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季節性インフルエンザ (ファクトシート)

2014年3月更新 WHO (原文〔英語〕へのリンク

要点

季節性インフルエンザは容易にヒトからヒトに感染する急性ウイルス性感染症です。
季節性インフルエンザウイルスは、世界中で流行しており、すべての年齢層で誰にでも感染を引き起こす可能性があります。
季節性インフルエンザウイルスは、毎年温帯地方で冬にピークを迎える流行を引き起こします。
季節性インフルエンザは、リスクの高い集団で重篤な病態を呈したり、致死的になったりし、重大な公衆衛生上の問題となります。
インフルエンザの流行は、労働生産性に損害を与えることで経済に打撃を与えたり、医療サービスに負担をもたらしたりします。
インフルエンザ予防接種は感染を防御する最も有効な方法です。
抗ウイルス薬を治療に用いることもできますが、インフルエンザウイルスは、薬剤に対する耐性を獲得する可能性があります。

概要

 季節性インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる急性ウイルス感染症です。

 季節性インフルエンザウイルスには、A、BおよびC 型の3つの型があります。

 A型インフルエンザウイルスは、種々のウイルス表面タンパク質の組み合わせによって、さらに各種の亜型(サブタイプ)に分類されます。多くのA型インフルエンザウイルスの亜型の中で、インフルエンザA(H1N1)およびA(H3N2)が、現在ヒトで流行しています。

 インフルエンザウイルスは世界のすべての地域で循環しています。C型インフルエンザの症例は、A型、B型に比してはるかに低い頻度でしか生じません。そのため、A型およびB型インフルエンザウイルスだけが季節性インフルエンザワクチンに含まれています。

所見と症状

 季節性インフルエンザの特徴は、突然生じる高熱、咳嗽(通常乾性咳嗽)、頭痛、筋肉痛および関節痛、強い倦怠感(体の具合が悪い感じ)、咽頭痛、鼻汁です。咳嗽は激しくなることもあり、2週間以上続くこともあります。ほとんどの人は、特に医学的な対応を行わなくても、一週間以内に発熱や他の症状から回復します。しかし、インフルエンザは、後述のように特にリスクの高い人の場合には、重篤な疾患を起こしたり、致死的な状況を引き起こす場合があります。潜伏期と呼ばれる、感染から疾患発症までの期間は約2日です。

誰にリスクがあるか?

 毎年発生するインフルエンザの流行は、すべての人に深刻な影響をもたらしえます。しかし、合併症が生じるリスクが最も高いのは、2年未満の小児、65歳以上の成人、妊娠している女性、および慢性の心臓、肺、腎臓、肝臓、血液、(糖尿病のような)代謝性疾患のある人、あるいは免疫機能の低下があるなどの基礎疾患のあるすべての年齢層の人々です。

伝播

 季節性インフルエンザは容易に広がり、学校、老人ホーム、職場、あるいは町内で大流行することがあります。感染した人が咳をする場合、感染した飛沫が空気中に飛散し、それを他の人が吸入し暴露を受けることがあります。また、インフルエンザウイルスは、ウイルスで汚染された手を介して蔓延することもあります。感染伝播を防ぐために、咳をする際にティッシュペーパーで自分の口と鼻を覆い、手洗いを定期的に行わなければなりません。

季節性流行および疾病による負荷

 温帯地域では、季節性流行は主として冬に発生します。一方、熱帯地域では、インフルエンザは年間を通じて生じる可能性があり、結果としてより不規則に流行が起きる可能性があります。

 世界的にみると、インフルエンザには毎年成人の5~10%および小児の20~30%が罹患すると推計されます。主としてハイリスクの集団(最若年層、老人、慢性疾患の患者)で、インフルエンザ疾患によって入院に至ったり、死に至ったりする場合があります。全世界では、この毎年の流行によって約300〜500万人の重症例が生じ、約25~50万人の死亡例が生じていると推測されています。

 工業先進国では、インフルエンザ関連死のほとんどが65歳以上の人で生じています。インフルエンザの流行の結果、労働者の欠勤率や学生の欠席率が高率となり、生産性が低下する可能性があります。診療所や病院は、インフルエンザの流行がピークに達している期間、この疾患のために忙殺される可能性があります。

 開発途上国での季節性インフルエンザの流行については、正確な影響はわかっていません。しかし、調査結果によると、開発途上国では小児死亡の多くが毎年インフルエンザに関連して生じていると推察されています。

予防

 インフルエンザやインフルエンザによる重篤な結果を予防する最も有効な方法は、予防接種です。安全で有効なワクチンが利用可能で、60年以上使用されてきました。健康な成人では、インフルエンザワクチンによって妥当な防御効果がえられます。しかしながら、高齢者においては、インフルエンザワクチンは疾患の防御にはそれほど有効ではなく、疾病の重症度、合併症の発生率および致死率を低下させる可能性があります。

 予防接種は、重篤なインフルエンザ合併症を起こすリスクがより高い人や、ハイリスクの人と同居していたり、介護をしたりする人にとって特に重要です。

 WHOは、以下の人に毎年の予防接種を推奨しています。

・妊娠周期を問わずすべての妊婦
・6か月~5歳の小児
・高齢者(65歳以上)
・慢性疾患のある人
・医療従事者(ヘルスケアワーカー)

 ワクチンに用いたウイルスが流行しているウイルスによく適合している場合、インフルエンザ予防接種は非常に有効です。インフルエンザウイルスは絶えず変化しており、全世界の国家インフルエンザセンターとの協力機関である、WHO世界インフルエンザ監視・対応システム(Global Influenza Surveillance and Response System: GISRS)がヒトに流行しているインフルエンザウイルスのモニタリングを行っています。

 長年にわたってWHOは、年に二回、流行しているウイルスの中で最も代表的な3種(A型インフルエンザ2亜型とB型インフルエンザ1種)を標的にした(3価の)推奨ワクチン構成についての推奨を更新してきました。2013年~2014年の北半球のインフルエンザシーズンからは、従来の3価のワクチンのウイルスに加え、もう1種のB型インフルエンザウイルスを加えた4価のワクチン構成が推奨されるようになりました。4価のインフルエンザワクチンはB型インフルエンザウイルス感染に対してより高い防御効果をもたらすと予想されています。

治療

 国によっては、インフルエンザに対する抗ウイルス薬が利用でき、重篤な合併症や死亡を低減している可能性があります。理想的には、抗ウイルス薬は疾患の初期に(症状が出現してから48時間以内に)投与する必要があります。抗ウイルス薬には以下の2つの種類があります。

1.アダマンタン*1 (adamantane)(アマンタジン(amantadine)とリマンタジン(rimantadine))

2.インフルエンザノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル(oseltamivir)およびザナミビル(zanamivir)、いくつかの国では、ペラミビル(peramivir)とラニナミビル(laninamivir)も認可されています。)

 インフルエンザウイルスの中には、抗ウイルス薬に対する耐性を獲得し、抗ウイルス薬治療の効果が限定されるものがあります。WHOは、抗ウイルス薬が臨床で用いられる場合や、時として感染予防目的で用いられる場合に即して、抗ウイルス薬使用に関する適切な手引きを提供できるように、流行しているインフルエンザウイルスの抗ウイルス薬への感受性をモニターしています。

WHOの対応

 WHOは協力機関とともに、インフルエンザを全世界でモニターし、一年に二度、北半球および南半球に対する季節性インフルエンザワクチンの推奨構成を発表し、加盟国に対して、その疾病予防および疾病管理戦略への取り組みを支援しています。

 WHOは、抗ウイルス薬の感受性モニタリング、インフルエンザのサーベイランス、アウトブレイク時の対応などの国家および地域における診断能力を向上させ、リスクの高いグループでワクチン接種率を高めるために作業を行っています。

*1現在流行しているインフルエンザウイルスはアダマンタンに耐性を持っていることから、現時点でWHOは、抗ウイルス薬による治療を必要とする人に対して、第1選択としてノイラミニダーゼ阻害薬を推奨しています。

出典

WHO Fact Sheet N°211 March 2014
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en/