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新種のコロナウイルス感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨 (更新1)

2013年5月18日 WHO ( 原文〔英語〕へのリンク )

 WHOは、昨年10月に新種のコロナウイルス感染症のサーベイランスに関するガイダンスを公表し、その後も得られた新たな情報に基づいて、ガイダンスを更新しています。WHOは、今後も、得られた情報に基づいて推奨を更新する予定です。

 このガイダンスは、WHOのホームページに掲載されている現在の患者発生報告を要約するよりも、WHOの推奨を強調するために更新されました。資源や疫学状況が異なる国でも、これらの推奨を実施する必要性について言及することが重要です。

 今回の更新の主な変更点は、現在、人から人への持続的ではない感染が発生したことです。また、新種のコロナウイルスとインフルエンザA型ウイルスの重複感染も報告されました。しかし、ウイルスの保有宿主、散発的な感染と考えられる感染例の感染経路、感染した人からの感染経路、臨床症状の程度、潜伏期間など、多くの内容は依然として明らかではありません。

 このガイダンスは、下記の事項について示しています。

      ● 新種のコロナウイルスの検査をすべき人

      ● 疑い患者や確定患者をWHOに報告する際の助言

      ● このウイルスの重要な臨床学的及び疫学的特徴を把握するための調査・研究に関する
         推奨

 背景

 新種のコロナウイルスの人から人への感染は、家族内や医療施設内を含むいくつかの集団で報告されています。2人の医療従事者が、病院で確定患者に接触した後に感染しました。これまで、直接的に関連する集団を超えた持続的な伝播の根拠はありません。散発的に発生した患者の感染経路、人から人に感染したと考えられる患者の感染経路、ウイルスの起源は明らかではありません。

 すべての確定患者に呼吸器疾患がみられ、ほとんどの患者が肺炎を発症しました。しかし、免疫不全状態にあった患者1人は、最初の症状は発熱と下痢で、偶然、X線写真で肺炎が発見されました。確定患者の半数は死亡しました。臨床経過中の合併症には、人工呼吸管理を要する呼吸不全を伴う重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、多臓器不全、人工透析を要する腎不全、消費性凝固障害、心膜炎がみられました。患者のうち数人には、臨床経過中に下痢などの胃腸症状がみられました。

 限られた根拠によれば、新種のコロナウイルスの感染を検出するためには、鼻咽頭のスワブは下気道からの検体ほど感度が高くないかもしれません。より詳細な情報が明らかになるまでは、可能であれば、鼻咽頭のスワブに加え、喀痰、気管内吸引、気管支肺胞洗浄のような、下気道からの検体を使用すべきです。新種のコロナウイルス感染が強く疑われる患者で、初回の鼻咽頭のスワブによる検査が陰性だった場合には、下気道からの検体を使用して再検査することを検討すべきです。

 フランスと英国では、最近、中東から帰国した渡航者からの地域内感染がみられましたが、すべての患者が中東と何らかの関連があります。

サーベイランスの目的

 このガイダンスに示されている強化の主な目的は下記の通りです。

  1.早期に持続的な人-人感染を検出すること。

  2.ウイルスに感染するリスクのある地域を確定すること。

 さらに、臨床学的及び疫学的調査は以下のために必要です。

  1.潜伏期間や症状の程度、疾患の自然史など、感染症の重要な臨床学的特徴を確定するこ
    と。

  2.ウイルスへの暴露、リスクファクター、二次発病率、感染経路などウイルスの重要な疫学的特
    徴を確定すること。

新種のコロナウイルスについて調査や検査をすべき者

1.急性呼吸器感染症の者で、発熱と咳がみられるかもしれず、かつ、臨床学的または肺浸潤の放射線学的証拠から肺実質疾患(例えば肺炎やARDS)の症状がみられ、入院を要する者。さらに、臨床医は、免疫不全状態にある患者では、非典型的な症状を示す可能性があることに注意すること。これらの患者で、以下の1項目以上に該当するもの。

 ●居住地や渡航歴にかかわらず、10日以内にクラスター(集団)*で発生し、他の原因が確認されて
  いない場合。             

 ●居住地や渡航歴にかかわらず、特に集中治療を必要とする重症急性呼吸器感染症の患者の診
  療に従事した医療従事者で発生し、他の原因が確認されていない場合。***

 ●発症前10日以内に中東**に渡航したことがある者で、他の原因が確認されていない場合。***

 ●居住地や渡航歴にかかわらず、適切な治療にもかかわらず予想外に重篤な臨床経過に進展した
  場合。その他の原因があっても、その原因だけでは説明のつかない場合を含む。

2.新種のコロナウイルス感染症の確定患者または疑い患者が発症している間の濃厚接触者****で、接触後10日以内に何らかの急性呼吸器症状を示した者。

3.中東の国では、最低限の標準的なサーベイランスとして、人工呼吸管理を要する重症呼吸器疾患の患者の検査を実施すべきです。この最低基準には、上記に示した3つのカテゴリー(原因不明の肺炎またはARDSのクラスター、呼吸器疾患で入院を要する患者の診療に従事した医療従事者、通常でない病状と臨床経過がみられる患者)すべてに対する検査が含まれます。しかし、中東の国では、通常の定点における呼吸器疾患のサーベイランスの一部として現在の検査のアルゴリズムによる新種のコロナウイルス検査の追加実施や、地域に対応能力がある場合には、軽症でも入院を要する原因不明の市中肺炎の検査の実施も検討するよう強く勧められます。

 WHOはこの事例に関して、入国地点での特別なスクリーニングを推奨していませんし、渡航や貿易の制限も推奨していません。

報告

 WHOは、疑い患者や確定患者について、確認後24時間以内に、管轄するWHO地域事務局の国際保健規則の地域連絡窓口担当者を通して報告するように求めています。

新種のコロナウイルスに感染した患者の周囲の調査

 新種のコロナウイルス感染症の臨床学的特徴や疫学的特徴に関して明らかになっていない重要な点は、患者の周囲を慎重かつ詳細に調査することで明らかになることが期待されます。

    ※ 検討すべき調査のタイプに関する指針に関する詳細な情報は原文をご覧ください。

  WHOは現在、関係機関とともに、標準的な調査実施計画とデータを集める方法を開発しており、完成後に公表される予定です。

 

 * 集団(クラスター)は、10日間に2人以上が発症し、その集団が、学校の教室、職場、家族、親類、病院、他の
  居住施設、兵舎、キャンプ場といった特別な環境と関係していることと定義されます。

 ** 中東に属する国については、下記リンクを参照してください。
    http://www.un.org/Depts/Cartographic/map/profile/mideastr.pdf

 *** 検査は市中肺炎の管理に関する地域の指針に沿って実施されるべきです。他の原因として、肺炎連鎖球菌
   (Streptococcus pneumoniae)、B型インフルエンザ桿菌(Haemophilus influenza type B)、レジオネラ
   ニューモフィラ菌(Legionella pneumophila)や、その他の原発性の細菌性肺炎、インフルエンザ、RSウイ
   ルスなどが含まれます。

 **** 濃厚接触者は以下の者を含みます。 
    ・患者の診療に従事した医療従事者や、患者の世話をした家族、その他、同様に身体的な 接触があった
     者。
    
・疑い患者や確定患者が発症していた期間に同じ場所にいた(例えば、生活を共にしていた り、訪問したり
     していた)人。

出典

WHO(GAR)
Interim surveillance recommendations for human infection with novel coronavirus
http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/InterimRevisedSurveillanceRecommendations_nCoVinfection_18May13.pdf

参考

FORTH  最新ニュース
新種のコロナウイルス感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨 (2013年3月)
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2013/03221422.html