゥリ(Ituri)州におけるエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクが変わらない伝播レベルで続いています。指標は、ビュトンボ(Butembo)やカトワ(Katwa)のようないくつかの主要なホットスポットで、強度が弱まっていることを示しています。現在のホットスポットは、ベニ(Beni)、マバラコ(Mabalako)、マンディマ(Mandima)の保健区域で、一部のケースは、これらのホットスポット地域から被害を受けていない保健区域に輸出されています。 コマンダ(Komanda)、ルベロ(Lubero)、ルワンパラ(Rwampara) /ブニア(Bunia)保健区域などのような以前は感染率が低かった地域で、新たに発生した症例数がわずかながら、しかし注視すべきレベルで増加しています。 6月30日、ベニから陸路を旅した人が、ベニから北に460キロメートル以上離れたウガンダと南スーダンとの国境方面のアリワラ(Ariwara)において確定例とされました。これはこの保健区域で最初の確定例であり、アリワラで調査と公衆衛生活動を実行するために対応チームがブニアから派遣されました。ウガンダと南スーダンは、ここ数カ月の間に作り上げた準備体制に基づいて、すぐに動員をかけました。ウガンダのアルア(Arua)地区は、アリワラ(Ariwara)保健区域と国境を接しており、大量の貿易と人口移動があります。 7月2日、アルアのアルア地区専門調査団が行動計画の合意に向けて動員され、保健省(MoH)はニーズアセスメントのために直ちに緊急対応チームを派遣し、カセセ(Kasese)からの予防接種チームも最前線の医療従事者に予防接種を開始するために7月3日にはアルアに派遣されました。 南スーダンでは、7月2日、国際保健機関(WHO)と国連人道問題調整事務所(OCHA)が、現場ミッションの計画と調整を行うために、実施パートナーとの合同会議を開催しました。合同チームは7月3日にケイ(Kei)州に派遣され、運用即応活動を支援しました。

2019年6月12日から7月2日までの21日間で、20の保健区域のうち73の保健地域が新しい症例を報告し、それは北キヴ州およびIイトゥリ州の664の保健地域の11%に相当します(図2)。この期間中、合計285件の確定例が報告され、その大部分はマバラコ(30%、n = 85)、ベニ(27%、n = 76)、マンディマ(8%、n = 23)、ルベロ(6%、n = 16)およびカルングタ(5%、n = 14)。 2019年7月2日の時点で、2,275人の確定例および94人の高度疑い例を含む合計2,369人のエボラウイルス病症例が報告されました(表1)。確定例中の1,504人の死亡を含め、合計1,598人の死亡が報告されています(全体の症例の致死率68%)。年齢および性別がわかっている2,369例の確定例および高度疑い例のうち56%(1,334)が女性、29%(691)が18歳未満の子供でした。医療従事者の間で症例数は増え続けており、累積感染者数は130人に増えました(全症例の6%)。

ウガンダ共和国では、2019年6月13日の前回のエボラウイルス病 疾病アウトブレイクニュースの発行以降、新たなエボラウイルス病の症例または死亡は報告されていません。6月26日現在、108人の接触者が確認されていて、現在21日間のフォローアップ期間中です。接触者は7月3日に最後の接触者がフォローアップを完了するまで21日間毎日訪問されます。すべての接触者は今までのところ無症状のままです。今日までに報告された14人の疑い症例すべてがエボラウイルス病に対して陰性のテスト結果で、これらの症例はウガンダのエボラウイルス病に関する疾病アウトブレイクニュースに記載されている確定症例とは関係がありません。累積で1507人が同意し、予防接種を受けました。74人の接触者(34人は予防接種の対象外)、747人の接触者の接触者、および682人の現場医療従事者がこれに含まれました。

図1:2019年7月2日時点の保健区域別エボラウイルス病症例の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*


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*ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、および継続的なデータのクリーニングが遅れることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、アリワラAriwara)、ビエナ(Biena)、ブニア、カルングタ、カイナ(Kayna)、コマンダ、キョンド(Kyondo)、ルベロ、マングルジパ(Mangurujipa)、マセレカ(Masereka)、ムトワンガ(Mutwanga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、オイチャ(Oicha)、ルワンパラ、およびチョミア(Tchomia)が含まれます。

図2:2019年7月2日時点での保健区域別の発症週毎のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例*

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表1:2019年7月2日時点のコンゴ民主共和国北キヴ州およびイトゥリ州における保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、および影響を受けた保健地域の数**


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**過去21日間に発生した症例と地域の合計は、最初の症例アラートの日付に基づいており、確認日および保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。


 

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、およびパートナーによる公衆衛生上の取り組み活動に関する詳細については、WHOアフリカ地域事務所が発表した最新の状況報告を参照してください。

エボラ状況報告:コンゴ民主共和国

WHOによるリスク評価

WHOは、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に監視して、対応への支援が進展する状況に適応していることを確実なものにします。直近の評価では、国内および地域のリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。 2019年2月から5月中旬にかけて、毎週新しい患者の増加が見られ、それ以降は依然としてかなりの割合で発生しています。全般的な治安状況の悪化と、特に過去4週間にわたる政治的緊張と治安不穏によって悪化した地域社会の不信に基づく躊躇や拒絶、そして抵抗を示す孤立地帯(ポケット)が存続しています。アウトブレイクの影響を受けている地域において繰り返される一時停止と症例調査および対応活動の遅延により、介入の全体的な有効性が低下しています。しかし、最近の地域社会との対話、アウトリーチ構想、および特定のホットスポットエリアへのアクセスの回復により、地域社会による対応活動および症例調査の取り組みに対する受け入れが改善されました。スタッフの安全と治安を確保するために治安の緩和策が強化されており、手続き上、運用上および物理的な治安上の課題が解決されています。確定症例のうち報告される地域社会の中で死亡する症例の高い割合、サーベイランス下で接触者が知られている新規症例の割合が比較的低いこと、院内感染に関連する感染伝播連鎖の存在、症例発見とエボラ治療センターにおける隔離の持続的遅延、ならびに高度疑い例に対する適時報告と対応における困難さは、アウトブレイクの影響を受ける地域社会でのさらなる感染連鎖の可能性を高め、コンゴ民主共和国内および近隣諸国へのエボラウイルス病の地理的拡大のリスクを高めるすべての要因となります。アウトブレイクの影響を受けている地域から、コンゴ民主共和国の他の地域へ、そして不安の高まりの間に穴だらけの国境を越えて近隣諸国へと人口移動が頻繁に起こることで、これらのリスクはさらに高まります。現在のアウトブレイクの長期的な発生、対応スタッフの疲労、および限られた資源に対する継続的な負担によって、新たなリスクが生じます。反対に、近隣諸国での実質的な即応体制の整備および準備活動は、症例を迅速に検出して地域への蔓延を軽減する能力を高めている可能性が高いのです。これらの努力を拡大し続ける必要があります。

WHOからのアドバイス

WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、影響を受けた国への/国からの渡航者に対してビザ発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在、コンゴ民主共和国との間の国際交通を著しく妨害するような渡航対策を実施している国はありません。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生慣習を実践すべきです。

出典

Ebola virus disease -Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update  4 July 2019

https://www.who.int/csr/don/04-july-2019-ebola-drc/en