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野生型ポリオの国際的拡大に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会会議でのWHO声明

2014年5月5日 WHO (原文[英語]へのリンク

 IHR(2005)に基づき事務局長により緊急委員会が招集され、2014年4月28日(月)13:30から17:30(ジュネーブヨーロッパ標準時間CET)と4月29日(水)13:30から19:00(CET)にかけてテレビ会議が開催されました。

 緊急委員会のメンバーは両日開催された委員会の専門アドバイザーです。 以下の発生国の政府機関は2014年4月28日(月)の会議の情報セッションに参加しました:アフガニスタン、カメルーン、赤道ギニア、エチオピア、イスラエル、ナイジェリア、パキスタン、ソマリア、シリアです。

 情報セッションにおいて、WHO事務局は2014年4月26日までの地域流行阻止の最近の進捗状況、輸入ポリオウイルスと野生型ポリオウイルスの国際的な拡大についての更新と評価について情報を提供しました。上記の発生国は自国での最近の進展について紹介しました。

 提供された情報についての討議と検討の結果、また世界ポリオ撲滅イニシアチブ(the Global Polio Eradication Initiative; GPEI)の背景から、委員会は2014年現在ポリオの国際的拡大は“通常ではない事象extraordinary event”であり、協調した国際的な対応が必須な、他国への公衆学的リスクがあると助言するものです。2012年1月から2013年のポリオ流行の少ない時期(すなわち1月から4月)までは野生型ポリオウイルスの国際的拡大はほぼ中断されたのと比較して、現在の状況は厳しいものとなっています。もし抑制できない場合、この状況はワクチンで予防できる最も重要な疾患の一つを世界から根絶することに失敗するという結果になってしまいます。これは国際的な公衆衛生上の脅威となる全事象(PHEIC)の一つであるという委員会全会一致の見解です。

 2013年の終わりには、ポリオ症例の60%は野生型ポリオウイルスの国際的拡大の結果であり、成人渡航者がこの拡大に関与しているという証拠が増加しました。2014年のポリオ発生の少ない時期ですが、現在発生している10か国のうち3か国から野生型ポリオウイルスの国際的な広がりが認められました:中央アジア(パキスタンからアフガニスタン)、中東(シリアからイラク)、中央アフリカ(カメルーンから赤道ギニア)です。この野生型ポリオウイルスの国際的な拡大を阻止するために、また2014年5月/6月の発生の多発する時期に入り新たな拡大を予防するためにも協調した国際的な対応が必須と思われます;協調した対応ではなく、一方的な方法では国際的な拡大を阻止するには効果的ではないでしょう。特にポリオ排除はしたけれど紛争地域にあり、定期の予防接種サービスが極端に困難で再感染を受けるリスクが高く、影響を受けやすい国にさらなる国際的な拡大は、急速に拡がるでしょう。そのような国は、野生型ポリオウイルスの再侵入に対する効果的な対応を開始するには著しい困難を経験することでしょう。陸地伝いに国境を越えての国際的な拡大が多くなるため、WHOはそれぞれの疫学的ゾーンにおけるウイルス伝播の阻止を加速するため、協調的な地域の取り組みへの助力を継続します。

 すべてのポリオ発生国での最重要事項は、その国の国境でできるだけ迅速に野生型ポリオウイルス伝播を阻止することです。そのために直ちにすべての地域で完全かつ適切なポリオ排除戦略を適応することです。具体的には;経口ポリオワクチン(OPV)の補助的接種キャンペーン、ポリオウイルスのサーベイランス、定期予防接種です。委員会は事務局長に対し野生型ポリオウイルスの国際的拡大を低減するための判断材料として以下のような助言を行いましたが、それは10か国の2014年4月29日での伝播活動性(すなわちこれまで6か月間)によるリスクの階層化に基づいています。

現在野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出している国

 パキスタン、カメルーン、シリアは2014年さらに野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出す(輸出)リスクの最も高い国です。これらの国は以下のことをすべきです:

  • もしまだなら、国又は政府のトップレベルが公式に、ポリオウイルス伝播の阻止は国の公衆衛生上の緊急事案である、と宣言すべきです;
  • すべての住民と長期滞在者(4週間以上)は国際渡航の12か月前から4週間前までに1回のOPV又は不活化ワクチン(IPV)を確実に接種すべきです;
  • OPVやIPV接種を出発の12か月前から4週間前までに受けていない至急(4週間以内)の渡航者は少なくとも出発時に1回ポリオワクチンの接種を確実に受けるべきです。これは特に頻繁に渡航する人で役に立つからです。
  • そのような渡航者にはIHR(2005)別添6で明記された国際接種・予防証明書がポリオワクチンの接種記録としてまた接種の証明書として確実に発行されるべきです;
  • これらの対応は以下の基準が達成されるまで維持されるべきです:(i)新しい国外への持ち出しが少なくとも6か月認められない、(ii)すべての発生地域とハイリスク地域で高度な排除活動が完全に実施された証拠文書を提出する;これらの対応の証拠文書が提出できない場合は、新たな国外持ち出し症例が少なくとも12か月無い状況を維持するまで対応を継続する。

 当該国が基準を達成すれば、野生型ポリオウイルスの国外持ち出しがなくなったと評価されます。カテゴリーから外されるための基準を満たすまでは発生国として継続して見なされるべきです。

野生型ポリオウイルスの発生があるが現在国外への持ち出しが無い国

 アフガニスタン、赤道ギニア、エチオピア、イラク、イスラエル、ソマリア、特にナイジェリアは国際的な拡大を受けましたが、2014年に新たに野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出すリスクが引き続き出てきました。これらの国は以下のことをすべきです:

  • もしまだなら、国又は政府のトップレベルが公式に、ポリオウイルス伝播の阻止は国の公衆衛生上の緊急事案である、と宣言すべきです;
  • 住民と長期滞在者(4週間以上)は国際渡航の12か月前から4週間前までに1回のOPV又は不活化ワクチン(IPV)の接種を受けることを推奨すべきです;
  • そのようなワクチン接種を受けた渡航者はポリオワクチン接種状況の記録を適切な文書で所有することを確実にすべきです。
  • これらの対応は以下のような基準が達成されるまで継続されるべきです:(i)国内のどのような検体からも野生型ポリオウイルスが少なくとも6か月間検出されない、(ii)すべての発生地域とハイリスク地域で高度な排除活動が完全に実施された証拠文書を提出する;これらの対応の証拠文書が提出できない場合は、新たな国外持ちだし症例が少なくとも12か月間無い状況を維持するまで対応を継続する。

 どのようなポリオフリー(排除)国も野生型ポリオウイルスの感染が認められれば直ちに“野生型ポリオウイルスの発生があるが現在国外への持ち出しが無い国”への助言を実施すべきです。どのような国においても、新たな感染を受け初発症例が確認されたら一か月以内に、WHO事務局長は発生対応の国際的評価を確実に実施しなければなりません。感染国からの新たな国際的拡大の事例があれば、当該国は直ちに“現在野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出している国”へ求められているワクチン接種を実施すべきです。

 WHOとパートナーは当該国がこれらの勧告を実施するのを支援すべきです。

 この助言、発生国からの報告、現在入手できる情報に基づき、事務局長は委員会評価を受け入れ、2014年5月5日、2014年における野生型ポリオウイルスの国際的な拡大は国際的な公衆衛生上の脅威となる事象(PHEIC)であると宣言しました。事務局長は“現在野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出している国”への委員会助言と、“野生型ポリオウイルスの発生があるが現在国外への持ち出しが無い国”への委員会助言を承認し、それらを野生型ポリオウイルスの国際的拡大を低減するためのIHR(2005)に基づく臨時的勧告として2014年5月5日から実効となると発表しました。事務局長は委員会メンバーとアドバイザーにその助言を感謝し、3か月間の状況を再評価するよう、特にこの対応を終了する基準を、いくつかの国がこの臨時的勧告の3か月を超えて延長する正当性について再評価を依頼しました。

 さらに詳細については以下へお尋ねください:

Christy Feig
Director of Communications
Telephone: +41 79 251 7055
Email: feigc@who.int

Gregory Harti
Coordinator, News and Social Media
Telephone: +41 79 203 6715
Email: hartig@who.int

1. 緊急委員会メンバーとアドバイザー:名前リスト、所属と関係についてはこちらです。
http://www.who.int/ihr/procedures/emerg_comm_members_2014/en/

出典

WHO statement on the meeting of the International Health Regulations Emergency Committee concerning the international spread of wild poliovirus,5 May 2014
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2014/polio-20140505/en/