南オーストラリア州におけるロスリバーウイルス感染、バーマ森林ウイルス感染症例の増加

南オーストラリア州政府 2011年1月13日

・すべての医師はすぐに注意するようにしてください。
感染症制御部門はロスリバーウイルス(Ross River virus:RRv)とバーマ森林ウイルス(BarmahForestvirus:BFv)の感染症例の通知数が増加していることを確認しました。これら症例は南オーストラリア州の多く地域から報告されていますが、RiverlandおよびMurrayMalleeからの報告が特に多くなっています。症例数の増加は、昨年の南オーストラリア州での降雨量が平均以上だったこと、また、Murray Darling盆地で大量の降雨が何回もみられたことにより、Murray川に多くの水が流れ込んだことにより、ベクター蚊に好都合な飼育環境が整い、ベクター蚊の数が増加したことに関連しています。

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ロスリバーウイルス感染症、バーマ森林ウイルス感染症の疫学

両方の感染症とも、感染動物(最も一般的なのがカンガルーとワラビー)からヒトへと、蚊によって広がります。

通常、潜伏期は1から2週間の間です。(3日間から3週間までの幅があります。)
年齢が高くなると重症度が高くなります。小児では疾患によって症状が生じることはまれです。

臨床上の特徴

通常、患者は関節痛を訴えて診察にきます。その他よくみられる症状としては、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、斑状丘疹などがあります。

ほとんどの症例では、症状は6週間以内に改善しますが、少数では、1年から2年持続するかもしれません。

症状が長引く場合、うつ症状がよくみられます。

診断

通常、血清学的にRRv、BFv特異的IgMを検出することで、診断します。

管理

両者とも感染に関する特異的治療はありません。
鎮痛剤、安静、および必要に応じて理学療法を行います。

疾患発生の通知について

RRvおよびBFv感染の発生について、迅速に通知して下さい(8226-7177)。通知する際には、感染を受けた可能性がある場所(この地域の同定するために、症状が生じた時点から1ないし2週間前に滞在した場所を聴取します。)について、情報をご提供下さい。

この時期には多くの人が休暇で旅行します。このため、感染を受けたのは、休暇を過ごした地域や、友人や親戚を訪ねた際かもしれません。

感染の制御および防止

感染暴露を受けた場所などについて、迅速で正確なデータを通知していただくことによって、南オーストラリア州保健地域政府が、場所を絞った適切な蚊制御対策を遂行することが可能となります。

しかし、すべての蚊の繁殖地を排除できるというわけではありません。このため、虫刺されに対して、自分たちと家族を蚊による刺咬から防護できるように対策を施し、溝や水が貯まってしまう器、その他の蚊の繁殖場所に水が貯まらないようにするように、住民に注意を促すことが重要です。

Dr Ann Koehler