ヨーロッパにおけるウェストナイルウイルス感染症流行について

ECDC 2010年9月07日

ギリシャのウェストナイルウイルスのアウトブレイクに加え、ギリシャ近傍の国々を含むその他のヨーロッパ諸国の一部でも、ウェストナイルウイルス伝播が報告されています。この地域でのウィルスの流行状況の報告に基づいた更新情報と地図を下に掲載します。ECDCの8月27日発表の脅威評価に関する資料をお読みください。

図、2010年7月1日~9月2日までのウェストナイルウイルス感染症数(確定)

ギリシャではアウトブレイクは主として中央マケドニア地方に限られており、数例のみが近隣地域であるLarissa地方に見られています。2010年9月3日の段階で、全部で173症例が報告されており、そのすべてが検査で診断確定したものでした。このうち15人が死亡しています。第1症例は8月の最初に報告されました。症例の症状およびギリシャ当局によってとられたアウトブレイクへの対応について、また過去の流行状況更新情報については、最近のEurosurveillanceの記事の情報をご参照ください。

ルーマニアの保健当局は全部で13例のウェストナイルウイルス感染確定例と2例の疑い例を報告しています。2例が死亡しており、両者とも75歳を超えておりました。症例の年齢中央値は50歳で(年齢範囲は18歳~79歳)、ルーマニアの11カ所の異なる地域で見られました。ルーマニア全国で、人および動物に対してサーベイランスが強化されています。

ハンガリー保健当局は9月2日の時点で3例のウェストナイルウイルス感染症確定例を報告しており、このうち1例はルーマニア国境近くのBekes郡の症例であり、その他の2症例はハンガリー中央部でのものでした。疫学的な調査、サーベイランスの強化が実行されています。

イタリアのVeneto地域で、8月期に1例のウェストナイルウイルス確定例が、夏季期間の発熱性疾患に対して強化されたサーベイランスシステムで、検出されました。また、ポルトガルでは7月に1例の疑い例が報告されました。

EU地域以外では、ロシアにおいて、2010年7月および8月の間に全部で231例のウェストナイル感染症が報告されています。このうち6例(5 例がVolgograd州、1例がRostov州)が致死的でした。症例の大多数がVolgogradからの報告ですが、ここ最近では35例がRostovから報告されています。これに加えて、散発例がAstrakhanおよびVoronezh州、Krasnodar kray、Kalmykia共和国から報告されています。

8月10日に、イスラエルから24例のウェストナイルウイルス感染症確定例、6例の疑い例が報告されました。これに加えて、最近の報告ではイスラエルからオランダへ一連のウェストナイルウイルスの輸入例が報告されました。ほとんどの症例は、中央地域およびTel Aviv地域からのものであり、Haifa地域からも孤発例が報告されています。モロッコでは現在のところ人症例は報告されていませんが、8月24日の段階で、18頭のウマウェストナイルウイルス感染確定例があり、8頭が致死的でした。ほとんどの症例がモロッコの北部から報告されています。

ヨーロッパにおける今後のウエストウイルス感染の展望

ウェストナイルウイルス感染症はいくつかのEU諸国で、またヨーロッパのその他の地域で流行しています。人感染症例が生じているウィルス伝播地域も新しく確認されています。これからの数ヶ月にわたって、これらの地域の居住者や訪問者は、蚊に刺されないように防護手段をとるように考える必要があります。