西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新1)

7月1日付けの世界保健機関(WHO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

WHOの疫学的解析によると、3つの大きな要因が伝播パターンに影響を与えており、地域におけるエボラウイルス疾患(EVD)の現在の継続した拡大の原因となっています。これらの要因にはEVDのへき地コミュニティでの伝播が、強力な文化的慣行や伝統的な信仰により加速されたこと;EVD伝播が人口密度の高い郊外地域、ギニアのコナクリ、リベリアのモンロビアで起こったこと;ギニア、リベリア、シエラレオネの国境地域でEVDが伝播したことが含まれます。これらの国々の国境地域では商業的、社会的な活動が継続されています。

保健部門の対応

このアウトブレイクへの対応の実施には国の強力な対応、特に国境を接する地域での対応が必須です。対応の一つの要素としてWHOは2014年7月2日-3日にガーナのアクラで保健担当大臣のハイレベル会議を計画しています。会議にはアフリカ地域の11か国(コートジボアール、コンゴ民主共和国、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニア-ビサウ、リベリア、マリ、セネガル、シエラレオネ、ウガンダ)の保健大臣や疾病予防対策局長やパートナーとしてエボラ回復者、航空会社、採掘会社、ドナーコミュニティ(支援団体)が参加します。会議の目的は状況の分析、隙間(ギャップ)の確認、対応計画の運用発展、アフリカ地域各国のEVD対応のための国境地域での協調を強化し政治的関与を確実に増加させることです。

WHOとGOARN(地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)の技術的パートナーであるEU移動型研究室、IFRC、国立機関であるダカールパスツール研究所、リヨンパスツール研究所、パリパスツール研究所、ハンブルグバーナード研究所、国境なき医師団、カナダ公衆衛生庁、イギリス公衆衛生院、米国CDC、国連機関、DFID、EU、ECHOや他のパートナーは必要な技術的支援を提供し、ウイルスのコミュニティ内や医療施設内での伝播を阻止するため保健省を支援しています。

WHOは保健省を緊密に支援し様々な分野での専門家を追加で配置し、現地での物資支援、個人防護装備や医薬品の供給を行っています。これらの専門家はWHO事務局、GOARNパートナー、特に地域での専門的ネットワークから派遣され、また以下を含んでいます:

  • フィールド疫学者、各国とともに流行のサーベイランスとモニタリングを行います
  • エボラ症例の早期確認をする移動型検査室での検査専門家
  • 医療施設へ派遣され感染患者を治療する臨床管理専門家
  • 各国のコミュニティや医療施設内でのウイルス伝播を阻止するために継続されている対応を支援する感染予防制御の専門家
  • 対応基地を確保運営し、必要な装備や物資を発送する物流管理専門家
  • 公衆衛生担当者を支援しエボラ症例をどのように報告し、対応し、治療するかについて適切なメッセージを展開、発信する社会的動員及びリスクコミュニケーションチーム

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

疾患の状況更新

エボラウイルス疾患の新たな患者と死亡者について西アフリカ3か国ギニア、リベリア、シエラレオネの保健省から報告が続いています。2014年6月25日から30日の間に、EVDの新たな患者22人が死亡者14人を含み3か国から報告されました:ギニアでは患者3人と死亡者5人、リベリアでは患者8人、死亡者7人、シエラレオネでは患者11人、死亡者2人です。この人数には確定、可能性の高い、疑いのある患者と死亡者が含まれます。

2014年6月30日までにEVDに感染した患者の累計数は、死亡者467人を含む759人となりました。患者の分布と分類は以下の通りです:ギニア患者413人(確定患者293人、可能性の高い患者88人、疑い患者32人)、死亡者303人(確定死亡者193人、可能性の高い死亡者82人、疑い死亡者28人)、リベリア患者107人(確定患者52人、可能性の高い患者21人、疑い患者34人)死亡者65人(確定死亡者33人、可能性の高い死亡者17人、疑い死亡者15人)、シエラレオネ患者239人(確定患者199人、可能性の高い患者31人、疑い患者9人)、死亡者99人(確定死亡者65人、可能性の高い死亡者29人、疑い死亡者5人)です。

図.エボラ出血熱の発生状況

出典

WHOGlobal Alert Response(GAR)
Ebola virus disease, West Africa– update
http://www.who.int/csr/don/2014_07_01_ebola/en/