2013年のニュース

世界におけるインフルエンザ流行状況 (更新6)

2013年4月2日 WHO (原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 北米のインフルエンザの活動性は、依然として高い地域もありますが、全体的には減少し続けています。北米では、今シーズンはインフルエンザA(H3N2)が最も多く検出されていますが、インフルエンザB型の占める割合が増加しました。米国では、肺炎とインフルエンザによる死亡者数が示すように、2003年から2004年のシーズン以降で最も影響の大きいシーズンとなりましたが、その影響は65歳以上の集団で最も大きくなっています。
  • ヨーロッパ西部のインフルエンザの活動性は減少し続けていますが、東部では高い状態が続いています。検出されるウイルスの型・亜型は地域によって差があります。北米とは異なり、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザB型が検出されています。北部と西部では主にインフルエンザB型が検出されており、東部と中部ではインフルエンザA型が検出されています。ほとんどの国の超過死亡は中等度で、死亡のほとんどが65歳以上で発生しています。
  • アジアの温帯地域の全域で、インフルエンザの活動性は減少しましたが、モンゴルでは依然として活動性が高いものの、季節性インフルエンザの許容範囲内の水準です。
  • 熱帯地域のインフルエンザの活動性は低い水準であり、南半球のインフルエンザの活動性は、依然としてシーズンオフの水準です。
  • 検査を実施している国で、ノイラミニダーゼに耐性を有するウイルスが少数検出されています。解析されたインフルエンザウイルスの大部分は今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していました。
  • 中国では、インフルエンザA(H7N9)に感染した患者が3人確定されました。詳細はWHOのホームページに掲載されています。
       ・ FORTH 新着情報
       ・ WHOホームページ(英語)
  • 昨年発生した動物からのインフルエンザ感染事例については、WHOの疫学週報に掲載されています。
       ・ WHO疫学週報(3月29日付け、英語)

北半球の温帯地域

北米

 カナダと米国では、インフルエンザの活動性は1月上旬にピークに達し、その後、北米における3月第1週のインフルエンザの活動性は全体的に減少し続けています。メキシコにおけるインフルエンザの活動性のピークは両国よりも約2週間遅くなっています。インフルエンザの活動性は減少しましたが、依然として活動性の高い地域がありました。

 カナダでは、3月第2週にインフルエンザウイルスが陽性となった割合は12.2%で、1月第1週の35%に比べ、減少しました。国全体でのインフルエンザ様疾患(ILI)の受診率も、12月末に患者1,000人当たり36.8とピークに達した後、3月第2週は23.2に減少しました。病院、長期療養施設、学校におけるインフルエンザの集団発生は1月第2週に150件の報告がありましたが、3月第2週は24件に減少しました。カナダでは、3月第2週に507株のインフルエンザウイルスが検出されましたが、55.4%がインフルエンザA型であり、亜型が判明しているインフルエンザA型のうち、22.6%がインフルエンザA(H3N2)で、20.8%がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。ほとんどの地域で、インフルエンザB型が検出される割合は、インフルエンザA型が検出される割合に比べ、過去8週間で増加し、1月下旬には2.1%でしたが、3月第2週には55.4%に増加しました。しかし、シーズンの累計割合では、依然として、インフルエンザB型よりもインフルエンザA型が多くを占めています。総合サーベイランスシステムによって、95人のインフルエンザと確定された入院患者が報告されました。そのうち、インフルエンザA型が65%で、主にインフルエンザA(H3N2)でしたが、インフルエンザB型の患者の割合が増加しました。入院患者の多く(40%)が65歳以上でした。また、このサーベイランスで、これまでに271人が死亡したと報告され、そのうち83%(225人)が65歳以上でした。

 シーズン当初から、国立微生物学研究所で798株のインフルエンザウイルスの抗原解析が行われ、128株がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、470株がインフルエンザA(H3N2)で、160株がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型は、すべて、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似しており、インフルエンザB型ウイルスの多くは、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していましたが、160株中40株は前シーズンのワクチン株であったB/Brisbane/60/2008(ビクトリア系統)に類似していました。今シーズンは、これまでに、オセルタミビルまたはザナミビルに対する耐性を示したインフルエンザウイルスはありませんでした(オセルタミビルへの感受性試験は730株、ザナミビルへの感受性試験は727株に実施)。

 米国では、インフルエンザの活動性は12月下旬から1月上旬にかけてピークに達した後、3月第2週はほとんどの地域で減少し続けました。国全体では、ILIの外来受診率は、国の閾値である2.2%です。インフルエンザが陽性となった検体の割合は、昨年最終週に38%とピークに達した後、3月第2週は16.3%と減少しました。

 122都市の死亡報告システムを通して報告された肺炎とインフルエンザによる全死亡の割合は、1月第4週に9.8%とピークに達した後は減少し、3月第2週は7.6%でしたが、依然として流行閾値の7.5%を若干上回っています。このピークの値は、過去10年間では、2003年から2004年のシーズン(10.4%)に次いで、2番目に高い水準です。また、今シーズンは、これまでにインフルエンザに関連した小児の死亡は105人報告されました。インフルエンザに関連した小児の死亡は、2011年から2012年のシーズン中に34人、2010年から2011年のシーズン中に122人、2009年から2010年のシーズン(パンデミック)中に282人が報告されました。シーズン当初から、検査で確定診断されたインフルエンザに関連した入院患者は11,307人と報告されており(累積率では人口10万人当たり40.6)、過去3シーズンに比べて著しく高くなっています(2011年から2012年のシーズンは人口10万人当たり8.6、2010年から2011年のシーズンは人口10万人当たり21.4、2009年から2010年のシーズンは人口10万人当たり29.0)。65歳以上のインフルエンザによる入院患者の割合は、他の年齢層に比べて非常に高くなっており、報告例の51%を占めました。一方、他の年齢層では、入院患者の割合は例年と同様の水準でした。入院患者のうち、9,387人(83.0%)がインフルエンザA型で、1,841人(16.3%)がインフルエンザB型でした。シーズン当初から、全国的にインフルエンザA(H3N2)が優勢ですが、最近数週間でインフルエンザB型ウイルスが検出される割合が増加しています。

 3月第2週に検出されたインフルエンザウイルスのうち、72%がインフルエンザB型で、28.1%がインフルエンザA型でした。亜型が判明しているインフルエンザA型ウイルスのうち、34.4%がインフルエンザA(H3N2)で、4.7%がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。国全体では、10地域中8地域で、インフルエンザB型がインフルエンザA型よりも高頻度で検出されたと報告されました。累計では、米国の傾向はカナダとは対照的であり、カナダでは確定された検体のうち95%がインフルエンザA型でした。

 シーズン当初から、疾病予防管理センター(CDC)は1,695株のインフルエンザウイルスの抗原解析を行いました。このうち141株がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,012株がインフルエンザA(H3N2)、542株がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型は、すべて、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していました。インフルエンザB型の多くは、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していましたが、542株のうち159株はB/Victoria/02/87 –likeの系統でした。さらに、インフルエンザA(H3N2)のうち0.4%(1,012株中4株)はA/Victoria/361/2011に対して産生される抗血清の力価が低下しており、インフルエンザA(H1N1)pdm09のうち2.1%(141株中3株)はA/California/7/2009に対して産生される抗血清の力価が低下していました。シーズン当初から、インフルエンザB型ウイルスでは、ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルとザナミビルに対する耐性は認められませんでした。インフルエンザA(H1N1)pdm09は405株が検査され、オセルタミビル耐性株が2株報告されました。インフルエンザA(H3N2)は1,577株が検査され、オセルタミビル耐性株が2株報告されました。

 メキシコのインフルエンザの活動性は、過去数週間で減少傾向にあり、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されました。メキシコのインフルエンザの活動性は、米国よりも約2週間遅れてピークに達したようです。

ヨーロッパ

 ヨーロッパのインフルエンザの活動性は、ほとんどの地域で減少し続けていますが、東部の数か国では、依然として高い水準にあると報告されています。

 西部では、ILIや急性呼吸器感染症(ARI)の受診率は1月最終週頃にピークに達しましたが、例年に比べてインフルエンザのシーズンが長く、検出されるウイルスは国によって異なり、数か国ではシーズン中に検出されるウイルスが変わりました。ヨーロッパでインフルエンザが陽性になった検体の割合は前回の報告よりも減少しましたが、46%(1,199検体中549検体)であり、依然として高い水準です。全体的なピークは、1月最終週の60%でした。重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを実施している国で、1週間のSARIによる入院患者数は既にピークに達しましたが、東部ではピークに達していない国もあります。ヨーロッパ全体では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が最も多く検出されていますが、地域によって異なります。シーズン当初から、78,000株以上のインフルエンザウイルスが解析されました。このうち65%がインフルエンザA型で、35%がインフルエンザB型でした。亜型が判明したインフルエンザA型のうち、70%(32,806株中23,002株)がインフルエンザA (H1N1)pdm09で、30%(32,806株中9,804株)がインフルエンザA(H3N2)でした。しかし、北部や西部では、インフルエンザB型が優勢である国や、インフルエンザA (H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型がともに検出されていると報告する国が多い傾向にあります。対照的に、東部ではインフルエンザB型の検出は非常に少数です。

 東部の数か国で、3月第2週に成人の入院患者数、インフルエンザが陽性になった検体の割合、ARIとILIの受診率の増加がみられました。ヨーロッパ死亡率監視プロジェクトに参加している15か国の先週の報告でも同様の傾向にあり、65歳以上の死亡率が高くなっています。ほとんどの国では、超過死亡は例年と比べ、中程度と考えられています。しかし、デンマークでは、超過死亡が最も多く、最も長期にわたって報告されました。

 シーズン当初から、4,099株のインフルエンザA型ウイルスが解析されましたが、インフルエンザA (H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)は、すべて、今シーズンにWHOが使用を推奨している季節性のインフルエンザワクチンに含まれるA/California/7/2009とA/Victoria/361/2011に抗原的に類似していました。解析された1,136株のインフルエンザB型ウイルスのうち、85%(1,594株中1,361株)はB/Yamagata/16/88-lineageと抗原的に類似しており、14%(1,594株中218株)はB/Victoria/2/87-lineageと抗原的に類似していました。

 シーズン当初から、ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルとザナミビルの感受性検査が12か国で合計967株について行われました。H275Yのアミノ酸変異を有するオセルタミビル耐性株が9株検出されました。233株のインフルエンザA(H3N2)は、すべて、オセルタミビルとザナミビルに感受性がありました。291株のインフルエンザB型のうち1株はオセルタミビルによる阻害効果が減少していました。

アフリカ北部と東地中海地域

 アフリカ北部と東地中海地域では、インフルエンザ陽性検体数は、過去数週間にわたって減少しました。両地域ともに2月第1週にピークに達しました。アフリカ北部と東地中海地域のほとんどの地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。数か国(バーレーンとヨルダン)で、過去数週間でインフルエンザB型が検出される割合が増加しました。

北アジアと東アジア

 アジアの温帯地域では、ほとんどの地域でインフルエンザの活動性が減少し続けています。中国北部と日本では、約4週間にわたって、ILIの活動性と、ILI患者の検体でインフルエンザが陽性になったものの割合が減少しました。一方、モンゴルでは、外来患者の割合に基づくILIの活動性は、依然として高いですが、季節性の水準の許容範囲内です。

 韓国のインフルエンザの活動性は減少し続けており、ILIの患者は3月(第9週)に、患者1,000人当たり12.7とピークに達した後、患者1,000人当たり9.0に減少しました。前回の報告同様、北アジアでは、インフルエンザA(H3N2)が最も多く検出されています。

 中国北部でも減少しており、インフルエンザのシーズンは終わったようです。インフルエンザが陽性になった検体の割合は1月上旬に約27%とピークに達し、3月第2週は5.6%と減少しました。今シーズン当初から中国国家インフルエンザセンターで亜型が解析されたインフルエンザウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09の99.4%(173株)はA/California/7/2009-likeに類似しており、インフルエンザA(H3N2)はすべて(559株)A/Victoria/361/2011(H3N2)-likeに類似していました。また、インフルエンザB型では、インフルエンザB/Yamagataはすべて(25株)B/Wisconsin/01/2010-likeに類似しており、B/Victoriaの96.7%(147株)はB/Brisbane/60/2008-likeに類似していました。昨年10月以降に検査されたインフルエンザウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)はすべて、ノイラミニダーゼ阻害薬に感受性があり、アマンタジンに耐性を示しました。また、インフルエンザB型ウイルスはすべて、ノイラミニダーゼ阻害薬に感受性がありました。

熱帯地域

アメリカ大陸(中米、カリブ海諸国)の熱帯地域

 中米とカリブ海諸国では、インフルエンザの活動性は前週と比べ、ほぼ同じか減少しました。全体的には、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型が検出されていますが、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されています。全体的にみて、ILIと急性呼吸器疾患の患者のほとんどがインフルエンザではない疾患と報告されており、RSウイルスとライノウイルスが最も多く報告されています。キューバでは3種類のインフルエンザウイルスが報告されており、活動性がわずかに報告されています。ニカラグアでは、前回の報告と異なり、2月の最終週にピークに達した後、著しく減少したと報告されています。

 南米の熱帯地域では、インフルエンザの活動性は低いままで、予想される水準に留まっています。エクアドルではインフルエンザB型が少数報告されており、ペルーではインフルエンザA(H3N2)が少数報告されています。

中部アフリカ

 ブルキナファソ、カメルーン、コンゴ民主共和国など、中部アフリカのほとんどの国では、過去数週間にわたって、インフルエンザの検出数は低いですが、3種類のインフルエンザウイルスの検出が続いています。ケニアでは2種類のインフルエンザウイルスの検出が続いており、マダガスカルではインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型が検出されていると報告されています。ルワンダ、タンザニアでは過去数週間にインフルエンザの活動性が急に増加しました。

アジアの熱帯地域

 南アジアのインフルエンザの伝播は低い水準です。3月第1週は、ほとんどの国で散発的な活動性と報告されています。

 インドでは、2月下旬にはインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でしたが、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)の2種類のウイルスが検出されていると報告されています。スリランカでは、インフルエンザの活動性が増加し、優勢なインフルエンザの型・亜型はありません。

南半球の温帯地域

 南半球の温帯地域のすべての国で、現在、インフルエンザの活動性は、シーズンオフの水準です。

出典

Influenza update 2 April 2013 - Update number 182
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP
_surveillance/en/index.html