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新種のコロナウイルス感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨

2012年11月28日 WHO( 原文〔英語〕へのリンク

 WHOは、サーベイランスに関する最初の推奨以降に報告された情報に基づき、以前に公表されたガイダンスを更新しています。WHOは、今後も、得られた情報に基づいて推奨を更新する予定です。

更新情報

 11月28日現在、新種のコロナウイルスの人への感染例は、確定例が7人、疑い症例が1人発生したことが知られています。これらの症例は、今年の6月から11月までに発生しており、発生地域は、サウジアラビアのジッダとリヤド(両地域の距離は約850km)、カタールのドーハでした。それぞれの地域の中でウイルスに感染したようです。いずれの患者も男性でしたが、この意義は明らかになっていません。

 すべての患者の臨床像は、肺炎の症状・所見を呈し、急性呼吸器感染症でした。 また、4人の患者は、急性腎不全が進行し、このうち1人は死亡しました。残りの3人の患者は、集中治療を要する肺炎を発症しましたが、腎不全を合併せず、回復しました。3人の確定症例と1人の疑い症例は同居家族でした。

 ウイルスの起源や伝播の仕方は明らかになっていません。遺伝学的なシークエンスデータによりますと、ウイルスはコウモリで発見されたコロナウイルスに最も近縁であることを示していますが、このことが、コウモリがウイルスの保有宿主であるということを結論づけるものではありません。初期の調査では、コウモリへの直接的な接触によって伝播するということは支持されていません。

 新たな患者が報告されたことによって、ウイルスが少なくとも5か月間にわたって存続して、最初の2人の患者が発生した時に明らかになった地域よりも地理的に広がっていることが明らかになりました。ウイルスの分布範囲が正確には明らかになっていないので、WHOは他の国でのウイルスの出現を監視するために、サーベイランスの拡大を推奨するという予防措置を取っています。

慎重に調査し、新種のコロナウイルスの検査をすべき患者

1.調査中の患者

  • 急性の呼吸器感染のある者で、発熱(38℃以上、現在解熱している場合も含む)と咳がみられるかもしれず、かつ
  • 臨床学的または肺浸潤の放射線学証拠から肺実質疾患(例えば肺炎や急性呼吸促迫症候群ARDS)が疑われ、かつ
  • 発症10日以内にアラビア半島やその近隣諸国へ渡航または居住しており、かつ
  • 地域の管理ガイドラインに従った市中感染による肺炎の全ての臨床検査を含み他の感染又は病因論*では説明できない患者。新種のコロナウイルスの検査をする前に、他の病原体の全ての検査結果を待つ必要はありません。

2.症状のある接触者

  • 重症度を問わず急性呼吸器疾患の者で、発症前10日以内に新種のコロナウイルス感染症の確定症例または疑い症例と、その症例が発症している間の濃厚接触者**。
  • 新種のコロナウイルス感染症の確定症例または疑い症例と、その症例が発症している間の濃厚接触者は、呼吸器疾患の出現を慎重に観察すべきです。接触後10日以内に発症した者がいれば、重症度に関係なく“調査中の患者”と考え、状況に応じて調査をすべきです。

3.集団(クラスター)

  • 居住地や渡航歴に関わらず、重症急性呼吸器感染症(SARI)***の集団。特に集中治療を要する患者の集団****であり、かつ
  • 地域の管理ガイドラインに従った市中感染による肺炎の全ての臨床検査を含み他の感染又は病因論では説明できない集団。

4.医療従事者

  • 重症急性呼吸器感染症の患者、特に集中治療を要する患者で、居住地や渡航歴に関わらず、原因不明の肺炎を発症した患者の診療に従事した医療従事者であり、かつ
  • 地域の管理ガイドラインに従った市中感染による肺炎の全ての臨床検査を含み他の感染又は病因論では説明できない者。

*他の原因として例えば肺炎連鎖球菌(St. pneumoniae)、B型インフルエンザ桿菌(H. influenza type B)、レジオネラニューモフィラ菌(L. pneumophila)や、その他の原発性の細菌性肺炎、インフルエンザ、RSウイルスなどが含まれます。

**濃厚接触者は以下の人を含みます。
 ・患者の診療に従事した医療従事者や、患者の世話をした家族、その他、同様に身体的な接触のあった人。
 ・疑い症例や確定症例が症状のあった期間に同じ場所にいた(例えば、生活を共にしていたり、訪問したりしていた)人。

***重症急性呼吸器感染症の定義は以下の3つの条件を満たす者です。
 ・発熱があったか、測定した体温が38℃以上で、咳があり、
 ・最近7日以内の発症で、
 ・入院治療が必要な者。

****集団(クラスター)は、2週間に2人以上の重症急性呼吸器感染症の患者が発生し、その集団が、例えば、学校の教室、職場、家族、親類、病院、他の居住施設、兵舎、キャンプ場)といった特別な環境と関係していることと定義されます。

強化サーベイランスの推奨

 ● 医療従事者は、上記の調査が推奨される者がいた場合には、既定の連絡方法によって、速や
  かに国の当局に報告すべきです。

 ● 集団発生やその他の通常みられない呼吸器疾患の事例の調査を含む、既存の呼吸器疾患の
  サーベイランの実施要領に従ってください。

 ● 現在、把握されている確定症例の情報に基づき、WHOはこの事例に関して、入国地点での特
  別なスクリーニングを推奨していませんし、渡航や貿易の制限も推奨していません。

 ● 対応能力のある加盟国では、以下の場合に検査の実施を検討することも期待されるかもしれ
  ません。
  ・ 居住地や渡航歴に関わらず、通常みられない肺炎患者や、通常みられない重症な臨床
  経過を示した肺炎患者で、原因が不明な場合。
  ・ 保存されていた肺炎患者の呼吸器検体を遡及して検査した結果、肺炎の原因が不明な
  場合。

報告

 WHOは疑い症例や確定症例が確認された場合には、24時間以内に、管轄するWHO地域事務局の国際保健規則の地域連絡窓口担当者を通じて報告するように求めています。

出典

WHO(GAR)
Interim surveillance recommendations for human infection with novel coronavirus
 http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/InterimRevisedSurveillance
Recommendations_nCoVinfection_20121128.pdf