2013年のニュース

世界におけるインフルエンザ流行状況 (更新7)

2013年4月12日 WHO ( 原文〔英語〕へのリンク )

要約

北米のインフルエンザの活動性は、カナダと米国では1月上旬にピークに達し、メキシコは両
 国より2週間遅れてピークに達し、3月最終週以降減少しているようです。北米では、今シー
 ズンはインフルエンザA(H3N2)が最も多く検出されていますが、インフルエンザB型の占め
 る割合が増加しました。

 ヨーロッパのインフルエンザの活動性は全体的に減少し続けていますが、東部のほとんどの
 地域では活動性が高い状態が続いています。検出されるウイルスの型・亜型は地域によって
 差があり、シーズン中に変化しました。西部と北部では主にインフルエンザB型が検出されて
 おり、東部と中部ではインフルエンザA型が検出されています。今シーズンは、ほとんどの国
 の超過死亡は中等度で、死亡のほとんどが65歳以上で発生しており、65歳未満の年齢層で
 は超過死亡はみられていません。

 アジアの温帯地域の全域で、インフルエンザの活動性は全体的には減少しましたが、中国と
 韓国では持続した活動性が報告されています。

 熱帯地域のインフルエンザの活動性は低い水準であり、南半球のインフルエンザの活動性
 は、依然としてシーズンオフの水準です。

 今シーズンは、検査を実施している国で、ノイラミニダーゼ阻害薬に耐性を有するウイルスが
 少数検出されています。解析されたインフルエンザウイルスの大部分は今シーズンに北半球
 で使用されているワクチン株に抗原的に類似していました。

 中国では、インフルエンザA(H7N9)に感染した患者が43人確認されました。そのうち11人が
 死亡しています。詳細はWHOのホームページに掲載されています。

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北半球の温帯地域

北米

 北米のインフルエンザの活動性は、カナダと米国では1月上旬にピークに達し、メキシコは両国より2週間遅れてピークに達し、3月最終週以降減少しているようです。

 カナダでは、最近数週間でインフルエンザウイルスが陽性となった割合は約12.2%で、1月第1週の35%に比べ、減少しました。国全体でのインフルエンザ様疾患(ILI)の受診率も、12月末に患者1,000人当たり36.8とピークに達した後、3月最終週は21.2に減少しました。カナダでは、3月最終週に433株のインフルエンザウイルスが検出されましたが、25.9%がインフルエンザA型であり、亜型が判明しているインフルエンザA型のうち、16.1%がインフルエンザA(H3N2)で、26.8%がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。ほとんどの地域で、インフルエンザB型が検出される割合は、インフルエンザA型が検出される割合に比べ、過去10週間で増加し、1月第3週には2.1%でしたが、3月最終週には74.1%に増加しました。しかし、シーズンの累計割合では、依然として、インフルエンザB型よりもインフルエンザA型が多くを占めています。

 シーズン当初から、国立微生物学研究所で902株のインフルエンザウイルスの抗原解析が行われ、150株がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、515株がインフルエンザA(H3N2)で、237株がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型は、すべて、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似しており、インフルエンザB型ウイルスの多くは、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していましたが、237株中47株は前シーズンのワクチン株であったB/Brisbane/60/2008(ビクトリア系統)に類似していました。今シーズンは、これまでに、オセルタミビルまたはザナミビルに対する耐性を示したインフルエンザウイルスはありませんでした(オセルタミビルへの感受性試験は730株、ザナミビルへの感受性試験は727株に実施)。

 米国では、インフルエンザの活動性は12月下旬から1月上旬にかけてピークに達した後、3月最終週は減少し続けており、季節性の閾値を下回っています。国全体では、ILIの外来受診率は、国の閾値である2.2%を下回り、1.8%でした。ILI患者の検体でインフルエンザが陽性であった割合は、昨年最終週に38%とピークに達した後、3月最終週は11.3%(4,909検体中555検体)と減少しました。

 122都市の死亡報告システムを通して報告された肺炎とインフルエンザによる全死亡の割合は、1月第4週に9.8%とピークに達した後は減少し、3月第2週は流行閾値の7.5%を下回り7.4%でした。今シーズンは、3月最終週までに、インフルエンザに関連した小児の死亡は111人報告されました。インフルエンザに関連した小児の死亡は、2011年から2012年のシーズン中に34人、2010年から2011年のシーズン中に122人が報告されました。シーズン当初から、検査で確定診断されたインフルエンザに関連した入院患者は11,798人と報告されており(累積率では人口10万人当たり42.3)、過去3シーズンに比べて著しく高くなっています(2011年から2012年のシーズンは人口10万人当たり8.6、2010年から2011年のシーズンは人口10万人当たり21.4、2009年から2010年のシーズンは人口10万人当たり29.0)。シーズン当初から、全国的にインフルエンザA(H3N2)が優勢ですが、最近数週間でインフルエンザB型ウイルスが検出される割合が増加しました。

 3月最終週に検出されたインフルエンザウイルスのうち、75%がインフルエンザB型で、全国的にインフルエンザB型がインフルエンザA型よりも高頻度で検出されたと報告されました。累計では、米国の傾向はカナダとは対照的であり、カナダでは確定された検体のうち91%がインフルエンザA型でした。

 シーズン当初から、疾病予防管理センター(CDC)は1,970株のインフルエンザウイルスの抗原解析を行いました。このうち203株がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,158株がインフルエンザA(H3N2)、609株がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型は、すべて、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していました。インフルエンザB型の多くは、今シーズンに北半球で使用されているワクチン株に抗原的に類似していましたが、609株のうち183株はB/Victoria/02/87 –likeの系統でした。さらに、インフルエンザA(H3N2)のうち0.3%(1,158株中4株)はA/Victoria/361/2011に対して産生される抗血清の力価が低下しており、インフルエンザA(H1N1)pdm09のうち1.5%(203株中3株)はA/California/7/2009に対して産生される抗血清の力価が低下していました。シーズン当初から、インフルエンザA(H1N1)pdm09は405株が検査され、オセルタミビル耐性株が2株報告されました。インフルエンザA(H3N2)は1,577株が検査され、オセルタミビル耐性株が2株報告されました。

 メキシコのインフルエンザの活動性は、過去数週間で変化は少なく、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されました。メキシコのインフルエンザの活動性は、1月下旬にピークに達した米国よりも約2週間遅れてピークに達したようです。

ヨーロッパ

 ヨーロッパのインフルエンザの活動性は、ほとんどの地域で減少し続けており、フランス、イタリア、スペイン等の西部の国では活動性が最低となりましたが、ウクライナ、ルーマニア、ロシア等の東部の数か国では、依然として高い水準にあると報告されています。

 ILIや急性呼吸器感染症(ARI)の受診率は、全体的に減少し続けており、4月第1週はほとんどの国で活動性が低いと報告されました。定点機関で採取されたILIやARI患者の検体のうちインフルエンザが陽性になった検体の割合は2月下旬以降減少しています。ヨーロッパ全体で、シーズン当初はインフルエンザA(H1N1)pdm09が最も多く検出されましたが、最近数週間は、北部と西部の国ではインフルエンザB型が優勢となったようです。クロアチア、ギリシャ、アイルランド、ロシア、トルコ、英国ではインフルエンザA型が優勢と報告されましたが、その他の国では、インフルエンザA型とインフルエンザB型が同時に伝播しています。

 12の国・地域における4月第2週のプール解析によれば、1月の上旬以降、65歳以上の超過死亡は変化がなく、最高値が続いています。シーズン当初以降の高齢者超過死亡は、2011年から2012年の冬季と同様の水準です。一方、これまでに、他の年齢層では超過死亡は確認されていません。しかし、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、ポルトガル、スペインでは、死亡率の増加はないか、非常に穏やかな増加でした。

アフリカ北部と西アジア

 アフリカ北部では、インフルエンザ陽性検体数は、2月下旬にピークに達した後、過去数週間にわたって減少しました。ほとんどの地域ではインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でしたが、アルジェリアのように、過去数週間でインフルエンザB型が検出される割合が増加したと報告された国もありました。

 西アジアでは全域で、インフルエンザ陽性検体数は、2月上旬にピークに達した後、過去数週間にわたって減少しました。この地域のほとんどの国では、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されていますが、ヨルダンとパキスタンでは、特にこの数週間、インフルエンザB型が主に検出されたと報告されています。

北アジアと東アジア

 アジアの温帯地域のほとんどの地域で、インフルエンザの活動性は1月末にピークに達した後、過去数週間にわたって減少し続けています。中国と韓国のインフルエンザの活動性は、多くの他の地域より数週間遅れてピークに達し、依然として注目に値する高い水準です。中国北部と日本では、インフルエンザの活動性と、ILI患者の検体のうちインフルエンザが陽性となった検体の割合は、1月下旬にピークに達した後、過去数週間にわたって減少しました。一方、モンゴルでは、外来患者の割合に基づくILIの活動性は、2月上旬にピークに達した後、活動性は低い水準が続いています。

 前回の報告に示された通り、北アジアでは、今シーズンはインフルエンザA(H3N2)が最も多く検出されています。しかし、中国北部では、インフルエンザ陽性検体中に占めるインフルエンザA(H1N1)pdm09の割合が増加しました。

 中国北部における3月最終週の活動性は依然として低く、インフルエンザが陽性になった検体の割合も1月上旬に約27%とピークに達し、3月最終週は8.4%と減少しました。今シーズン当初から中国国家インフルエンザセンターで亜型が解析されたインフルエンザウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09の99.5%(191株)はA/California/7/2009-likeに類似しており、インフルエンザA(H3N2)はすべて(577株)A/Victoria/361/2011(H3N2)-likeに類似していました。また、インフルエンザB型では、山形系統はすべて(25株)B/Wisconsin/01/2010-likeに類似しており、ビクトリア系統の96.7%(147株)はB/Brisbane/60/2008-likeに類似していました。

 昨年10月以降に検査されたインフルエンザウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型はすべて、ノイラミニダーゼ阻害薬に感受性がありました。

 中国では、4月12日時点で、インフルエンザA(H7N9)に感染した患者が43人報告されており、このうち11人が死亡しています。詳細な情報と更新情報はWHOのホームページに掲載されています。

 ●  WHO ホームページ (英語)
     

熱帯地域

アメリカ大陸(中米、カリブ海諸国)の熱帯地域

 中米とカリブ海諸国では、インフルエンザの活動性は前週と比べ、ほぼ同じでした。全体的には、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型が検出されており、インフルエンザA(H1N1)pdm09は少数検出されていると報告されていますが、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されています。全体的にみて、ILIと急性呼吸器疾患の患者のほとんどがインフルエンザではない疾患と報告されており、RSウイルスが最も多く報告されています。キューバではインフルエンザA型の2種類の亜型が報告されており、依然として、活動性がわずかに報告されています。

 南米の熱帯地域では、インフルエンザの活動性は低いままです。エクアドルでは、2月末にピークに達した後、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型が減少したと報告されました。仏領ギアナでは、最近数週間で、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB型が低い水準で増加したと報告されました。

中部アフリカ

 コンゴ民主共和国、ケニア、マダガスカルなど、中部アフリカのほとんどの国では、過去数週間にわたって、インフルエンザの検出数は低いですが、3種類のインフルエンザウイルスの検出が続いています。ケニアではインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)の検出が続いており、マダガスカルではインフルエンザB型(高い水準)とインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されていると報告されています。コンゴ民主共和国では、過去数週間に、3種類のウイルスすべてが流行しており、活動性が増加したと報告されました。

アジアの熱帯地域

 南アジアのインフルエンザの伝播は、過去数週間に比べて低い水準です。インドでは、2月下旬にはインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でしたが、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)の2種類のウイルスが検出されており、インフルエンザB型も若干検出されていると報告されています。スリランカでは、今週、インフルエンザの活動性は減少しており3種類のウイルスが同じ割合で検出されています。イランとパキスタンも、今週はインフルエンザの活動性は低いと報告されています。イランでは、インフルエンザB型のみが検出されています。パキスタンでは、3種類のウイルスが検出されていますが、インフルエンザB型が多いと報告されています。

南半球の温帯地域

 南半球の温帯地域のすべての国で、現在、インフルエンザの活動性は、シーズンオフの水準です。

出典

Influenza update 12 April 2013 - Update number 183
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP
_surveillance/en/index.html