エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新) 2020年2月6日付け

Disease outbreak news 2020年2月6日付け

1月29日から2月4日まで、コンゴ民主共和国で進行中のエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクで、4人の新たな確定症例が報告されました。4例すべてが北キブ州のベニ保健区域で報告されました。3例は、マバラコ保健区域のアロヤ保健地域で発生した感染伝播の連鎖と疫学的リンクがあり、最も可能性の高い暴露は、伝統的な医療施設の院内感染によるものでした。ベニ保健区域で報告された4番目の最新の症例は、検出したときには既知の接触者ではなく、発症後の9日間にかけて地域社会に留まり、2月4日に地域社会で死亡しました。地域社会で時間を過ごすことが認められた症例は、エボラウイルス病が接触者に伝播するリスクを高めます。

過去21日間(2020年1月15日から2月4日)に、北キブ州の2つの感染伝播が活発な保健区域内の3つの保健地域から、地域社会で死亡した3人を含む18人の確定患者が報告されました(図1、図2、表1):ベニ(17例)、マバラコ(1例)。エボラウイルス病症例の地理的広がりの縮小と、過去21日間の発生率の低下傾向は勇気づけられるものです。加えて、月次サーベイランスの指標は、2019年10月以降、全体的に改善されてきています。これらの改善された指標には、接触者として登録されていた患者の割合が増加したこと、新規報告例において地域社会で死亡した症例の割合が減少したこと、隔離の遅れが減少したこと、毎月の致死率が低下したことが含まれます。

これらの改善は脆弱なものであり、対応の取り組みを削減できないものとして解釈されるべきです。過去21日間にエボラウイルス病で確認された18人のうち、9人が隔離され、発症から3日以上経過して治療が提供されました。過去7日間にベニ保健区域で報告された最新の4つの症例は、検出時にはモニタリングされていませんでした。したがって、継続的に患者と接触者を特定すること、接触者をフォローアップすること、継続して医療施設における感染予防と制御の改善をしていくことといった、対応活動における警戒について焦点を当て続けることが重要です。

2月4日の時点で、合計3,429のエボラウイルス病の症例が報告され、そのうち3,306例が確定例であり、123例が高度疑い例であり、全体のうち2,251症例が死亡しました。(全体の致死率66%)(表1)。全ての確定例及び高度疑い例のうち、56%(n=1920)が女性、28%(n=967)が18歳未満の子ども、172人(報告された全症例の5%)が医療関係者でした。

図1: 2020年2月4日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*

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*2020年2月4日時点で報告された3,429の確認された可能性のある症例。発症日が報告されていないn=169の症例を除く。ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、および継続的なデータクリーニングの遅延の影響を受けます。その他の保健区域には、アリムボンゴ、アリワラ、ビエナ、ブニア、ゴマ、カイナ、コマンダ、キョンド、ロルワ、ルベロ、マンディマ、マングルジパ、マセレカ、ムトゥワンガ、ムウェンガ、ニャクンデ、ニーラゴンゴ、オイチャ、パンガ、ルワンパラ、チョミア、ヴィホヴィが含まれます。

図2:2020年2月4日時点の保健区域別の発症週別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例のデータ*

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表1:2020年2月4日時点でのコンゴ民主共和国、北キブ州の保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例および被災した保健地域の数**

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**過去21日間に発生した症例と被災した地域は、症例警告の最初の日付に基づいており、確定日及び保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、パートナーによる公衆衛生上の取り組みに関するさらなる情報は、WHOアフリカ地域事務局が発表した最新の状況報告をご参照ください。
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国

WHOによるリスク評価

WHOは、対応支援が変化を続ける状況に適応できているかを確認するべく、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に観察しています。直近の評価では国内および地域でのリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。

WHOからのアドバイス

WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。国境を越えた移動や影響を受けた国への/国からの渡航者にビザの発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在、コンゴ民主共和国との国際交通を著しく妨害するような渡航対策を実施している国はありません。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生習慣を実践すべきです。さらなる情報は、「WHOの推奨するコンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病アウトブレイクに関連した国際交通にについて」で確認可能です。

出典

Ebola virus disease ― Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update  6 February 2020
https://www.who.int/csr/don/06-february-2020-ebola-drc/en/