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新種のコロナウイルス感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨

2013年3月18日 WHO (原文〔英語〕へのリンク

 WHOは、新種のコロナウイルス感染症のサーベイランスに関するガイダンスを更新しました。WHOは、今後も、得られた情報に基づいて推奨を更新する予定です。

 現在の患者数や患者に関する情報はWHOのホームページに掲載されています。

 今回の更新の主な変更点は下記の通りです。

 ● 急性呼吸器疾患を有する患者で、他の原因があっても、その原因だけでは説明のつかな
  い場合に検査の推奨を追加したこと。

 ● 新種のコロナウイルスが発見された国に対する特別な推奨を更新したこと。

 ● 患者が発見された際に、ウイルスに関する重要な臨床学的及び疫学的特徴を把握するた
  めに実施されるべき調査・研究を推奨したこと。

背景

 ウイルスの保有宿主、散発的な感染と考えられる感染例の感染源、感染した人からの感染経路、症状の程度、潜伏期間などは依然として明らかではありません。今年になって報告された患者のうち、3番目のクラスターは人から人への感染は限定的で、持続していないという明らかな根拠を示しています。感染経路は明らかではありません。このクラスターのうち1人の患者は、初めはインフルエンザA型が陽性であり、新種のコロナウイルスの感染とは考えられていませんでした。

 確定患者の1人と疑い患者の1人は比較的軽症で、無事に回復しましたが、ほとんどの患者は重症肺炎を発症しました。これまでに報告された15人の確定患者のうち9人が死亡しています。臨床経過中の合併症には、人工呼吸管理を要する重症肺炎や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、多臓器不全、人工透析を要する腎不全、消費性凝固障害、心膜炎がみられました。少なくとも2人の患者には最近の海外渡航歴があり、発症5日前から10日前まで海外に渡航していました。現在、ウイルスは、主に東地中海地域の限られた国で発見されています。しかし、他の地域でも、非特異的な臨床症状であるため、検査をしなければ除外することはできません。

サーベイランスの目的

 この推奨の主な目的は下記の通りです。

 1.  早期に持続的な人-人感染を検出すること。

 2.  ウイルスに感染するリスクのある地域を確定すること。

 さらに、臨床学的及び疫学的調査は以下のために必要です。

 1.  潜伏期間や症状の程度、疾患の自然史など、感染症の重要な臨床学的特徴を確定すること。

 2.  ウイルスへの暴露、リスクファクター、ウイルスの自然宿主、二次発病率、感染経路などウイル
  スの重要な疫学的特徴を確定すること。 

疫学的に評価し、新種のコロナウイルスの検査をすべき患者

1. 急性呼吸器感染症の患者で、発熱と咳がみられるかもしれず、かつ、臨床学的または肺浸潤
 の放射線学的証拠から肺実質疾患(例えば肺炎やARDS)が疑われ、入院を要する患者で、以
 下の1項目以上に該当する者。

   ・ 居住地や渡航歴にかかわらず、10日以内にクラスター(集団)*で発生し、他の病原体**が
    確認されていない場合。      

   ・ 居住地や渡航歴にかかわらず、特に集中治療を必要とする重症急性呼吸器感染症の患者
    の診療に従事した医療従事者で発生し、他の病原体が確認されていない場合。

   ・ 居住地や渡航歴にかかわらず、適切な治療にもかかわらず予想外に重篤な臨床経過に進
    展した場合。その他の原因があっても、その原因だけでは説明のつかない場合を含む。

  2. 新種のコロナウイルス感染症の確定患者または疑い患者が発症している間の濃厚接触者
   ***で、接触後10日以内に何らかの急性呼吸器症状を示した者。

  3. 既に新種のコロナウイルスが検出されている国では、サーベイランスとして最低限、人工呼吸
   管理を要する重症呼吸器疾患の患者の検査を実施すべきです。この最低基準には、上記に示
   した3つのカテゴリー(原因不明の肺炎またはARDSのクラスター、呼吸器疾患で入院を要する
   患者の診療に従事した医療従事者、通常でない病状と臨床経過がみられる患者)すべてに対
   する検査が含まれます。しかし、既に新種のコロナウイルスが検出されている国では、通常の
   定点における呼吸器疾患のサーベイランスの一部として現在の検査のアルゴリズムによる新
   種のコロナウイルス検査の追加実施や、地域に対応能力がある場合には、軽症でも入院を要
   する原因不明の市中肺炎の検査の実施も検討するよう強く勧められます。

  4. WHOはこの事例に関して、入国地点での特別なスクリーニングを推奨していませんし、渡航
   や貿易の制限も推奨していません。

報告

 医療従事者は、確定患者または疑い患者の症例定義に合致するすべての患者を既存の報告システムにより、国の保健当局に速やかに報告しなければなりません。

 国の保健当局は、すべての疑い症例や確定症例について、確認後24時間以内に、管轄するWHO地域事務局の国際保健規則の地域連絡窓口担当者を通して報告するように求められています。

新種のコロナウイルスに感染した患者の周囲の調査と疫学的研究

 新種のコロナウイルス感染症の臨床学的特徴や疫学的特徴に関して明らかになっていない点は、患者の周囲を慎重かつ詳細に調査することで明らかになることが期待されます。WHOは現在、関係機関とともに、標準的な調査実施計画とデータを集める方法を開発しており、完成後に公表される予定です。

 ※調査や疫学的研究と目的についての詳細な情報は原文をご覧ください。

* 集団(クラスター)は、10日間に2人以上が発症し、その集団が、学校の教室、職場、家族、親類、病院、他の居住施設、兵舎、キャンプ場といった特別な環境と関係していることと定義されます。

** 検査は市中肺炎の管理に関する地域の指針に沿って実施されるべきです。他の原因として、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、B型インフルエンザ桿菌(Haemophilus influenza type B)、レジオネラニューモフィラ菌(Legionella pneumophila)や、その他の原発性の細菌性肺炎、インフルエンザ、RSウイルスなどが含まれます。

*** 濃厚接触者は以下の人を含みます。
   ・患者の診療に従事した医療従事者や、患者の世話をした家族、その他、同様に身体的な接触のあった人。
   ・疑い患者や確定患者が発症していた期間に同じ場所にいた(例えば、生活を共にしていたり、訪問したりし
   ていた)人。

出典

WHO (GAR)
Interim surveillance recommendations for human infection with novel coronavirus
http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/InterimRevisedSurveillance
Recommendations_nCoVinfection_18Mar13.pdf

参考

FORTH 最新ニュース
新種のコロナウイルス感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨 (2012年11月)
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/11301511.html