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食品由来の吸虫症について (ファクトシート)

2014年4月 WHO  (原文[英語]へのリンク)

要点

少なくとも5,600万人が1種類以上の食品由来の吸虫症にかかっています。
人は、寄生虫の幼虫が付着している生の魚、甲殻類、野菜を食べることで感染します。
食品由来の吸虫症が最も多く発生しているのは、東南アジアと南米です。
食品由来の吸虫症は、重症の肝疾患と肺疾患を起こします。
食品由来の吸虫症の予防や治療には、安全で効果的な薬があります。

 世界で、5600万人以上の人々が食品由来の吸虫症にかかっています。

 食品由来の吸虫症(flukes)は、ヒトに感染する最も一般的なものはClonorchisOpisthorchisFasciolaParagonimusといった種類の吸虫によって起こります。

 人は、小さな寄生虫の幼虫が付着している、生や加熱不十分な食品;魚、甲殻類、野菜を食べることで感染します(表1)。

伝搬

 食品由来吸虫症は動物由来感染症で、言い換えれば当然脊椎動物からヒト、ヒトから脊椎動物へも伝搬されます。しかし、関連する原因寄生虫は、通常ヒト以外の中間宿主での生活段階を含む複雑な生活環を経過した後にのみ感染性を持つため、直接伝搬されることは不可能です。

 第一中間宿主はすべての例で淡水産巻貝で、第二中間宿主は種によって異なります:肝吸虫症(clonochiasis)とオピストルキス症(opisthorchiasis)では淡水魚、肺吸虫症(paragonimiasis)では甲殻類ですが、肝蛭症(fascioliasis)では第二中間宿主は必要ありません。最終宿主は常に哺乳類です。

 ヒトは、吸虫の幼虫に感染した第二中間宿主を摂取することで感染します。肝蛭症の場合、吸虫の幼虫が付着した水生野菜を摂取することで感染します。(詳細は表1) 140428_trematodiases1.jpg

疫学

 2005年には、世界で5600万人以上の人が食品由来の吸虫症に感染し、7000人以上が死亡しました。

 食品由来の吸虫症患者は70か国以上の国で報告されていますが、東南アジアと南米で最も多く発生しています。これらの地域では、食品由来の吸虫症は重要な公衆衛生上の課題です。

 患者が発生している国の中でも、伝播は、しばしば限られた地域でみられ、人々の食習慣や食料の生産方法や調理法、中間宿主の分布が反映されます。アフリカにおける食品由来の吸虫症の疫学的な状況に関する情報は、ほとんどありません。

 食品由来の吸虫症による経済的な影響は重大で、主に、輸出の制限や消費受容の低下という養殖産業の拡大の低下につながります。

症状

 食品由来の吸虫症による公衆衛生上の疾病負荷は、主に、死亡率よりも罹患率によります。

 感染早期や軽症の時は、症状はないか、ほとんどないため、しばしば見過ごされます。反対に、感染した虫体数が多い場合には、全身倦怠感がよくみられ激痛のみられることもあります。また、肝蛭症の場合には、特に腹部に激しい痛みがよく現れます。

 慢性感染の場合には、常に重い症状がみられます。症状は、主に、臓器特異的で、体内で成虫が最終的に寄生する部位によって異なります。

肝吸虫症Clonorchiasis とオピストルキス症Opisthorchiasis
 成虫は、肝臓の小胆管に寄生し、炎症を起こすほか、隣接組織の線維化を起こします。最終的には重篤で致死的な胆管癌を起こします。ネコ肝吸虫(O. felineus)以外の肝吸虫(肝吸虫C. sinensisとタイ肝吸虫O.viverrini)は、発癌性を有する病原体に分類されています。

<肝蛭症>
 成虫は、太い胆管や胆嚢に寄生し、炎症、線維化、閉塞、疝痛、黄疸を起こします。肝線維症と貧血も、しばしばみられます。

<肺吸虫症>
 肺吸虫は、最終的に肺に寄生します。症状は、結核の症状に似ており、血痰を伴う慢性の咳、胸痛、呼吸困難(呼吸促迫)、発熱がみられます。体内を移行することがあり、脳に移行した場合が最も重症です。

予防と制御

 食品由来の吸虫症のコントロールは、感染リスクを減らし、関連した病状を抑えることを目指しています。

 WHOは、感染リスクを減らすために、獣医公衆衛生学的な方法や食品安全対策の実施を推奨しています。また、病状を抑えるために、安全で効果的な駆虫薬による治療を受ける機会の向上も推奨しています。

 治療は化学予防や個別の患者管理を通じて提供することができます。化学予防は、個人が感染しているかどうかにかかわらず、地域の全住民に薬を投与するという、集団を対象とした取り組みを意味します。感染者の多い地域で推奨されます。

 個別の患者管理は、感染していることが確定された患者や感染が疑われる患者の治療を指しています(表2)。この取り組みは、患者が集団発生してはいない場所や、医療機関が利用できる場所ではより適切な方法です。

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WHOの対応

 WHOの食品由来の吸虫症に関する活動は、顧みられない熱帯病をコントロールするための総合対策の一環で、以下の活動を行っています。

戦略の方向性と推奨の進展
流行国における発生地域の分布図の作成支援
流行国における試験的な介入とコントロール計画の支援
行われた活動のモニタリングと評価の支援
食品由来の吸虫症の疾病負荷と実施された介入の効果に関する文書作成

 WHOは、食品由来の吸虫症について、その対策の主流となる化学予防戦略を含め、確実に最悪の結果(胆管癌など)を防ぐことができるように取り組んでいます。

 また、WHOはノバルティス ファーマAGと交渉し、同社から、肝蛭症と肺吸虫症の治療薬であるトリクラベンダゾールの寄贈の合意に至りました。この薬は保健省からの申請により、無償で出荷されます。WHOは、すべての流行国に、この寄贈計画を利用するように勧めています。

 2012年に流行地に住んでいる608,285人が食品由来吸虫症の治療を受けたと報告されました。2013年は、大規模治療介入の実施の遅れと予定変更のために、治療を受けた人数は287,590人に減少しました。

出典

WHO Fact Sheet N°368
Foodborne trematodiases, Update April 2014
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs368/en/