ワクチン由来ポリオウイルスに関する更新 - 2009年7月から2011年3月の世界の状況

CDC MMWR 2011年7月1日号/ 60(25);846-850

1988年に世界保健会合(World Health Assembly)は、世界から急性灰白髄炎(ポリオ)を根絶することに決定しました(1)。弱毒化経口ポリオ生ワクチン(OPV)は、ポリオを根絶するために用いられる上で多くの長所があります。経口で簡単に投与でき、新たにOPVを受けた人をポリオ野生株(WPV)感染に対する耐性にする免疫性を腸管から付与し、持続性のある液性免疫によって麻痺性の病気からの長期にわたる保護を行い、しかも安価なのです。これらの多くの長所があるのですが、OPVを用いることによって免疫的に正常なOPV接種者や接種者と接触した人にワクチン関連性麻痺性ポリオを稀に引き起こすリスクが生じ、さらに、ワクチン由来ポリオウイルス(VDPVs)が出現するリスクが生じます。このようなリスクがあるため、WPV伝播を世界中でなくすという目的が達成された後には世界全体でOPVは使用されなくなることになっています。VDPVは、OPV接種率が低い領域でアウトブレイクを起こすことがあり、免疫不全の人の体内で長期間にわたって複製されます。したがってVDPVの出現を抑えるために世界中でポリオに対する免疫とサーベイランスを強化する戦略を進める必要があります(2)。この報告書は過去のサーベイランス結果を更新し(3,4)、2009年7月から2011年3月の間に世界中で検出され2011年6月20日に報告されたVDPVについて説明するものです。6~16症例からなる3つの新たなVDPVのアウトブレイク(cVDPV)がアフガニスタン、エチオピアおよびインドで確認されました。ナイジェリア、コンゴ民主共和国(DRC)およびソマリアで確認された3つのアウトブレイクは、2010年末または2011年に渡って継続し、それぞれ、355、37および13例となりました。2カ国が、ナイジェリアのcVDPVを輸入しました。合計7カ国の中層(middle-income)および発展途上国において新たに確認された9名の麻痺を呈する免疫不全者がVDPVを排泄していることがわかりました。また、15カ国においてヒトおよび環境からVDPVが発見されました。2005年以降に別法によるOPVの処方が行われるようになるとともに(1)、また、ポリオウイルスサーベイランスの感度や実験室におけるスクリーニングが強化されるとともに、次第に毎年のcVDPVのアウトブレイク確認数が増加してきました(2,3)。VDPVの出現や拡散を防ぐために、全ての血清型のポリオウイルスに対するポリオワクチン接種率を高く保っておくべきです。VDPVを検出するための高感度のサーベイランスの重要性も今後高まっていくと考えられます。

VDPVの特性

VDPVは、ヒトに麻痺性ポリオを引き起こし、持続的に循環する能力を持っています。VDPVは生物学的にWPVに類似しており(3)、長期間複製する能力があり、伝播する能力をもつ遺伝学的特性があるという点でワクチン関連性ポリオウイルス(VRPV)の大半とは、異なっています。ポリオウイルスは毎年約1%づつ遺伝子が進化しているため、対応するOPV株と1%以上核酸の塩基配列(通常は、主要ウイルス表面抗原[VP1]をコードするゲノム領域をシークエンシングすることにより、判定します)が異なっているVRPVは、OPVを一回投与された1人もしくは複数の人の体内で少なくとも1年以上の間複製され続けてきたと推定されます。これは、OPV接種者においてワクチン株の複製が4-6週間続くのが通常の期間であることを考えると非常に長い期間であると言えます。

ポリオウイルスの血清型はType1,2および3が存在します。体内から分離されたポリオウイルスは、対応するOPV株とVP1領域を比較したときの相違の度合いを基準に3つのカテゴリーに分類されます。すなわち、1)VRPV(type1および3において1%未満の相違、type2において0.6%未満の相違) 2)VDPV(対応するOPVと比較してtype1およびtype3において1%を超える相違、type2において0.6%を超える相違) 3) WPV(他のいかなるワクチン株から由来したと言える遺伝学的証拠がない)です(3)。VDPVはさらに次のように分類されます。すなわち、1)地域社会においてヒト-ヒト伝播を起こしたという証拠が存在するcVDPV 2)免疫不全に関連するVDPV(iVDPV)。VDPV感染が長引いている原発性の免疫不全患者から分離されたもの。3)不明確なVDPV(aVDPV)。免疫不全かどうかが明らかではない者から臨床現場で分離されたものか、汚水から分離された発生源が明らかではないもの(3)、の3種類です。

VDPVのウイルス学的試験

全ての分離されたポリオウイルスは、Global Polio Laboratory Networkの研究室によって検査されます(4)。VDPVをスクリーニングするための初期のオリジナルプロトコールは、分子的な方法と抗原的な方法を組み合わせたものであり、リアルタイムの逆転写ポリメラーゼチェインリアクション(rRT-PCR)法にとって代わられました。このrRT-PCR法では、VDPVの出現初期に起こった核酸の置換をターゲットとして核酸の増幅を行います(3)。VDPV候補ウイルスは、ルーチン解析でVP1領域の配列決定が行われ、高い精度の疫学的分析を必要とする場合にゲノム遺伝子の全配列決定が必要になります。

cVDPV

地域流行性のcVDPVが出現した国の数は、前回の報告で3カ国だったのに対し、6カ国となり、増加しています(3)。また、VDPVが2カ国でナイジェリアから輸入されました。1カ国を除き、出現したcVDPVはtype2のものでした(下図)。

アフガニスタン

6種類のtype2 cVDPV(cVDPV2)(1~1.2%の相違)が南部のHelmand郡で2010年6月から2011年1月の間に分離され、そこではルーチンで行われる三価OPV(tOPV)の接種率は低く、WPV1は報告された期間において感染が生じており、WPV3は2010年4月まで分離されていました。2009年12月にtype1とtype3に対する二価OPV(bOPV)が導入され、2011年3月の間にかけて行われた12回の追加ワクチン接種活動(SIAs)*のうち2回においてtOPVが用いられました。

チャド

2010年11月にcVDPV2(5.3%の相違) 1種類が急性弛緩性麻痺(AFP)を発症したNdjamenaの患者から分離されました。この分離されたウイルスは、2010年に北西部のNigerian州で循環しているウイルスと近縁のものでした。

DRC

DRCにおけるcVDPV2のアウトブレイクは2010年にわたり継続し、合計37症例で検出されました。2009年7月以降、5つの郡で計17種類のcVDPV2(0.7%~3.5%の相違)がAFP症例から検出されました。加えて、これらの5つの郡のうち3つの郡で、aVDPV2(0.7%~1.4%の相違)が5種類AFP症例から検出されました。お互いに無関係なcVDPV2とaVDPV2が複数回にわたりDRCで出現しました。

エチオピア

3つの中央地域で独立して出現し、オーバーラップした3つのアウトブレイクにいてAFPから7種類のcVDPD3(1.3~3.1%の相違)が分離されました。

インド

独立した4回のウイルス出現で、16種類のcVDPV2がUttar Pradeshの患者より分離されました。このcVDPV2症例は西部のUtter Pradesh地域でクラスターを形成しており、このUtter Pradeshは、WPV1およびWPV3が循環するハイリスク地域とされていました(5)。全ての患者が7回以上SIAsでmOPV1の接種を受けていましたが、tOPVの接種を受けていたのは50%未満でした。

ニジェール

2010年6月にニジェール南西部でAFPを発症した1名の患者からcVDPV2(2.5%の相違)が1種類分離されました。この分離株は、ナイジェリアのSokoto州の近傍で循環しているcVDPVに近縁のものです。2006年5月以降に検出され、過去にナイジェリアから輸入された4例の中で(3)、二次的に感染した症例はニジェール国内にありませんでした。

ナイジェリア

2005年以降、cVDPV2(0.7~6.2%の相違)のアウトブレイクに関連する合計355例のAFPが、ナイジェリアの11の北部の州と3の中央部の州で報告されています(3,6,7)。このアウトブレイクは、2009年に最高値である153例を記録しましたが、2010年に27例が検出され、2011年には3月にかけて5例(3つの伝達経路が示されました)が検出されました。遺伝学的な解析の結果、これらの検出されたウイルスは、2004年から2006年に複数回にわたり出現したcVDPV2によって引き起こされた少なくとも7回の同時発生的なアウトブレイクの発生を示していました(3,7)。北部の州でアウトブレイクが発生していますが、tOPVのルーチンのワクチン接種率が低率な地方での発生であり、tOPVによるSIAsはまれにしか行われません(3,6,7)。

ソマリア

2005年以降にソマリアでVDPV2が検出されました。2009年7月から2011年3月の間に、Mogadishuの周辺地域でcVDPV2(1.0~2.4%の相違)が5例のAFP患者と6例の接触者から分離されました。全ての検出例は、1つのウイルス出現に由来していました。独立したaVDPV2(0.7%の相違)が2010年にAFP患者から分離されました。

iVDPV

1961年にOPVが導入されてから、B細胞に関連する免疫不全を呈するおよそ50人が世界全体でみつかり、iVDPVを排泄し続けていますが(持続感染を示しています)、ほとんどの症例においてこのウイルスは、AFPの発症後にのみ検出されました。発展途上国および中層(middle-income)国におけるVDPVのサーベイランスの強化と、原発性の免疫不全呈する人に関するiVDPV排泄の特別な研究によって、iVDPV感染を見つける機会が増加したため前回報告期間中に2例だったのに対し、今回の報告期間において9例が見出され、これら9例のうち7例がiVDPV2に関連するものでした。新たなiVDPV感染は、OPVが使用される限り発生する見込みであり、iVDPV感染に対する効果的な治療はありません。

アルジェリア

HLA-DR関連の免疫不全の1.5歳の女児が、2回のOPVを受け、2010年4月にAFPを呈し、2010年11月に免疫不全の合併症により死亡しました。iVDPV2(1.0~1.8%の相違)が4回の継時的な糞便試料から分離されました。

中国

原発性免疫不全の9歳の女児からiVDPV2(1.9%の相違)が分離され、iVDPV3(2.0%の相違)が原発性免疫不全の2歳の男児から分離されました。両患者はOPVを3回受けており、両患者とも2011年の2月にAFPを発症しました。

コロンビア

生後1カ月の間にOPVを4回接種された無ガンマグロブリン血症の生後15か月の男児が、OPVを最初に接種した15カ月後の2009年7月にAFPを発症しました。iVDPV2(1.5%の相違)が2回の継時的な糞便試料から検出されました。

インド

OPVの接種を4回受けた後天性免疫グロブリン血症の11歳の男児が、最後にOPVの接種を受けた5年後の2009年9月にAFPを発症しました。iVDPV1(4.1%の相違)が2回の継時的な糞便試料から分離されました。OPVを19回接種した原発性免疫不全の10歳の小児が2010年1月にAFPを発症しました。iVDPV2(1.2%の相違)が2回の継時的な糞便試料から分離されました。

イラク

原発性免疫不全(多重感染)の生後8カ月の小児が、6回のOPVを摂取した後に2010年12月にAFPを発症しました。AFPを発症する1週間前に採取した糞便試料からiVDPV2(1.2%の相違)が分離されました。この小児は、AFPの発症後60日後に検査したところ、麻痺の後遺症は認められませんでしたが、2週間後に重症細気管支炎を発症して死亡しました。

スリランカ

重症の複合免疫不全症の生後8カ月の小児が、3回のOPV接種を受け、AFPを発症しませんでしたが、2010年にiVDPV2(1.3%の相違)が分離されました。

トルコ

原発性免疫不全症の1歳の男児がOPVを1回接種し、AFPを発症しませんでしたが、iVDPV2(1.8%の相違)が2011年に分離されました。

aVDPV

2009年7月~2011年3月の間にaVDPVが15カ国で分離されています(表)。OPV株との遺伝子の相違が最も大きいaVDPVの特徴について(全てがポリオワクチン接種率の高い国で汚水から分離されたものです)、3カ国において、調査が引き続き行われたにもかかわらず、対応するaVDPVの感染者が見つかりませんでした。ポリオワクチン接種率の低い国の中では、aVDPVの検出はcVDPV出現の兆候と考えられ、サーベイランスの能力が十分ではないことを意味していると考えられます。

エストニア

OPVからの相違が非常に大きいaVDPV2(13.5~15.8%)が2010年末に分離され、以前にエストニアの汚水から分離された株と関係が認められます(3)。

フィンランド

2009年7月~2010年10月に汚水試料からOPVからの相違が非常に大きいaVDPV1、aVDPV2およびaVDPV3(12.4~14.6%)が分離されました。今回の分離ウイルスは以前に検出されたaVDPVと関連性が認められますが、エストニアで分離されたaVDPVとは関係が認められませんでした(3)。採取された13の試料のうち、11の試料が変異前のOPV株からの相違の程度が同等の複数種のVDPV混合物を含んでおり、発生源と思われる全部で3種類の血清型のiVDPVに慢性的に感染した患者のものと一致しました。

イスラエル

Tel Aviv地域で採取された汚水(試料に対応する人口はおよそ350,000および10,000)から、遺伝学的に異なるtype2のaVDPVの2グループが分離されました(9)。グループ1のaVDPV2(15.0~16.7%の相違)は、1998年に初めて検出され、2009年3月から2011年3月の間に採取されたサンプルの中から見つかりました。グループ2のaVDPV2(10.7~11.2%)は、2006年にはじめて検出され、グループ1が見つかった期間に採取されたサンプルの中から見つかりました。

編集ノート

3つのカテゴリーに分類されたVDPVは、公衆衛生上の重要性において異なっています。最初に、cVDPVはWPVのもつ生物学的性状を全て持っており、特定の型のポリオウイルスの感染を阻止するためのワクチン接種率が低い地域において、数年にわたって循環する能力があります。さらに、WPVの場合と同様に、発見された1症例に対応する100~1000例程度の無症候性の感染が感受性のある小児に起こっています(10)。第二に、iVDPVは、一定の原発性免疫不全の人が何年にもわたってウイルスを排泄し続け、慢性的な感染が潜伏しています。iVDPVを長期に感染している人の多くは、感染から自然治癒するか、免疫不全症の合併症で死亡するかのどちらかとなります。にもかかわらず、有効な抗ウイルス治療が存在しないため、麻痺を呈することなしにiVDPV感染を起こしている人は、麻痺性の急性灰白髄炎に進行する可能性があり、他の人にポリオウイルスを感染させる可能性があり、ワクチン接種率が低い地域においてはアウトブレイクをおこすリスクがあります。第三に、aVDPVは、遺伝的にヘテロな集団です。あるものは、cVDPVのアウトブレイク地に最初に分離されたものを反映しており、特に、タイプ間の免疫性の差異が大きな地域において検出され、cVDPVのアウトブイレク時に分離されたcVDPVと同じ血清型を有するaVDPVは、先祖や子孫が検出されないcVDPVかもしれません。別のaVDPVは、エストニア、フィンランドやイスラエルの汚水から見つかったもののように、潜在的な慢性感染を起こしたiVDPVであるかもしれません。さらに別のaVDPV、特にOPVとの遺伝子の相違が限定的なものは、OPVウイルスが限定的に伝播したものを反映したものか、単回のワクチン接種を受けた正常者もしくはその接触者における限定的な遺伝子の相違の上限を反映したものかもしれません。

cVDPV2系統の先祖であって(OPVと)1%未満の遺伝子の相違を有するウイルスがナイジェリアで多数分離されたため(7)、0.6%以上の変異を有する分離物を含むとするGlobal Polio Laboratory NetworkによるレポートのためのVDPV2の定義を再検討する必要が生じました。この定義は2010年初めに適用されたものです。

前回の報告期間と比較し、VDPVが検出される頻度が増加したこと(3)は、サーベイランスの感度が上昇し、実験室での手法が改善されたことに一部は起因しているといえます。しかし、cVDPVの場合には、最も重要な要因は、ルーチンのワクチン接種率が低い地域における血清型特異的な免疫性の差異が拡大することで、SIAsでmOPV1やbOPVが積極的に使用されることに起因しています。OPV2株による干渉を取り除くためのこれらの代替的なOPV処方は、WPV1およびWPV3に対する高い免疫を有する人を増やすためには効率的なものです。流行地域やアウトブレイク地域でこのような使用法が行われることは、WPVの制御を容易なものにします。tOPVによるルーチンのワクチン接種率が不十分なものである場合、複数の独立したVDPV2の出現がおこりやすい状況となり、実際にDRC、インド、ナイジェリアやソマリアではそのような状況となっています。cVDPV3の出現は非常にまれなものと思われますが、2008年にエチオピアでcVDPV2が出現した後にtOPVの接種率が低い地域でおこりました。

現在および過去の経験は、tOPV(または、代替的な処方や不活化ポリオワクチン)による十分なルーチンのワクチン接種が行われることの重要性を強調しています。ルーチンのワクチン接種率が低い国においては、SIAsにおいてtOPVを周期的にかつ規則的に使うことにより、ポリオウイルスの各血清型に対する免疫獲得のギャップをなくすことが、cVDPVの出現を阻止するため最も重要です(3)。AFPのサーベイランスの感度を維持していくことは非常に重要です。時間的なあるいは地域的なワクチンと同じ血清型のワクチン関連性の分離物によるクラスターは全てさらに調査をされるべきものです。

参考文献

  1. 1.CDC.Progress toward interrupting wild poliovirus transmission---worldwide, January2010--March 2011. MMWR 2011;60:582--6.
  2. 2.CDC.Update on vaccine-derived polioviruses. MMWR 2006; 55:1093--7.
  3. 3.CDC.Update on vaccine-derived polioviruses---worldwide, January2008--June2009. MMWR 2009;58:1002--6.
  4. 4.CDC.Tracking progress toward global polio eradication---worldwide, 2009--2010. MMWR 2011;60:441--5.
  5. 5.CDC.Progress toward poliomyelitis eradication---India, January2009--October2010. MMWR 2010;59:1581--5.
  6. 6.Jenkins HE, Aylward RB, Gasasira A, et al.Implications of a circulating vaccine-derived poliovirus in Nigeria.N Engl J Med2010;362:2360--9.
  7. 7.Wassilak S, Pate MA, Wannemuehler K, et al.Outbreak of type2vaccine-derived poliovirus in Nigeria, 2005--2009:emergence and widespread circulation in an underimmunized population.J Infect Dis2011;203:898--909.
  8. 8.Roivainen M, Blomqvist S, Al-Hello H, et al.Highly divergent neurovirulent vaccine-derived polioviruses of all three serotypes are recurrently detected in Finnish sewage.Euro Surveill2010;15:pii/19566.
  9. 9.Shulman LM, Manor Y, Sofer D, et al.Neurovirulent vaccine-derived polioviruses in sewage from highly immune populations.PLoS ONE2006;1:e69.
  10. 10.Nathanson N, Kew OM.From emergence to eradication:the epidemiology of poliomyelitis deconstructed.Am J Epidemiol2010;172:1213--29.

*ワクチン接種の前歴に関係なく5歳未満の小児に単回のOPV接種を行うための短期間(数日~数週間)に行われる大規模な活動。この活動は国家レベルまたは地方レベルで行うことができます。

図.2009年7月から2011年3月の間に世界で検出されたワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)

略語cVDPV =circulatingVDPV; iVDPV =immunodeficiency-associatedVDPV; aVDPV =ambiguousVDPV; AFP =acute flaccid paralysis;

*:cVDPVの拡散は、対応する血清型の土着のポリオ野生株が除去された後に、経口ポリオワクチンの接種の継続がなされなかったために血清型間の免疫格差が開いたあとにおこります。全てのcVDPVアウトブレイクは、シーケンスデータと遺伝子変異の解析によって最初に研究室で検出されました

地図の説明:地図中に示された数字は2009年7月から2011年3月の間に世界で検出されたワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)を示します。土着のcVDPVが出現した国の数は前回の報告期間での3に対して6に増加しており、2カ国がナイジェリアからVDPVを輸入しました。1カ国を除き、出現したcVDPVの血清型はType2です。

(下の表をクリックすると高解像度の表が別ウィンドウに表示されます。)

表 2009年7月から2011年3月の間に世界で検出されたワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)

略語の意味

cVDPV =circulatingVDPV; DRC =Democratic Republic of Congo; iVDPV =immunodeficiency-associatedVDPV; aVDPV =ambiguousVDPV; OPV =oral poliovirus vaccine; IPV =inactivated poliovirus vaccine; AFP =acute flaccid paralysis; HLA-DR = HLA-DR--associated immunodeficiency; AGG =agammaglobulinemia; CVID =common variable immunodeficiency; PID =primary immunodeficiency; SCID =severe combined immunodeficiency.

*過去にcVDPVのアウトブレイクが報告された全て年を累積的に表示(DRC、エチオピアおよびナイジェリア)

†cVDPVについては、アウトブレイクにおける症例数。アウトブレイク期間中に分離されたVDPV症例の中にはaVDPVとしてリストされているものもあります。

§AFP症例からのVDPV陽性試料が分離された例数および環境(汚水)試料由来のVDPV陽性試料が分離された例数。

¶世界保健機関(WHO)の2009年のデータ、ワクチン防御可能疾病モニタリングシステム(2010年グローバルサマリー)およびWHO-UNICEFFの見積もりに基づく。次のサイトで入手可能です。http://www.who.int/immunization_monitoring/en/globalsummary/countryprofileselect.cfm. 国家レベルのデータは、地方レベルの問題点を反映していません。

**CVDPVの循環期間は、VP1の核酸配列が対応するSabin OPV株の配列との相違の度合いによって見積もられます。iVDPV複製期間は、最初にOPVの摂取を受けた時に暴露されたと仮定し、医療記録から見積もられます。aVDPVの複製期間は配列情報から見積もられます。

††アフガニスタン、チャド、DRC、エチオピア、ニジェール、ナイジェリアおよびソマリアから分離されたほとんどのCVDPVは、ワクチンと非ワクチン株の組み換え体です。

§§2009年に分離された3つの症例はカウントされていません。これらの例はVP1の核酸配列の置換が10塩基未満であり、新たな定義はまだ施行されていませんでした。

¶¶患者におけるルーチンの三価OPVの接種率は14%でした。

***ナイジェリアのcVDPVを輸入したもの。ニジェールからの輸入症例であった1例は、過去に誤ってギニアからの輸入とされていました。

†††過去に報告されたアウトブレイク。詳しい情報は、次のサイトで入手できます。http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5836a3.htm.

§§§Uttar PradeshBiharにおけるcVDPVのクラスター。ここでの三価OPVの接種率は約50%である。

¶¶¶過去に報告されたアウトブレイク。詳しい情報は、次のサイトで入手できます。

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5836a3.htm.

****2010年以前に検出されたVP1に10塩基未満の置換しかない29症例が含まれていません。

††††ワクチン由来株と非ワクチン由来株の組換体と見られるiVDPVは分離されませんでした。

§§§§患者が免疫不全であるかどうかは検査されていません。臨床症状のみに基づいた診断です。

¶¶¶¶2009年初頭に中国のShandongで分離され、過去に報告されていなかったtype2 aVDPV(Sabin2とのVP1の相違は1.2%)は含まれていません。中国におけるaVDPV2とaVDPV3の非AFP排出源は、健康な小児でした。

*****2系統のaVDPVがイスラエルの環境サンプルから分離されました。詳しくは、次のサイトをご覧ください。http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5836a3.htm.

†††††ウイルスは6つの異なる州で分離されたものです。過去に報告されていなかった2009年4月7日に発症したAssamのAFP患者から分離されたtype1 aVDPV、2009年3月20日にMumbaiの汚水から採取されたtype3 aVDPVはデータの中に含まれていません。